123.狙いを定めて撃つ。
(マズいぞこれは.....)
ビュゥン!シュゥン!
反撃しようにも剣を振る力さえ残ってはいない。
魔力はまだ多少残っていたから
ラファエルに借りた銃を装備して狙いを定める。
シュアァァァァァ.....フォンッ
これはシャイアの魔銃。
フィオによると持つ人の属性とリンクする全属性。
残り少ない俺の魔力をトリガーから吸い上げて
銃身で何倍にも増幅させていく。
赤く光っているから炎タイプのようだ。
カチッ...シュゥゥ...ズダァァァン!!
ギシャァァァァァ!!!
放った魔弾は海蛇の顔めがけて一直線に飛んで
槍の刺さっている方の頬をかすめた。
威力は凄まじく見えたのだけれどダメージは弱め。
「火と水じゃ相性最悪だよな」
「私がやってみるよー!」「頼むっ」
カレンに交代して俺はグリフォンを操作。
...と言っても優秀でほぼ自動操縦状態だけれど。
「いっくよ〜!(カチッ)」
シュゥゥ...ズダァァァン!!
ズダァァァン!!ズダダァァァン!!!
さほど魔力を使っていなかったカレンは
何度も引き金を引いて連射。
撃つたびに魔弾の色が違うのは
彼女が気象を操る精霊だからなのだろうか。
「赤いのはまだ出てないよっ」
「それは火系の魔法が使えないからだね」
全属性というわけではないけれど
ウェザーに関連した青、水色、緑、黄色の
鮮やかな魔弾が花火のように打ち上がる。
......そう、花火のように。
「カレン、もっと狙ってから撃たないと...」
「こうかな?えいっ!(カチッカチッ)」
ズダァァァン!!ズダダァァァン!!!
乱射しているから擦りはすれど的外れで
相変わらず避けるしかない状況。
クロードさん達も地道に攻撃しているけれど
氷の道が破壊されて加勢にも限度がある。
ヴィア...ヴィアァァ.....バサンバサン
グリフォンの体力も限界が近い。
(陸に戻れば町が破壊されてしまうし...)
ガンッ!バンッ!
そうこう考えていたら海蛇の体当たりをくらい
銃も弾き飛ばされてしまった。
攻撃の手段を奪われて回避だけを繰り返すが
これでは時間の問題である。
シュゥゥ...「レオナルド!歯食いしばっとけっ」
下からラファエルの声。
よくわからないけれど歯を食いしば...
ダァンッ...ぐはぁ
ダァンッ...ヴィアァァァ!!!
白い魔弾が飛んできて
俺とグリフォンの体にクリーンヒット。
全身が痺れて動けな...あら?
シュワシュワワァ〜ン
彼はさっき落とした魔銃を手にしていた。
当たった瞬間激痛が走ったものの
増幅された白魔法のおかげでHPは急回復。
昨日ネットをやり過ぎたせいで痛かった目も
パッチリくっきり見えるようになった。
「ここもヤバいからあとヨロシクなっ」
ミシ...パリパリバリッ.....
氷の道が砕けて俺達は海上に取り残されたが
体力さえあれば援護を受けられなくてもー
「いい加減に...倒れろよっと!」
ザンッ!ズダンッ!
風切りの刃を思い切り斬りつける。
徐々にではあるが効いているようだ。
ヴィアァァァ!!!
グリフォンも鋭い爪で厚い鱗を剥がしにかかる。
顔の半分をやられても攻撃を続ける海蛇。
(やはり一発クリティカルを...)
いったん上昇して機会を伺うが
同じ戦法は二度も効かないわけで
シャァァァァァァァ!!
噛み付いて海の底まで引きずり込むつもりなのか
俺達めがけて飛び上がってきた。
「食べられちゃうよ〜」
「グリフォンもっと高くだっ!」
ヴィアァ!ブウォーン
全力で上昇したグリフォンのおかげで
なんとか回避することができたが
下では奴が口を大きく開き待ち構えている。
.....その時だった。
シウュンッ...パァーン!!!
強い光が通り過ぎると
叫ぶ間も与えず海蛇の頭は消し飛んでいた。
これぞまさに会心の一撃。
♢桟橋横の広場に着地
波飛沫をあげながら海に沈む巨体を横目に
ひとまず地上へと降り立って
出迎えてくれたクロードさん達の元へ。
「素晴らしかった。礼を言わせてくれ」
「あの...さっきの凄い砲撃は誰が」
「塔からミッチェルが放ったのだろう」
彼は元々遠距離攻撃を得意とした城の防人役。
王が前線に出さなかったのは計算の上で
遠くからトドメを撃つべく狙っていたのだ。
「レオナルドやったなっ!(パシンッ)」
ラファエルとタッチを交わす。
「うん。でもあれはひどかったよ」
「結果オーライだったろ?」
そう言ってケタケタと笑うラファエルだが
回復魔法のためとはいえ味方を狙撃するのは
これで最後にしてほしい。痛いし。
「迷惑をかけてしまったな」
「皆、明日の祭りは急遽中止とする」
「そのかわりにー」
この一件で港はダメージを受けてしまい
他国の要人を呼べる状態ではない。
でも祭りの準備は整ってしまっているから
代わりに海蛇討伐を記念してお祝いをしようと
クロードさんが町の人達に提案した。
「出発は明後日の朝にしなさい」
「一番良い船と操縦士を用意しよう」
「整備しておけウェスター」「御意に」
クロードさんからのお誘いでもあるし
海蛇と戦って体力も魔力も消費していたから
俺達は予定を変更することになった。




