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139.返事がないと不安になる。

♢ケインズアークの朝


パチパチ...カチカチ...カチッ


女神達は朝からログサーフィンに夢中だけれど

旅の疲れが溜まっていたからなのか

レイナもラファエルもまだ眠ったままだ。


「おはようございますレオナルドさん」

「清々しい朝ですね。やはり陸地は落ち着きます」


昨晩泣いていた時とは打って変わり

やたらと明るいミッチェルさん。


(なんだか無理してるよなぁ)


話し合いは結果的にレイナの言い分が通り

パーティー登録解除の条件を満たすまでの間だけ

俺達と行動を共にすることで決着したのだが...


「シーラル王というても過去の栄光であろうに」

「私には大切な方なのですよ」


清々しい朝に昨夜の話を蒸し返すイルジオネ。

そもそも飲めば辛い事など忘れるとか言って

彼女が度数の高い酒を飲ませたりしたから

泣き上戸で収拾がつかなくなったのだけれども。


「その...昨夜は本当にご迷惑を...」

「平気だよ。そういえば返信は届いたの?」

「既読は付いているのですがスルーされてます」


フゥ...


深い溜息と共にどんよりとした空気が漂う。

彼は昨日クビを言い渡されたばかりだ。



♢カフェのモーニング


少し遅くなってしまったけれど

朝食を食べにエマの待つカフェへ。


カラン...

「いらっしゃいウェザー」

「お気に入りの席を取っておいたよ」


コト...トゥクトゥク...


大通りの見える窓側の席は

親父とカレンの特等席だったらしい。

テーブルセッティングも済んでいて

すぐに朝食が運ばれてきた。


「さあ召し上がれ」


それにしてもすごい量だけれど

冒険者達はペロリと平らげて店を出ていく。


「体力勝負なので。結構歩きますからね」

「皆さんは今日から出発ですか?」

「その予定だったけれど色々あって...」


ズゥン...


元気のないミッチェルさんを残しては

ダンジョンへなど行ける筈もなく

出発は明日の早朝へとずれ込んだ。


「お父様もお父様だけどミッチもミッチよ」

「まあまあ...買い出しもあるから気にしないで」


朝食を食べ終えてからそのまま出かけることに。

早番を終えたエマもついて来てくれた。

俺達は相当不安なパーティーに見えるのだろう。


(確かにバランスの悪さは否めないな...)


ラファエルは白魔法に特化。

ミッチェルさんは遠距離攻撃専門。

俺はまだまだ修行が足りていないし

レイナに関しては戦闘経験すらないのだから

女神級がいるからといっても油断はできない。


「ハイキング気分で足を引っ張るでないぞ」

「わかってるわ。ダンジョンなんて楽勝楽勝!」


観光地だからと完全に舐めきっているが

エマから最悪命を落とす危険もあると聞かされて

俺達は一抹の不安を覚えた。


「よければ私が途中まで案内しましょうか」


願っても無い申し出であるから

ダンジョンの手前にある宿営地まで

急遽ガイドを頼むことに。


「年上感が出るから敬語はなしで」

「呼び方もエマで構わない」

「じゃあよろしくエマさ...エマ」


毎日鬼シフトで働いている彼女だが

好きで働いているだけだから

申請すれば休みはどうにでもなるらしい。


「やったぁ!また一緒に冒険出来るねっ」

「ああ。今度は小さなユーフラテスを連れて」



♢翌朝の早朝


まだ朝靄に包まれる街の中。

ホテルのチェックアウトを済ませた俺達は

荷物を持って待ち合わせの広場へ。

ここからは徒歩で向かう予定だけれど

距離もあるし魔物も出るから時間はかかりそう。


「お父様から連絡は来た?」

「いえ...既読スルー二日目です(遠い目)」


例の一件はいまだ解決していない。

娘を連れ帰るために側近を派遣したはずが

このような事態になってしまったことで

王は相当に怒っているらしいのだ。

(クビも冗談ではなさそうだし...)


「己が王になれば良いではないかミッチェルよ」

「暗闇での殺生なら得意であるゆえー」


こちらも冗談なのか本気なのか

レイナ父の暗殺を指南するイルジオネ。

彼女なら本当にやりかねない。


「聞こえているぞレオナルド!」

「女神ジョークに決まっておろうがっ」


ベシベシベシッ!

(いたぁ...なんて理不尽な.....んぅ?)


「ねえレオ、なにか落ちて来るよ」


スゥゥ...ブワンッ

カラカラカラカラカラ.....


カレンの指差す上空には大きな影が

霧をかき分けるようにゆっくりと降りて来る。

白木の...あれは船底だろうか?


「おはようございます皆さん」


長く垂らしたロープに掴まり手を振るエマ。

大きな船っぽいものはそれ以上下降してこない。


ツスゥゥ...スタッ


「なにそれエマ〜?」

「これは凄いんだぞウェザー」


地上に降りたエマによると

言われなくても凄そうなその物体は

中世後期に使われていた本物の飛空挺。

魔術動力ということは...ガチャだな。


「激レアなんだ。現存数も少ないらしい」

「すごいっ!私でも現物なんて見た事ないわよ」


レイナが食い入るように船底を見上げる。

そこには古代文字のような沢山の読めない文字が

板の一枚一枚にビッシリと書かれていた。

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