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ネズミの姫と七星の騎士  作者: もり
第四章

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大義の大罪


 アグリア国に騎士の星を持った王子が産まれたのは、ディオサ聖国ベンジャミン王の婚儀を一ヶ月後に控えていた時だった。

 長い間待ち望まれていた七星の騎士の誕生に、世界中が歓喜する中で涙を流したのはベンジャミン王の婚約者だった娘。

 下級貴族に生まれた彼女は、それでもベンジャミンが王子だった頃から愛を育み、ようやく周囲に認められたところだったのだ。


 しかし、七星の騎士が現れたということは、女神様の誕生も近いということ。

 女神様の生母に彼女ではやはり不足だという声が高まり、周囲をどうにか納得させようとしていたベンジャミンの奮闘もむなしく、破談になってしまった。

 世界の命運を握る女神様の誕生にかかわるのだ。

 王個人の感情など、その大義の前には塵にも等しい。


 予定されていた婚儀――ベンジャミン王の隣に並ぶ花嫁は大神殿神官長の娘。

 神官長の一族はこれまでに幾度となく女神様の生母――聖母を排出してきたのだ。

 ところが、世界中が祝福したこの婚儀から五年、一向に懐妊の兆しがみられない王妃は、周囲からの重圧に耐えられず、神殿へと居を移してしまった。


 それから約一年後、王の元婚約者だった娘が未婚のままに出産した。

 星を持って産まれた男児をベンジャミン王は我が子と認め、母子共に聖城へと引き取ったのだ。

 では次は女神様の誕生をと、厚かましくも周囲は期待したが、七人目の騎士――メラク王子誕生から数年経過しても吉報は訪れない。


 皆の心を焦慮と失望が覆いはじめた頃、思いがけなくも王妃が懐妊した。

 そして産まれたのは、七色に光る種を握り締めた女児。

 七星の騎士――ファド王子の誕生から十年、世界中が切望していた女神様がついに誕生したのだ。

 皆が明るい未来を見出だし、女神様に感謝する中で、王妃はひっそりと息を引き取った。




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