無銭飲食
「こ、こ、これは…!
なんと言う美味しさ!
表現し難いドロっとした食感!
なんとなく甘いような気もするし…」
「ふふふ。
芋ですからね。
多少の甘みは感じるかと。」
「そなた、ただの令嬢では無いな!?
さぞかし名のある料理人と見た!!!」
指差して言う、謎の男性。
「いえ、私はただの令嬢でございます。」
「…後宮に入っていると言う事は、誰かの后なのか?」
「いえ、私は皇帝陛下のお后レースから外れた身ゆえ、誰も貰い手は無いでしょう。」
「なんと…!」
謎の男性は切れ長のヘーゼルブラウンの瞳をまんまるくする。
「そんなに驚く事でもありませんわ。
私のダンスや歌、楽器の腕前を見れば納得する事でございます。」
「しかし、皇帝陛下がそなたを気に入るかもしれないだろう…?」
「そんな事は、隕石が落ちる確率もございません。」
「そうだろうか…?」
「えぇ。」
私は短く答えた。
「ふむ、ご馳走になった。」
そう言って男性は去っていった。
代金を払わずに。
「食い逃げかぁ!?」
私は男性が去った後の廊下で叫んだのだった。
♦︎♦︎♦︎
そんな中、部屋に帰ると、皇帝陛下の生誕祭の招待状が届いていた。
はぁ?
なぜ、私に???
お后レースからも外れ、ひっそりと後宮で生きる私に、生誕祭の招待状など届くはずもなかった。
しかし、立派なエンジ色の封筒に金縁があり、さらに皇帝陛下の刻印がしてある。
これ、行かないとまずい奴じゃね?
しかし、行きたくない。
彩りの食器などを買う為に、ドレスはもう売ってしまったし、そもそも行きたくないのである。
はぁぁ…
困ったな。
そうだ、フィオ様からいただいた金貨があるではないか?
でも…
そういえば、あの謎の男は一度も代金を払っていない!
なんて奴だ!
無銭飲食だ!
そう思ったものの、次の日、マーラー様を訪ねた。
「まぁ、レストランのお誘い?」
「あ、いえ!
いえ、それもありますが…!
今日は少し相談がございまして…!」
「あら、何かしら?」
「実は…」
私は生誕祭の招待状をテーブルに置いた。
「こ、こ、これは…!?
皇帝陛下の生誕祭の招待状ではありませんか!?
なぜ、あなたがこんな物を!?」
「やはり、そう思いますか?
私も不思議でならないのです…
私はお后レースからも外れていますし。
皇帝陛下と面識もありません。」
「しかし、この封書にはあなたの名前がきっちり書いてありましてよ?」
「そうなのです…
やはり、行かなければならないでしょうか…?」
「行くべきですわ。
私も取締役として出席しますから、不安ならば私と行きましょう?」
「ありがとうございます。
そうさせていただきます。」
ここまで読んでいただき誠にありがとうございます!
少しでも面白ければ、お星様☆やブックマーク、イイネ、お願い致します!
感想飛んで喜びます!




