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侯爵様の悪役令嬢(自称)  作者: 杉野みそら
第十三章 ルシアの先祖返り

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私と婚約してくれますか?

夜のように落ち着いた雰囲気のエルド侯爵が一歩ずつルシアに近付いてくる。その仕草はまるで……

「君はいつも悪役令嬢になりたいだとか、婚約破棄に憧れているだとか意味がわからない事を言うけれど……」


 そう言って侯爵様はクスッと笑った。


 ああああ忘れてください!私の夢なんて!!


「でもそれが私には新鮮で、誰よりも眩しかった」


「へっ?」


 胸が、ぎゅっと締め付けられる。


「おまけに私の前で踊りを披露して、私の心は完全に君に奪われてしまった」


「……そ、それはヴァルターが……」


 あれはヴァルターがこの婚約に反対してたから……夢中で……


「……ヴァルターだけじゃない。ここにいる皆、君の踊りに納得させられた」


(ルシア、君に伝わっているだろうか?私にとって君がどんなに美しく、輝いて見えるか……)


 銀の双眸が私だけを見つめてる。視線が私を捕えて逃がさない……


「君が好きだ。ルシア・カルミナート」


 侯爵様はそう言いながら私の手を侯爵様の胸に添える。


「……っ、あ……」


 侯爵様も、ドキドキしてる?鼓動が伝わってくる。


「……//」


【君の事が好きだ、ルシア・カルミナート。それが理由ではダメか?】


 いつぞやと同じ事を言われて、私の心臓も再び跳ね上がった。


(どうしよう……嬉しい……)


 その時、皆が固唾を飲んで私と侯爵様を見る気配が伝わってきた。


 こ、これはもしや。この状況は……


「私と、正式に婚約してくれますか」


 ああああああ!!夢にまで見た婚約破棄!じゃない!!婚約!!


「生涯、君の隣に立つことを許してほしい」


「……わ、わた、私……」


 どどどどどうしよう。私は悪役令嬢なのに……いや、本当は違うんだけど、でも。


 いえ、私は……本当は……


 私の本当の気持ちは。


「ルシア」


 侯爵様に名前を呼ばれるたび、なぜか「大丈夫」と思えた。

 侯爵様が微笑むたび、胸の奥が暖炉の火を灯したように暖かくなった。


 それはきっと悪役令嬢だとか関係ない。


 私はきっとーー


「……はい……」


 私の声、震えてなかったかな?


「よろしくお願いします……エルド様」


 その瞬間、割れんばかりの拍手が再び広間を満たした。


「ありがとう、ルシア」


 そう言って侯爵様は私を軽々と持ち上げ、お姫様抱っこをした。


「こ、侯爵様!//恥ずかしいです!!」


「ははは。何を言う。君は私の婚約者だ。恥ずかしいものか」


 人々の祝福の拍手は、いつまでもやまなかった。

いやまだ婚約してなかったんかい!とフウカのツッコミがきそうですが……仕方ないです。

やっと婚約成立!おめでとうございます♪


最後まで読んで頂きありがとうございました。

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