↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
140/156

135.見覚えのある顔。

♢遠方に見える白い灯台


「あと一時間くらいで到着できそう」


途中魔の海域と呼ばれる難所もあったが

心配されていた敵の襲撃や渦潮の影響もなく

拍子抜けするほどあっさりと通過。

女神マーレイの幸印が影響したのだと思われる。


「入港まで審査とか時間がかかるんだけど」

「今日も混み合ってるわね...」


オレンジ色の屋根が並ぶこの場所は

西の大陸にあるケインズアークの入り口。

荷物や人を乗せた大型船が集まっていて

話に聞いていた通りの巨大都市であるようだ。


「寄港して補給を済ませたら我々は戻ります」

「なんだか寂しくなるね」「そうだな」


ピロン♪ カチャカチャ.....ポチッ


「手続き完了!これからもよろしくね」


なんの話か分からぬままレイナと握手を交わしたが

俺は端末に届いた通知を見て驚いた。


ピロリン♪

“申請が受理されました: 登録名 レイナ”


「これってメンバー追加の通知...だよね?」

「申請来たからフォロバしといた」

「ラ、ラファエルさん!なんてことを...」


このパーティーのリーダーは一応ラファエル。

彼は基本100%フォロバするタイプだから

レイナの申請を反射的に許可してしまったらしい。

ミッチェルさんの顔が青ざめている...


「ケインズに着いたら帰ると約束しましたよね」

「どうだったかしら...覚えてないわ」


フレンドからのパーティー登録は認可が早いが

脱退するには最短でも何かしらの目標を達成

もしくは冒険からの完全撤退が条件となる。

ここまで来て帰るワケにもいかないが...


「大丈夫よ。マーレイの加護もついてるし」

「そこの女神様は一級航海士並みよ」


カラカラカラカラ...

「ふむ...縦列になればよいのだな。理解した」


ここ数日の暇を持て余した元女神は

機械制御の難しい操縦を見るだけで覚えてしまい

今日も上手に舵を切っている。


「女神を連れて帰ったらお父様もきっと喜ぶわ」


頑固な彼女は一筋縄ではいかない。

操縦の危ういミッチェルさんは元女神に任せて

俺達と一緒に旅を続けるつもりである。


「まあ婚前旅行というのも良いではないか」

「子供らの前では色々と不都合もあるでなぁ...」


なんの不都合があるのかは不明だが

ミッチェルさんと二人きりになれることに

喜びを隠せないイルジオネ。


「と、とりあえずこの件は後で話し合いましょう」



♢ケインズアークの船着場


ギィ...ガタタタン

「はいどうも。許可証を見せてください」


検査は厳しく、船内まで入念にチェックされる。

といっても中までガサ入れされることはなく

透視などの特殊魔法と目視で調べているようだ。


ブウォゥン...

「ご協力ありがとうございます」

「ようこそケインズアークへ」


船を所定の位置に停泊させてから上陸。

到着した観光客を目当てに土産物屋が軒を連ねる。


この街は巨大なクレーター跡の中にあり

窪んですり鉢状に見えることから

“ケインズの聖杯”とも呼ばれているそうだ。


「だからって聖杯饅頭とか安易よね」

「観光地はどこもこんなだろ」


お土産はどれも聖杯の形をしたものばかり。

金色の盃なんて貰っても使い道に困りそうだが

なぜだか売れているようだ。


ガヤガヤ...ガヤガヤ...


冒険者風な格好の人達も結構いるけれど

俺達はまるで観光客気分である。


(ひさしぶりの陸地...賑やかな街並み...)


ずっと海の上を漂っていたのだから

はしゃいでしまうのも致し方ない。


ニャニャァ...ゴロゴロゴロ


「そういえばずっと居なかったね」

「この子は泳げないし船も苦手なのよ」


レイナの飼ってるシーライオン(通称ウミニャンコ)

魔道具に格納して連れてきていたようだが

そんな理由でずっと入れたままだったらしい。

海が苦手な海属性...もはやただのニャンコである。


「あら、可愛いニャンコじゃない」

「ほーらよしよし」ニャニャァ...スリスリ


突然現れた猫好きおばさん。

この軒先にあるカフェのオーナーなのだという。

ちょうど昼飯もまだだったから寄ることに。


カラン...

少し古くて良い感じの店内には

冒険者の記念写真がズラリと壁に貼ってある。


「あなた達も冒険者なのね」

「この店には昔からよく来るのよ」


古いものから新しいものまで様々だが

なんだか見覚えのある顔も...


「これクリスに似てるよ〜!」

「名前書いてあるから本人だね。傭兵時代かな?」

「兵士も冒険者も勇者だって来るわ。ほら」


......ガシャン!


「どうしたレオナルド!?」

「あらあら...すぐに拭くものを用意するわね」


持っていた飲み物をグラスごと落としたが

俺は放心状態でその場に立ち尽くす。


“Euphrates and Goddess”


その写真にはカメラに顔を背ける一人の男と

カメラ目線で寄り添う美しい女の姿があり

親父と同じ名が記されていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。