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ネズミの姫と七星の騎士  作者: もり
第二章

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再会


「ジャスミン、大丈夫?」


「うん、もちろん」


 メルクの心配そうな声が私を現実に引き戻した。

 それから何回も瞬きをして頭をしっかり働かせる。

 うん、大丈夫。

 ニッコリ笑って、メルクに元気な顔を見せた。


「メルクは騎士さんの一人なんだよね?」


 これは質問じゃなくて確認。

 雨はもう止んで、おひさまが雲間からしっかり顔を出してる。

 そんなお空と一緒に私の心もスッキリ晴れてきた。

 だけどメルクはなんだかとっても気まずそうに頷いた。


「……うん。ボクはコニリオ王国の第三王子で七星の騎士の一人、メルク・コニリオ。今まで黙ってて、ごめんね」


「ううん、いいの。私も色々ごめんなさい」


 謝らないといけないのは私の方だよ。

 痛くても、苦しくても、悲しくても、逃げ出しちゃダメだったのに。

 頑張るって決めたんだから。

 みんなにも迷惑かけたことをちゃんと謝らないと。


「カイド、リオト、それにファド。いるんだよね?」


 辺りをキョロキョロして呼びかける。

 正確な位置はわからないけど、オオカミさんが現れた時にみんなの緊張が伝わってきたから。

 すると、少し離れた木の陰から、カイドが音も立てずに姿を現した。

 リオトとファドもそれぞれ別の場所から出て来てくれた。


「ジャスミン……大丈夫か?」


「……うん」


 心に響くカイドの低い声。

 たった五日なのに、すごく懐かしくて涙が込み上げてきた。

 でも泣いちゃダメ。

 ワガママで弱虫な私がここで泣いたら、どうしようもないもん。


「みんな、ごめんなさい。いっぱいいっぱい、ごめんなさい」


 大きく頭を下げて、それから俯いたままの私に、リオトが優しく声をかけてくれた。


「ジャスミンが謝る必要なんてないんだよ。僕達が悪かったんだ。焦るあまりジャスミンの気持ちを考えずに追い詰めてしまったんじゃないかな? ごめんね、ジャスミン」


 カイドもファドも暗い表情で、このままだとごめんなさい大会になっちゃいそう。

 みんなのせいじゃないのに。


「ううん、みんなは悪くないよ。あの……ちょっと冒険がしたかったの」


「……それで、冒険は楽しかった?」


「うん、すごく」


「そう。なら良かった」


「姫、私も楽しかったぞ。人間の姿で見つからないように後をつけるのは、なかなか至難の業だな」


 リオトとファドが気を使って明るく話してくれるから、雰囲気も軽くなってひと安心。

 それにしても、一体いつから私の側にいたんだろう。


「……いつからなの?」


 私の質問には、みんなが黙り込んじゃった。

 それでも、メルクとファドがこっそり目を見交わしたから、わかっちゃったよ。


「最初からなんだ……」


「……」


「私……一人でちゃんと森に着けると思ってたのに……」


 自立したつもりでいたけど、みんながずっと見守ってくれたんだ。

 それは嬉しいけど、ちょっとがっかり。

 しょんぼりした私を慰めるように、カイドが抱き上げてブランケット越しに背中をポンポンって叩いてくれた。


「ジャスミン、私達は何も手を貸してはいない。ここまで来たのは全てジャスミンの力だろ?」


「……でも、メルクに助けてもらったから」


「ボクだって何もしてないよ。側にいただけなんだから」


 ふむむむ。みんなの優しさがあったかいよ。

 本当ならここは、ストーカーみたいって怒るところなのかもしれない。

 でもそんな気分には全然ならない。やっぱりみんなが大好き。


「みんな、ありがとう」


 一人で何もできないわけじゃない。

 それでもみんながいてくれると、心強くて勇気がわいてくる。

 よし、今度こそ絶対頑張ろう!

 カイドの腕の中からピョンと飛び出して、一人で大地に立つ。


 まずこれからしたいことはミザールに謝ること。

 あの時だってすごく落ち込んでたのに、私が逃げ出しちゃったから、きっともっと傷付けてる。

 今頃そのことに気付くなんて、反省どころじゃないよ。


「ミザールはお城にいるの?」


「いや、姉さんは聖域でジャスミンを待ってるよ。もう一人の騎士と一緒にね」


「もう一人の騎士さん?」


「そう。あと少しだから一人で頑張れる?」


「うん!」


 ここまで来たら、最後まで頑張って辿り着きたいもんね。

 そんな私の気持ちをリオトもみんなもわかってくれる。

 私ってすごい幸せだなあ。


「ジャスミン、その荷物は私が持とうか?」


「ううん、大丈夫。ありがとう」


「姫、それでその大きな荷物は何だ?」


「内緒!」


 カイドの言葉でファドが思い出したように訊いてきたけど、答えは秘密。

 だって、スッポンポンが平気なファドに説明するのって大変そうなんだもん。


「あれ? それって枕になるカバンじゃないの?」


 首を傾げてまん丸お目々のメラクは本当にかわいい。

 答えは惜しいけどね。

 そういえば、メラクって人間になるとどんな姿なのかな? 何歳なのかな?


「メラクは何歳なの?」


 みんなで森に向かって歩き始めてからの質問。

 私は駆け足だけど、まだ息は切れてないもんね。エッヘン。


「ボク? ボクはリオトと同じ、二十歳だよ」


「あ……そうなんだ」


 てっきり同じか、年下だと思ってたのにビックリだよ。

 人間になると、大人っぽくなるのかな?

 なんだか一つ楽しみができたね。




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