私はルシア嬢を好きなのか?
ルシアがエルドのことで悩んでいる時、エルドもまたルシアのことで複雑な思いを抱えていた。
「フウカ!ほら見て!実家からアオイを連れてきたの」
「お嬢様危ないですよ!」
「大丈夫よ!アオイは大人しくてとってもお利口さんなんだから」
何やら騒がしいな……
私はエルド・グレイシアード。グレイシアード家の時期当主。
ちょうど休憩中に窓の外を見ると、ルシア嬢がフウカと一緒に何やらはしゃいでいる。
不思議だ……今までこんな事はなかった。思わず目で追ってしまう。あの弾けるような笑顔。
赤い髪が煌めいて、太陽みたいな金色の瞳が眩しくて……
「不思議なお嬢様ですよね、ルシア様って」
「……アキラか。私はただ外を見ていただけだ」
「外だけねぇ〜……」
アキラの意味ありげな言葉に思わず眉間に力が入る。
「……何を言いたい」
「俺は別に。旦那様がやけに熱心に窓の外を見ていらっしゃるんで、何かあるのかと覗いてみただけですよ。そしたらルシア様がいらっしゃるではないですか」
アキラは私の従者で、舌がよく回り、言葉数のやたら多い奴だ。
「あの赤い髪と金色の瞳、珍しいですよね」
アキラの余計な一言に私はまたも苛立つ。
「アキラ、私の婚約者だぞ!」
「そんな怖い顔しなくても……」
(わかりやすいなこの人……)
「好きなら好きっておっしゃればいいのに……」
「何か言ったか?」
アキラは軽く息をつき、誰に言うとでもなく呟いた。
「……これは俺の独り言だけど、不思議な方でもあり、魅力的なお嬢様ですよね。ルシア様。目が離せないというか」
「アキラ、いい加減にしろ……」
瞬間、部屋中の空気がずぅんと重くなり、エルドの銀色の目が細められ、明らかに殺気を纏う。アキラの背中に冷たいものが走る!
「うお、怖い怖い!殺されない内に退散しなければ!」
アキラは脱兎の如く部屋から出ていった。
まったく、好きなだけ喋っていきやがって……
『好きなら好きっておっしゃればいいのに』
私は先程のアキラの言葉を反芻していた。
好き……なのか?
誰が?
誰を?
侯爵様は侯爵様で自分の気持ちに気付いてないです。
いや、ただ単に認めたくないだけかな?
アオイはルシアが可愛いがっている馬の名前です。
最後まで読んで頂きありがとうございました。




