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ルヴルフ

シアをもっと複雑な形にしたいので、戦闘よりも穴掘り優れているルヴルフを購入することを決意した。


「ライルさん、ルヴルフの雌と雄を二体ずつ購入してもいいですか?」


「もちろんいいですよ!」


良い返事が返ってきたけど、ライルそれで本当にいいのか・・・。


もうすこし、理由を尋ねるなりしてくれると俺としては心配事がすこし減るのですが・・・。


それとなく穴掘りに優れている魔物を選んだ理由を話しながらライルの意見を促そうとしたが頷くばかりで、口を開けば感歎する声を上げるばかりである。


では、この呼び鈴を鳴らせば良いのか。


テーブルに置いてある小さな鈴をつまみ、軽く振る。


呼び鈴を鳴らしたら、申し訳ない程度の音がでた。


ん?大丈夫なのかこの鈴。


鈴として機能してるのか?


と鈴の音がやる気無いのでは?とか考えている間に、何も無い空間からぶかぶかのローブを着てフードを深く被った子供が現れた。


絶対にサイズ合ってないよ、大丈夫か裾なんて地面について引きずってるぞ・・。


袖も腕の長さより長いため袖口が垂れ下がっていた。


アレじゃ手を使うのに大変そうだな。


色々ぶかぶかしているが、大人ぶりたい年頃なのだろうということで一応納得してみる。


「これはこれは、数多の商会から我がヴォルヴォロ商会を利用していただき、誠にありがとうございます。ライル様の担当させていただくナキアと申します。以後よろしくお願いします。」


ナキアは最初はライルの方を向き会釈をし、鈴を持っているのが俺だと気がついたのか俺に挨拶してきたようだ、鈴を鳴らした相手が優先的に取引相手になるのだろうか。


人語を話し丁寧な挨拶をする子供か、親の手伝いをするなんて偉い。


声が女の子っぽいので女の子なのだろう。


「ナキアさんですか、はじめまして、シャルルと言います。今後ともよろしくお願いします。早速ですが、ルヴルフの雄と雌を二体ずつ購入を検討しているのですが、ルヴルフの食事は何が必要ですか?」


購入することはほぼ決定しているが、餌が特殊な物が必要だとか人が餌とか言われたらさすがに購入を断ってしまいそうだ。


「こちらこそ末永い御愛顧よろしくお願いします。ルヴルフですか?土を掘らせて居れば餌は自分で獲ってくるので特に気にしなくても良いですが、獣の肉などをあげると喜びます。」


ルヴルフは食料もあまりかからない魔物ということがわかったので購入する意志も固まった。


「部屋の用意はした方がいいのですか?」


「勝手に巣を掘ってしまうので、困る場合でしたら部屋を購入していただくか、指定した場所に巣を作らせればいいですね。」


「わかりました、ルヴルフを購入します。」


なるほど、場所の指定か、わからないことがあれば質問すれば説明してくれるとても親切な対応である。


無理矢理高いものを買わせようとしていないのでよい商人だと思ったが、おすすめ商品など他の商品の紹介挟んでくるそぶりも見せないのでますます気に入ってしまった。


しかも、種族差別もしていないのだからとても優秀なのだろう。


ああいうのは商人としては優秀だと思うが購入する立場からしたら、時間がかかり、説明が入る度に断らなくてはいけないという面倒なことであった。


「かしこまりました、少々お待ちください。」


地面に魔方陣が描かれたと思うと、そこからルヴルフが現れた。


魔法というのは本当に便利すぎである。


雄二体、雌二体である。


リボンを着けているほうが雌で、蝶ネクタイをしている方が雄か、分かりやすい。


モグラみたいだが、毛がふわふわしてる。


触りたい衝動に駆られるが我慢である。


「支払いは何時も通りでよろしく。」


とライルが言っていたがいつも通りとはなんのことなのだろう、あとで確認しよう。


「ルヴルフ達はある程度の命令には従いますが、簡単な命令にも背く場合は交換しますのでお気軽にお呼び出しください。」


「わかりました。」


不良品ならぬ、不良魔物も交換してくれるとは親切な対応する商人みたことも聞いたことも無い。


「それと、期間限定の特価の商品のカタログですので一度目を通していただけるとありがたいです。」


「これはどうもありがとうございます。」


おお、別のカタログかみておかなければいけないな。


しかも、期間限定!?これを逃すと安く買えないのか・・・。


どんな商品があるのか楽しみだとカタログを見るのにどっぷりとはまっていた。


うまい商売の手口に引っかかっている気がするが気のせいだろう。


「では次回もぜひ、ヴォルヴォロ商会、ヴォルヴォロ商会の利用を心よりお待ちしております。」


音も無く消えるナキア


親切丁寧なヴォルヴォロ商会は今後とも利用しても良さそうだ。


ライルは、いい商会と取引できているようで安心した。


「ライルさん、いつも通りの支払いってなんですか?」


「ああ、一括払いのことです。」


「一括払いですか?」


「一括払いと分割払いがあるみたいで、分割払いは2回とか3回とか難しい事をいわれたので一括払いにしてるのです。」


なんだろう?分割払いってよくわからないが、回数を分けて支払う分立て替えた手間賃を取りますよ的な支払い方法なのだろうか。


考えてもよくわからないし今度聞いてみるか


「一括払いで問題無いようなので、今度から何時もの支払いといいますね。」


「おお、さすが賢者様だ私にはわからないことでもすぐにわかるなんてさすがです!!」


「お、ぉう」


後で聞けばいいやと考えていたら、聞けない状況になってしまった・・・。


賢者のふりは難しいんだな・・。


そういえば、ルヴルフ達に何か命令しないと・・・。


直立不動で命令を待っているルヴルフ達が可哀想だ。


潤んだ瞳で見つめられても困る。そんな目でこっちを見ないでくれ。


どういう感じに掘らせれば良いんだろう


まったく考えてなかったけど、昔潜ったシアの地図があったような。


ベッドの隅にまとめておいてあった荷物から何枚か地図をとりだした。


少し複雑な、サルマ洞の地図の2階層とおなじでいいか。


広さがわからないが、サルマ洞2階層くらいは再現できるだろう。


「ライルさん入り口からこんな感じで、ルヴルフ達に掘らせようと思うのですがどうでしょうか?」


「設計図をいつの間に用意したのですか!さすがシャルル様です。その通りで問題ありません!」


俺を見る目が一段階変わったような気がしたが、気にしないでおこう。


了解を得たのでその通りに掘らせてみよう。


「この地図のような道や部屋などを掘ってほしいけど出来る?」


と身振り手振りをつけながら訊ねると


「キー!」


と元気に返事をするルヴルフ達だった。



洞窟に入ったときは真っ暗だったのに今は昼間のように明るいのですが、どういうことでしょうか?と聴くに聴けない偽賢者の事情なのだ。


シアの管理をする立場になったので、洞窟内での視界が良好になったのだと思っておこう。


カンテラも必要がなくなったので楽だからまぁ良いか。


とりあえず入り口へ連れて行って方向を指示して、わからないことがあれば呼びにくるように言っておいた。


たぶん話は通じているはずだ・・・。


ライルは相変わらず俺の後ろにしっかりついて歩いている。


水鳥の雛のようだ。


それにしても、穴を掘っているルヴルフはおしりをふりふりさせて可愛い。


爪で掘った細かい土は、近くの土とくっつき合いながらブロック状の塊になっていた。


洞窟内は土で汚れないし土埃も立たない。


ブロック状になっているので運ぶのも楽だが、モンスターが掘るとこうなるのだろうか。


腰に差してある道具から壊れなさそうな鉄製の杭を取り出し壁を掘を掘るために突き立てたが硬くて全然掘ることができなかった。


この場所は、魔物しか掘ることができない場所になっているのかもしれない。


知らない事ばかりで下手に聞かれたらと考えると冷や汗が出てきた。


知らない事は誤魔化して乗り切るしかなさそうだ。


とりあえず、巣をほる場所も指定しておいたので後で巣が本当にそこに作ってあるか確認が必要だな。


一本道とはいえ洞窟内を歩くのは疲れてしまう。


他と同じつくりだと、勘の良い冒険者ならすぐに攻略されそうなのが心配だ。


二層目を作らないと駄目か・・・。


「ライルさん、大部屋って移動できるのでしょうか?」


「階層?が増えると下に移動すると商人が言っていた気がします。」


「なるほど、そのあたりは確認してみよう。」


ライルに何気なく聞いてしまったが、結構危険な行為では無いか、こう言うことからボロを出してしまい賢者ではないことがばれてしまう。


ライルと話すときは考えて話さないといけない。


「シャルル様のルヴルフへの指示にとても感動しました。それに設計図があんなにも早く出来るなんて素晴らしすぎます!私が依頼してまだほんの少しだというのに凄すぎます・・・。」


感動しているライル君にはわるいんだが、あれは設計図じゃなくてシアを攻略するために購入していた地図なんだよなんて言えないよ!


と罪悪感を抱きつつも部屋へともどるシャルル。


そんな彼は何かしなければならないことを忘れていたことに気がついたのは、3日後のことであった・・・。


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