表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ネズミの姫と七星の騎士  作者: もり
第四章
41/51

発覚

 小鳥さん達の元気な声で目が覚めた私は、しばらくベッドの中でごろごろしていた。

 種の行方を思い出してから、一気にいろんな記憶が戻ってきて、しばらく寝込んじゃったんだよね。

 もちろん全部を思い出したわけじゃないけど。

 うん、今ある記憶にはちゃんと向き合わないとね。


 ベッドからよいしょって下りて、カーテンを開ける。

 人間の姿だと、色々なことが簡単にできるからすっごく便利。

 記憶を取り戻した時に、変化の仕方も思い出したのはホントに良かった。

 まあ、やっぱりネズミにしか変化はできないんだけど。

 さて、今日はとってもいいお天気で、おでかけ日和だ。


「おはよう、姫様」

「姫様、今日は何して遊ぶの?」


 私の姿を見つけた小鳥さん達が、窓際にやって来て朝の挨拶。

 そうだなあ。何して遊ぼうかなあ?……って、ダメダメ。

 昨日の夜に決めたことがあるんだ。もう逃げないって。


「おはよう、みんな! あのね、今日は遊ばないの。大切な用事があるから」


「えー、そんなのつまんない」

「ダメだよ、ワガママ言っちゃ。姫様には大切な使命があるんだから」


 若い小鳥さんを年上の小鳥さんが注意する。でも、ちょっとプレッシャー。

 ううん、そんなことは言ってられない。頑張らないと。だって、私は……。


「姫様、おはようございます」


 私が起きた気配を察したのか、アマリが部屋に入ってきた。

 と同時に、小鳥さん達が一斉に飛び立つ。

 どうやらアマリが苦手らしいんだよね。一緒に遊んでて何回か怒られたこともあるから。

 うん、小鳥さん達にはとんだとばっちりだったよね。ごめんなさい。


「姫様、本日のご予定ですが――」

「ねえ、アマリ。今日はね、大切なことをいっぱいしたいの。だから予定は全部また今度にできないかな?」


 言いかけたアマリの言葉を遮るのは失礼だけど、勇気が萎えないうちに言わないと。

 今まで延ばし延ばしにしてた卑怯者の私とはオサラバなんだ。


「……何をなさりたいのですか?」


 訝しげに顔をしかめて訊いてくるアマリに、ちょっとひるみそうになったけど、ダメダメ。

 頑張るって決めたんだから。


「あのね、今日はお母様のお墓に行きたいの。……騎士のみんなと」


 反対されるのはわかってたけど、一瞬見せたアマリの表情に私の体は縮んだ。

 アマリはお母様のお墓に、私と自分以外を寄せつけようとしない。

 今でもお母様をとてもとても大切に思ってるから。

 それで私はアマリを裏切れなかったんだ。どんなに寂しくて、悲しくても。


「アマリ、私はもうすぐみんなと出発するんだよ。すごく長い旅になるから、お母様にちゃんとみんなを紹介したいの」


「……かしこまりました。それでは、その旨を皆様にお伝えして参ります」


 しぶしぶだったけど、アマリが了承してくれてほっとしたよ。

 強気に出て正解だったかな。

 アマリと入れ替わりに女官さん達がやって来て、そこからは楽しいお話をしながら着替えをしたり、ご飯を食べたり。

 うん。今日のご飯もおいしいね。元気モリモリ、もう大丈夫!



   * * *



「まあ、とても綺麗な場所ね。素敵だわ」


「うん! ここはお母様のお気に入りの場所だったんだって。見晴らしがいいから、小さい頃からアマリと一緒によく来たって」


 ミザールがほめてくれるから、不安だった気持ちが軽くなる。

 にこにこ笑顔で答えると、今度はヴィーが優しく訊いてくる。


「このお花はジャスミンが植えたの?」


「ううん。それはアマリだよ。全部お母様の好きだったお花なんだって。私はアマリと一緒にお手入れを頑張ったの」


 今までここには一人か、アマリとしか来たことがなかったから、ちょっとだけ不思議な感じ。

 今回はアマリの同行を断固拒否したけど、みんながいるから賑やかでお母様もきっと嬉しいよね?


「……それで、ジャスミンは僕達に何か話があるのかな?」


 みんな静かに祈りを捧げてくれたあと、リオトが切り出した。

 そのことに私はドキッとしてしまう。そんなにバレバレだったのかな。

 オロオロする私を見て、ファドが励ますように笑う。


「姫、そんなに焦らなくてもいいぞ。俺達は何があっても姫の味方だからな」


「本当に?」


 思わず出てきた言葉に、慌てて口をおおう。

 今のは私の本心? そんなつもりじゃなかったのに。

 ああ、どうしよう。私ってとってもいやな子だ。

 だけどファドは怒ってないみたい。ただ、みんなと一緒に心配して私を見てる。


「ジャスミン、もう我慢して笑う必要はないんだ。腹が立てば怒ればいいし、つらければ泣けばいい。ここ最近のジャスミンは、ずっと無理していただろう?」


 カイドの優しい言葉。みんなの優しい気持ち。

 やっぱり気付かれていたみたい。記憶が戻ってからの私の空元気。

 もうこれ以上、みんなに嘘はつけないよ。


「あのね、みんな……私ね……」


「うん、どうした?」


「わ、私ね……本当は……本当は王様の子供じゃないの!」


 思い切った私の告白に、誰かが鋭く息をのむ音が聞こえた。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ