第35話【エピローグ】
「クロちゃん?」
「クロちゃん~♪」
「ニャー♪」
あの後、僕が名付けた子猫の『おもクロ丸』という素晴らしい名前は何故か『クロちゃん』という愛称で彼女と姉に呼ばれることになった。
……実に不服である。
「違うよな? お前の名前はおもクロ丸だよな?」
「シャーッ!」
あと、あいかわらずこのクソ猫は僕に懐いてくれない。
畜生……一番高い猫缶に餌を変えてやっというのに!
「本当にウチの弟のネーミングセンスの無さには脱帽だよね」
「クロちゃんの名前を聞いた瞬間に、絶望しましたです……」
本当に散々な言いようである。
「でも、お姉ちゃんからしたら、クロちゃんがいたおかげで、サトルちゃんがモモカちゃんみたいな良い子と出会えたわけだし、クロちゃんは恋のキューピットだね♪」
「ミャ―」
「そ、そうですね……」
「…………」
なんて恥ずいことをこの姉は言っているのだろうか?
「でも、キューピットというよりはわたしは神様みたいだと思います」
「神様だって?」
「シャー!」
これが……?
「モモカちゃん、それは何で?」
「えっと……何となくなんですけど……」
「ニャ~」
「わたしがあそこでクロちゃんを見つけなかったら、サトルくんと出会うどころじゃなかったと言いますか……」
「…………」
確かに、子猫を拾わなかったら彼女は……
「だから、クロちゃんはわたしの恩人でもあるんです。それに、サトルくんと出会えたのも運命みたいで……だから、神様みたいなんです!」
「うーん~? まぁ、アタシにはよく分からないけど、モモカちゃんがそう思うならそれでもいいんじゃないかな♪」
「は、はい!」
「ニャー♪」
これが神様ね……。
「まぁ、僕からしたら神だとしても死神の方がしっくりくるけどね」
だって、コイツ黒猫だよ?
「シャーッ!」
「どあ!? 止めろ! 引っ搔いて来るな!」
「あぁ、クロちゃん! 暴れたらダメです!」
やっぱり、こんなネコ拾ってくるんじゃなかったと僕は後悔した。




