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侯爵様の悪役令嬢(自称)  作者: 杉野みそら
第十三章 ルシアの先祖返り

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私のルシア

引き続きエルド侯爵様の独白です。普段滅多に自分の心を明かさないエルド侯爵の想いとは?

「……まいったな」


 (閉じ込めてしまいたい)


 私らしくもなくそんな考えが浮かぶ。ルシアを前にしては、理性で押さえつけていた感情が溢れ出してしまう。


 ルシアを……誰の目にも触れない場所に。

 宝箱に仕舞うみたいに。大事に。

 私だけのものにしてしまえたら、どれだけ楽だろう。


 誰にも見せず。


 誰にも触れさせず。


 私だけが、彼女の笑顔を知っていればいい。


(……最低だな)


 そこまで考えて、ハッと思考が戻る。

 違う……これは。


 それは愛じゃない。ただの所有欲だと気付く。


 ーールシアは鳥だ。


 檻に入れた瞬間、きっと死んでしまう。


 踊っている時の彼女は、あんなにも自由で、楽しそうで、光そのものだったのに。


 そんな彼女から自由を奪うなんて。


 そんなことーーできるわけがないだろう。


「……ルシア」


 かすかな声で名前を呼ぶと、ルシアがこちらを見てぱっと笑顔の花を咲かせる。


 太陽みたいな、無防備な笑顔を向ける。


「……っ……」


 笑顔を向けられた。たったそれだけのことで。


 胸の奥の黒い感情が、すっと溶けた。


 ああ。そうか……私は。


(ルシアを手に入れたいんじゃない。ただ側にいて笑っていてほしいだけなんだ)


 それだけでいい。


「……美しい踊りだったよ。惚れ直した」


 色々と思うこと、伝えたいことはあるのに……口をついて出るのはそれだけだ。全く……口下手な自分を今日ほど憎んだことはない。


 だが、目の前のルシアはまっすぐ私を見てとびきりの笑顔を見せている。

 それでいい、ルシアが笑っていてくれるだけで。


 ーーと同時に少しだけ怖かった。油断するとルシアの周りにはすぐ人だかりができてしまう。


 今も、ルシアは人に囲まれて困惑している。


 こんな女性が隣に立つのだ。


 きっと私は、これから何度も嫉妬して、何度も心をかき乱されるだろう。


 それでも。


 それでもいい。


(すでに、恋に落ちていたのだ)


 理屈ではなく。


 打算でもなく。


 ただ、心が望んでいる。


 ――彼女と生きたい、と。


 私は初めて、感情で未来を選んだのだ。


 足をルシアの方へ向ける。

 とりあえず、あの人だかりからルシアを救出しなきゃな。


 閉じ込めるなんてことはしない。自由なルシアの足を枷で嵌めることなどは論外だ。


 それでも今は、誰にも触らせたくない。あの輝きに。あの赤い髪に。


 なんせルシアは私のーー


 私のルシアなのだから。

ルシアのことを一番わかってるのは侯爵様ですね。

自由に生きてこそルシアは輝く。


最後まで読んで頂きありがとうございました。

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