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140.神々の落し物。

地上から端末のカメラで飛空挺を撮る。

フィオは乗り物が好きだから

たくさん写真を送ってあげようっと。


(パシャリパシャリ...あれ?)


船底に書かれていた謎の文字が

なぜか撮った写真には写っていない。

目視では間違いなく確認できるのに謎だ。


「なにやら魔力を含んでおるぞ」

「この文字も女神の幸印とかなの?」

「左様。それにしても汚い筆跡であるな...」


ビッシリと几帳面に書かれている割には

簡単には読めないほどの達筆で

解読するにはかなり時間がかかりそうだ。


「これで行けば時間も短縮できるだろうさ」

「引き上げるから綱に捕まってくれ」



♢飛空挺のブリッジ


ギギィ...カランカランカラン


順番に中へと乗り込む。

この昇降機も魔術動力で動いているようで

歯車らしい歯車は見当たらない。


「どれも不思議だらけだよ。資料も少なくてね」

「正直飛ばすのはこれが初めてなんだ」


不安なことをサラリと言い放ったエマ。

乗り込んだのは良いけれど動かせるのかこれ...


「船の操縦とは違うのか?」

「う〜ん...これは流石の私でも無理かも...」


レイナが航海士だからと当てにしていたようだが

頼りの彼女でも飛空挺は勝手が違うようで

さっきから上空をクルクルと旋回するばかり。

(これじゃ徒歩で行くしかないな...)


カランカランカラン...


「ふぅ...やっと読み終えたぞ。どれ貸してみよ」

「動かせるのイルジオネ!?」


最後に遅れて上がってきた彼女は

複雑な操舵室の計器をいくつか触ってから

ハンドルをぐうっと引き寄せた。


...フヌウッ!

グィングィングィングィングィン.....


「すご〜い!動いたよ女神様っ!」

「“トリセツ”を読めばたわいも無いこと」


先ほどの達筆過ぎて読めない船底の神代文字には

幸印の他にも操縦方法からメンテナンスの仕方まで

事細かに記されていたらしい。


「あの膨大な量をいつのまに...すごい」

「字が小さくて途中で叫びそうになったがな」



♢空の旅・雲の彼方へ


フォンフォンフォンフォン.....


中世後期のものだと思われていたこの飛空挺。

これは神々の権力争いで使用された聖遺物であり

地上に落ちたソレを後に人が組み直したようだ。


「余にも知らぬ刻(とき)ゆえに詳しくはな」

「アンタが知らないなら相当昔のーイデッ!」

「それ以上口にするでないぞっ!」


ベシベシベシン!


いつもの俺みたいに叩かれるラファエル。

エマからもデリカシーがないと怒られ

温厚なカレンにも同調される始末。

このメンツに年齢の話は絶対NGらしい。

(気をつけようっと...)


「見てっ!雲の先に大きな山があるわ」

「それは“うぃき”とやらに載っておったぞ」


パチパチ...カチッ


ログの情報だから信憑性はともかく

女神の知らない情報まで載っているなんて

情報化社会恐るべしである。


「かつて炎女神フレイアヌスの地であったがー」

「宝石好きで幾度も火山を噴火させた後に失脚」

「現在では休火山となったそうな...とあるぞ」


なんだかやばそうな女神様だけれど

噴火は魔力を含んだ石を大量に放出する。

つまりは“魔石”を産み出すのである。

普通の宝石ならまだ残っているかもしれない。


ビュゥゥン...バサバサ

ヴィアッ!ヴィアァァァァ!!


「おかえりグリフォン。何を持ってきたの?」


...ポトリ


天気が良いから外に放していたグリフォンが

キラキラとした何かを床に落とした。

(これ...ちょっと小さいけど宝石だぞ!?)


いつぞやに覚えたスキルで探してきたのか

得意げな表情で俺の顔を見ている。

これも綺麗だからフィオにー


コツコツ...コツコツ...


「おぉ...この輝き...たまらぬぞ」

「余への貢ぎ物とは良き心がけである」


(あぁ...売っても多少のお小遣いになるのに)


女神属が宝石などの光り物が好きなことを知ってか

くちばしでコロコロと器用に転がして

イルジオネの足下に献上したグリフォン。

残念だけど本当に宝石が出るなんて夢があるし

いっそトレジャーハンターで一攫千金を...


カプッ!

「ちょっ...うあぁ...(モゴモゴ)」

「やましい事を考えた罰であろうなレオナルド」


頭からパクつかれて大量のヨダレにまみれた俺は

船の中にあるシャワー室へ。

お湯も普通に出るけどこれは本物ではない。


シャァァァ...スゥ...

(これ全部魔法で賄っているんだな...)


排水口が無くても湯は何処かへ消えてしまうし

キッチンや部屋の照明、暖房や冷房などの

ありとあらゆるものに魔法が仕組まれていたが

エマはほとんど魔力を供給していないようだ。


「確かに色々と人間業ではなさそうですね」

「効率的(エコ)だけどなんだか怖いわ」


フォンフォンフォンフォン.....


大きな船体とドラゴンを模したような翼。

尖った前の方は未来的なデザインにも見える。

その翼が羽ばたきを弱めると徐々に高度が下がり

最初の目的地フレイア山へと降り立った。

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