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侯爵様の悪役令嬢(自称)  作者: 杉野みそら
第一章

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黒いドレスの悪役令嬢?

悪役令嬢らしい格好にすっかり気をよくしたらしいルシアは結局街に出て行ってしまった。

 コンコンッ!


 エルドの従者、アキラが控えめにエルドの部屋の扉を叩く。その表情には若干の疲れが見えていた。


「……アキラか。何の用だ?」


 難しい顔で書類を片付けていたエルドが、顔も挙げず口を開く。


「それが、ルシア様が……あの、その……」


 アキラはしばらく言うか言うまいか逡巡していたが、やがて意を決したように口を開いた。


「何?ルシア嬢がフウカと共に市井に買い物に行った??」


 エルドの手が止まり、アキラを睨む。その眼光は鋭く、眼差しだけで人が殺せそうだ。


「いえ!俺は何度も止めたんです!本当に!でもあのお嬢様がどうしてもって……泣」


 エルドが仕方なさそうに軽く息をついた。


「……私の婚約者をそのように言うのはやめろ。だが、何か事情があるのかもしれん。探してくる……」


(クソッ、どういうつもりだルシア嬢)


 エルドはそう言うと、外套をさっと羽織り、あっという間に出て行ってしまった。


 * * *


 一方ルシアとフウカはというとーーーー


「フウカ見て!この扇子!悪役令嬢が持ってるっぽくない!?孔雀の羽根までついてる!」


「……ええ、そうですねお嬢様。でもそのドレスには少々ちぐはぐでは?私はこっちの方が……」


 久しぶりの街をめちゃくちゃ楽しんでいた。


「おい、あれ見ろよ。あの黒いドレスの赤い髪の派手なお嬢様……カルミナート家の……」


 明らかに市井に不似合いな目立つ格好でウロウロしていたルシア達(特にルシア)は、不埒なやからに目をつけられていた。


 ーー街を照らす日は傾き始めていた。


そりゃそんな目立つ格好をしてたら変な人が寄ってきますって!


最後まで読んで頂きありがとうございました。

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