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侯爵様の悪役令嬢(自称)  作者: 杉野みそら
第一章

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足りない悪役令嬢要素とは!

健気に悪役令嬢を目指すルシアお嬢様を、フウカはどう思っているのでしょうか?

「ねぇフウカ〜?私に足りない“悪役令嬢要素"って何かしら?」


 またお嬢様がおかしなことを言い始めた。思えばお嬢様は昔からこうだった。夢みがちで、ちょっと変わったお嬢様。


 ーーお嬢様との出会いは、ルシアお嬢様が5歳、私が11歳の頃でした。


 ルシアお嬢様の第一印象はとても可愛いらしくて純朴そうで。赤い髪と金色の瞳がとても印象的な子。


「フウカ、ちょっとこの子変わったところがあるんだけど、悪い子じゃないのよ。ただ少し好奇心旺盛というか、夢みがちというか……とにかくよろしくね」


「……?はい、奥様」


 するとそれまで奥様の影に隠れていたルシアお嬢様がひょいと出てきたのです。


「フウカ、よろしくね!これ、おちかづきのしるし!」


 何やらお嬢様は手に握っているようだ。私は何かわからずに受け取ってしまった。はいあげる、と満面の笑みを浮かべてお嬢様が渡してきたものは……蛙でした。


「ぎゃあああああああ!!」


 それが私とルシアお嬢様の出会いでした。


 ルシア様は奥様の言う通りかなりの変わり者でしたが、それはただ単に好奇心旺盛すぎるが故のことでした。

 時が経つと共にかえるや生き物に対する興味は無くなり、お嬢様がちょうど文字が読めるようになった時のことです。お嬢様は今度は読書に夢中になりました。


 朝も昼も夜も、飽きるまで図書室の本を読み漁り、新作が出るたびに手にとり、いつしか『悪役令嬢』というものに憧れを抱くようになっていったのです。


(まぁ可愛いらしい悩みですよ。悪役令嬢要素が足りないと嘆く令嬢なんて、みたことも聞いたこともなくて私は新鮮です)


 振り回されることも多いし、混乱することも多いけど、お嬢様が笑うたび、照れるたび、いつでも全力疾走な姿勢、その伯爵令嬢らしからぬ素朴な態度に、私も惹かれているのです。


「ルシアお嬢様、一旦初心に返って『悪役令嬢』を形から始めるのはどうですか?こう、いかにもな黒いドレスを着て、ギラギラした化粧を施すんです」


「いいわね!それ!」


 なんだかんだ言っても、ルシアお嬢様の願いは出来るだけ叶えてあげたい。


 どう考えても無理なことに挑戦する姿。その健気な姿に心打たれて、私はルシアお嬢様を応援したいのです。


フウカはどう考えてもルシア様が悪役令嬢になれないとわかっていて悪役令嬢の練習(笑)に付き合っているんですね!


最後まで読んで頂きありがとうございました。

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