まさかあれだけで熱を?
ルシアは相変わらず恋に気付かないでいた。
そしてエルドにキスされたことを思い出すのだが……
「うーん……ねぇフウカ〜?」
アオイに乗るための服に着替えながらルシアはフウカに声をかけた。
「なんですかお嬢様」
「あのさ、ここここ侯爵様の事なんだけどさ//」
「はい」
「侯爵様は、私の事その……好きだと思う?それとも……違うと思う?//」
……いえ!あのキスはきっと事故みたいなものよ!侯爵様にとってはキスなんか挨拶程度のもので……
でも私にとっては初めてでーー
「……って、ああああ!!よく考えたら私初めての口付けでしたわ!」
フウカは首を傾げていたが、やがて合点がいったように顔を綻ばせた。
「なんだぁ〜結局婚約破棄はされなくて、逆にキスしちゃったんですね。早く言ってくださいよ。で?どんな状況でしたんです?ロマンチックでしたか?」
「ぅ……それは……//」
ルシアの脳裏にあの日のエルドの顔が浮かぶ。
『……私が離すと思うか?君を……』
「わひゃー!!//」
突然意味のわからない叫びをあげたかと思うとルシアはその場にぶっ倒れてしまった!
* * *
「ルシア!大丈夫か?熱が出たと聞いて……」
エルドはわざわざ仕事を途中で切り上げてルシアの部屋に来ていた。
(えっ?侯爵様直々にお部屋に来るなんて珍しい……アキラ調べによると今までエルド様は仕事を途中で抜けるなどなかったと……)
「フウカ、ルシアの具合はどうなんだ?」
「ただの知恵熱ですよ」
「えっ?」
知恵熱??なんだそれは?
「ルシア様は今まで知らなかった事を知ったのです。エルド様、お心当たりはありませんか?」
「お……」
そういえばキスをしたな。
……まさかそれで……?
エルドは自分の口元をいかにも「心当たりがある」という感じで押さえた。
「いや、それは……あるといえばあるが……」
まさかそれだけで熱を??な、なんと可愛いらしい……//
フウカは呆れたように軽く息をついた。
知恵熱は笑うしかないですね。
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