18.継続は力なり。
あれから一週間が経過した。
俺は毎朝フィオの作ってくれた特訓ノートを元に
基礎トレーニングをしてから仕事に行く。
「おはようございます」
「おうっレオナルド。大分筋肉が付いたんじゃないか?」
先輩のウィッドさん。
今は引退したが、かつてはモンスター狩りの名手で
仲間からは“剛腕のウィッディー”と呼ばれていたらしい。
「おれも腰さえやらかさなければまだまだ現役...」
シュッ...シュッ...華麗なジャブを繰り出す。
「はいはい、おじいちゃんはこっちね〜?」
ケニーが意地悪そうに雑用を持ってやって来た。
彼と彼女は開店当時からの旧知の仲である。
年の差こそあれこの店のボスは彼女なので
きついボディブローを時折このように打ち込まれるのだ。
「相変わらずキッツいわ。おじいちゃんだってさ」
俺の方を見て小声でぼやく。
まあ、片足踏み込んだ年齢なのは間違いないが。
俺が当日受付分の荷物を積み終えると
ウィッドは隣町までバンを走らせて行った。
「はい、荷物も無いし今日は早いけど上がっていいよ」
ケニーがいつのもようにコインの入った袋を手渡すが
なぜかウェザーの袋の方が大きい気がする。
俺のはいつもと同じ位の重さなのだが...
「それね、臨時ボーナスみたいなものだから」
どうやら先週ウェザーは新しい能力“天気予報”で
一週間分の天気を教えてあげたらしい。
そして一週間が経ち、見事にすべて的中したから
“臨時ボーナス”が貰えることになったのだ。
「すごい助かったよ。この仕事は影響あるからね」
「来週もまたお願い出来るかな?」
ウェザーはそう言われてとても上機嫌だ。
「あとレオナルド、それは彼女のだからね?」
ケニーがそう言って俺に釘を刺す。
ガチャにでも流用すると思ったのだろうか...
人(精霊)のお金使ってまで回さないですよ。
ただ、彼女の取り分から食費だけ出してもらっている。
これだけでも正直物凄く助かっている。
何故って毎日欠かさずお肉食べるからね。この娘。
「そっかぁ...いいねぇ〜精霊ちゃんは太らないもんね」
羨ましそうに細っそりとしたスタイルの彼女をみる。
人間と構造が違うから太るという概念がそもそも無い。
だから満腹になるまで食べ続けられるのだ。
「じゃ、おにく買いに帰るね〜」
「はーい、いってらっしゃ〜い」
この後、彼女はいつもより高級な肉を沢山買い込んだ。
そして夕食の後。
毎晩の日課となった素振りを忘れずにする。
シュンッ...シュンッ...シュンッ
明らかに朝の時とは違い
ブンッって重くて大振りだった音が
なんだか俊敏で軽い音に変わっていた。
寝る前には苦手な戦術の勉強もしているが
(今日はちょっと疲れたな...)
戦術編IIまで読み進めたところで
俺は深い眠りに落ちていた。




