好きとかまだわかんない!
「お嬢様、お気を確かに。好きな人が来てくれて嬉しいのはわかりますが、毎回知恵熱を出されて倒れては困ります」
「ち、ち、ち……違うわ!!私はべつに侯爵様の事が好きなんじゃなくて!ちょっと動揺しただけというか……//」
ルシアのその言葉を聞いてエルドの眉間に力が入る。
「ルシアは私が好きではないのか?ならなんであの時私からの口付けを受け入れたのだ」
エルドはみるみる不機嫌になり、口調が硬くなる。
「まあまあ、エルド様落ち着いてください。ルシア様は今混乱しているのです。わかりますか?お嬢様には何もかも初めての経験だったのですから……」
初めての経験?
そうか、ルシアにとってはキスも初めての経験。だとしたら恋も……?
エルドは思わず口元に手を当てて、自然と顔が綻ぶのを慌てて隠した。
心なしかほんのり顔が赤くなっている。
(なんという……このエルド・グレイシアードが、たった一人の少女の初めての相手になれた事を喜んでいるだと?まるで少年のように……)
ルシアはやがて布団の隙間から、目だけちょこんと出した。
「す……好きとか……そんなの、まだわ、わかんない……//」
その瞬間、エルドの表情がふわりとほどけた。
あからさまに嬉しそうだ。
「……そうか。わからないなら、わかるようにしていこう。私が」
エルドはそう言うと、ルシアの目だけ出ている布団を剥ぎ取った。
「えっ!?//ちょ、ちょっと待って侯爵様!意味がわかりません……!?」
ルシアが慌てて暴れ、布団が舞う。
「そこまでですよ。お二人とも!エルド様は張り切りすぎです。まずはルシア様の熱を下げる事が先決です。『好き』を教えるのはそのあとです!」
「は、はい……」
フウカにそう言われて、確かにそうだとエルドはしょげていた。
(そうだ、まだ時間はたっぷりあるのだ。ゆっくりと教えていけば良い……)
ふと見ると、ルシアの真っ赤な顔と金色に輝く瞳と目が合った。
その困ったような、どうして良いかわからないといった表情に、エルドの心はすっかりほころんでいた。
エルド様は大人で紳士ですから……汗
ルシア様が恋に気付くまで待ってくれると思います。
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