舞踏会で
そうして、生誕祭の日がやってきた。
私は何とか手に入れた淡い水色のドレスに袖を通した。
パール(フェイクだが)が所々に施された可愛らしいものだった。
少し私には可愛すぎるだろうか…?
鏡の中の自分を見ながらそんな事を思った。
しかし、もうマーラー様との待ち合わせの時刻である。
私は襟元に唯一持っている、アクアマリンのネックレスを付けると、足早に部屋を後にした。
「あら、エアリス様、今日は可愛らしい事。」
「え、えぇ、少しドレスが可愛過ぎるような気が…」
「いいえ、あなたのお淑やかな雰囲気とよく似合っていてよ?」
「ありがとうございます。」
そして、舞踏会場へ向かった。
舞踏会場は後宮の反対側の王宮の2階のホールだった。
白薔薇が見事にアーチ状に飾り付けられ、さらに、花弁が透明の糸で宙に浮いている。
幻想的な白とゴールドの空間に入り、息を呑む。
「素敵ですね。」
「皇帝陛下・ロイス様は白がお好きなのよ。」
「へぇー、それで!」
私はやはり、キョロキョロと辺りを見回した。
ワインタワーにももちろん白ワインが注がれている。
そして、舞踏会場がガヤガヤしてきた頃、トランペットが勢いよく鳴った。
どうやら、皇帝陛下のお出ましらしい。
私たちは一堂に腰を落として顔を伏せる。
コツン…
コツン…
と、音がして…
皇帝陛下が階段を降りると、トランペットは鳴り止んだ。
「面を上げよ。」
そう言われて顔を上げ、皇帝陛下を見ると…
あ、あ、あ!!!
あの、男性客だ!!!
あの時とは髪型も服装ももちろん違うが、あの切れ長のヘーゼルブラウンの瞳を、私が見間違うはずは無い!
「嘘でしょう…」
そう思わず呟いた私に、皇帝陛下はニヤリと笑うと、話を続けた。
「みんな、今日は良く集まってくれた。
今日は私の26歳の誕生日だ。
この年で祝うのも照れるが。
みんな、今宵は大いに、飲み、食べ、踊るがいい。」
そして、ダンス曲が始まった。
女性達はみな、皇帝陛下が誰をダンスに誘うかに注目している。
まぁ、順当に行けば、お后レース首位のサシャ様か、ハンナ様か…
誰しもがそう思っていた。
しかし、皇帝陛下が歩み寄ったのは…
「エアリス姫、俺とダンスを踊っていただけますか?」
私、だったのだ…
「で、でも…」
「なにせ、俺は食い逃げだからな。笑
代金分、リードさせていただく。」
しまった!
私の叫びが聞こえていたのか!
「エアリス様、受けないと失礼でしてよっ…!」
マーラー様が耳打ちする。
「喜んで…」
私は少し冷たい皇帝陛下の手を取った。
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