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116.約束の朝

♢ レオナルドの自宅 / 玄関の前


「これでやり残した事はないかなっと」


しばらく家を空けるけどヨツもいるし

相互利用が可能になったから以前より気軽だ。


「留守の間シードラの世話をよろしくね」

「ご安心ください。昨日教えられた通りに」


シュゴォー...


水槽で飼っているミニシードラ。

遠出する際は連れていく必要があったが

今回は家でヨツと一緒にお留守番。

ずっと“ポッケ”の中に入ったままでいるよりは

水の中の方が居心地も良いだろう。


さてと...


「俺は準備できたけど。カレンは?」

「完璧だよ!(ズズ...ズズズッ...)」


やたら大きい荷物の減量は失敗に終わり

結局は俺が背負う羽目になるらしい。

中身はほとんど非常食の干し肉だから軽いけど

歩き難くてしかたない。


「じゃあ行ってくるね〜」

「何かあったら端末に連絡して」

「はい。女神のご加護があらんことを」


まあ、半分女神みたいな精霊が一緒にいるから

加護に関しては十分すぎるほどに足りているのだが

女神信仰の厚い獣人族ならではの挨拶だ。


「あるといいね女神の加護!」


自分が女神系だという自覚があるのかないのか

見た感じは普通の天然少女なカレン。

これまで何度か危ない目にもあったけれど

無事に帰ってこれたのは彼女のお陰かもしれない。


「ちゃんと捕まって」


ブォウ...バサバサ


両サイドに荷物をしっかりと固定してから

ロングリフォンの鞍に跨った。

最近はすっかり俺の事を信頼しているらしく

落ち着いた様子でふわりと上昇してからおおぞr...


ヴィアァァァァァ!!!!!

「まてまてうわぁぁぁぁぁ!!(気絶寸前)」


大空へと飛び立ったのである。



♢待ち合わせの広場


「おおレオナルド!なんか早くね?」


約束の一時間前には広場に到着。

またも最速記録を更新したアイツは横たわって

余裕で毛繕いをしている。

俺は気分が悪くなり顔面蒼白でダウン。


「まだ時間あるから休んどけ」

「ごめんぅぅ...(吐きそう)」


女神の加護があるからなのか

カレンはいつものように全然平気な様子で

バッグから干し肉を取り出しもぐもぐタイム。


「レオも食べたら元気になるよ〜!」

「いや...いまはムリだ...でもありがとう」


だいぶ日が昇ってきたからポカポカと暖かい。

座るグリフォンの体を背もたれにして

俺はしばらく眠りについた。


(....んぅ...なんだか薄暗いな)


出発すると声をかけられ目を覚ますと

グリフォンの片翼が屋根のように広がっていた。

日射しがかなり強くなってきたため

カレンの指示で日陰を作ってくれたらしい。


「カレンの言うことは聞くんだなコイツ」

「お前なめられてんじゃね?」


ケタケタと笑うラファエル。

反論の余地もない。



♢レラントに続く海岸沿いの道


少し眠ったおかげで体調も良くなったから

ここからは予定通り徒歩で海の見える街に向かう。


生まれも育ちも山や森に囲まれていたから

海ってなんだかお洒落なイメージ。

前に会った海暮らしのレイナに言わせたら

絶対に都会の方が便利だと言うだろうけれどー


「あれ、レオナルドだよねっ?」


街に到着して宿を探していたら

急に聞き覚えのある声で呼び止められた。


「なんでここにいるの!?」

「あなたこそどうしてこの街に?」


噂をすればなんとやらで

宝石の森以来会っていなかったレイナ。

彼女の住む町はもっと離れた場所だったはず...


「海沿いは陸路が険しいから船で移動するんだ」

「今日は食料の買い出しに寄ったの」


レイナの町はもっと島っぽい所だから

野菜などの海でとれない食料品はまとめて

ここの街へ買いに来ているそうだ。


都会から離れているのにとても賑やかで

売られている物もあまり変わらない。

元々レラントは王国があった場所だから

他より整備されているし経済も発展している。


「俺達は冒険の旅へ出たところだよ」

「こっちは仲間のラファエル」


簡単な挨拶を交わした後に

彼女が少しきになる情報を教えてくれた。


「明日じゃなくて今日移動した方がいいわ」


カレンが事前に調べた予報では晴れ。

風も穏やかなはずなのだが

明日はどこも船を出さないのだという。


「天気に関係なく海が荒れる日があるの」

「迷信的な部分も大きいけれどね」


噂では月の満ち引きと関係があるらしく

無理して船が遠くへ流されたり

転覆する事故なども起きているのだとか。

(迷信とはいえ恐ろしい話だ...)


「よかったらウチの船に乗ってかない?」

「家にも泊まっていくといいわ」


冒険でもガチャでもジンクスは大事。

彼女の提案にラファエルも賛成したから

レイナの所有する船に乗り込むことになった。

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