この胸の痛みは何?
※今回は割と真面目な話です。
ルシアはフウカを伴わず回廊を歩いていた。すると侍女の噂話を聞いてしまって……
エルド侯爵を書斎に寝泊まりさせて(※ルシアはこのことを知らない)すっかり回復したルシアは、早朝目覚めて一人屋敷内を散歩していた。
(侯爵様には誰かと伴って周りなさいと言われたけど、屋敷内ならいいでしょ)
「エルド様は…………」
「…………らしいわね」
(ん?侯爵様のことを何やら話してるみたいね!侍女たちが話してるのかしら??)
ルシアは侍女たちの噂話がよく聞こえるように壁になりきって耳を傾けた。
「エルド様って、婚約なされてから一切浮ついた噂がないわね」
「今まで来るもの拒まず去るもの追わずで遊んでいたって噂も嘘なのかしら?」
「嘘でも婚約してからそんな噂がピタリと止んだのは衝撃よ」
「でもどうかしらね?いくら婚約したと言っても所詮は政略結婚でしょう?どうせ今までの女性と一緒よ」
* * *
「……つまり私を隠れ蓑に本人はやりたい放題するってわけ?ほらやっぱり浮気者なのよ侯爵様は!言質は取れたわ!」
ていうか侯爵様は今まで散々……
『怪我はないか?指を切ったりは……』
だの
『私が離すと思うか?君を……』
だの
『君が他の男と密着しているのが、気に入らなかったんだ』
だの、
『私だけが弱っている君の姿を知っていると思うと、どうしようもない高揚感に包まれてしまう』
だの言ってきたくせによぉ!!
それって全部が全部!手の込んだお芝居だったってこと!?
ズキッ……
あれ、この痛みは知っているわ。侯爵様のことで何回か味わった痛み。
『君の誤解が解けるまで口付けようと思ってね』
ルシアの顔がみるみる真っ赤になる。
「何よ……嘘つき……ふぇ、え……」
わけがわからないままに頬をつたって、次々に溢れ出る涙。止められない……
頑張れルシア様!それは恋を知るために必要な痛みだ!
最後まで読んで頂きありがとうございました。




