侯爵様は何故怒ってるの?
婚約破棄の紙(自作)をルシアはエルドの前に差し出したが、なんだかエルドの様子が変で……
一瞬にして部屋の空気が変わる。さっきまで軽やかだったのがエルドの一言で一気に重くなる。
(あっあれ?なんか私また変な事をしちゃったのかしら?汗)
ルシアは焦ったように捲し立てる。
「……だって侯爵様は来るもの拒まず去るもの追わずで、結婚したら私なんかお飾りになって、侯爵様は私を放ったらかしにして女を取っ替え引っ替えで……」
なななな何を言ってるのよルシア!こんな事を言いたいわけじゃなくて私は……
「……は?……」
「あっ……私はまた何か余計な事を……」
ルシアは慌てて両手で口を押さえるが、遅かった。
部屋中に重苦しい雰囲気が漂い、エルドの怒りで空気が押し潰されそうだ。
(ルシアは私をそんなふうに見ていたのか??結婚したら君を放って、他の女性と遊び呆けるだと?)
どうしようもない怒りと焦燥感がエルドの内を駆け巡る!
「……私が君を放っておくだと?」
吐き捨てるようにそう言うとエルドは力任せに書類をビリビリに引き裂いた!!
「ああっ!エルド様!何を……(私の力作を……)」
「えっ……」
いつのまにかルシアはエルドに腕を掴まれ、壁に追いやられていた。
「エルド様?な、何を……」
え……
「…………ふざけるなよ、ルシア……」
「ぇ……」
ドクンッ!!
エルドと目が合った瞬間、ルシアは何も言えなくなった。ただただ目の前の男の雰囲気に圧倒される。
(怒ってる……エルド様?)
これは、いくら察しの悪い私にもわかるわ!この感じ……エルド様は怒ってる!!でもなぜ?私の書類に不備があったとか!?
「ぃたッ……」
エルド様、力強い……
「エルド様、少し力を緩め……」
その瞬間、エルドはルシアの顔を強引に持ち上げそのまま口付けた。
「んっ!」
えっ……何この……
「ッ……//」
キスしてる?私、エルド様とキスしてる!!
「……私が離すと思うか?君を……」
やっとの事でエルドが唇を離した時には、ルシアは腰が抜けていた。そのルシアの抜けた腰を引っ掴んでエルドがもう一度触れるだけのキスを落とす。
「……離すわけがないだろう。ましてや君を放っておくなど……」
(もうすでに、君から目が離せないでいるというのに)
なっ、なっ、なっ、なっ、何が起きているの!?//
一体何がどうしてこうなったの!?
ーーでも、エルド様の胸が、抱きしめられてる腕が温かくて……それが心地よくて。
私ルシアはただただ頷く事しかできなかったのです!!//
ルシア様に「私の力作(笑)を……」と言わせる事ができてよかったです。
最後まで読んで頂きありがとうございました。




