第7話「頭に乗せたらヘルメット(※凶悪な毒グモです)」
初心者の林、その奥。
「……さっきの角ウサギ、楽だったな」
肩を回しながら歩く。
腰にはムカデラ。
胸元にはゴキジェット。
「……あと何匹か狩れば――」
その時。
ぴたり、と足が止まった。
「……でかくないか?」
目の前。
木と木の間に張られた、巨大な蜘蛛の巣。
そして、その中心。
「……うわ」
いた。
頭ほどの大きさのクモ。
じっとこちらを見ている。
「……気持ち悪さランキング更新だな」
思わず呟く。
だが――
同時に、思う。
「……こいつ、使えるな」
今や完全に発想が変わっている。
“気持ち悪い=戦力候補”。
「……よし」
距離を取る。
「テイム」
魔力を流す。
一瞬の緊張。
クモが動く。
だが――襲ってこない。
ゆっくりと、こちらに降りてくる。
「……成功か?」
足元で止まる。
「……名前」
少し考える。
見た目。機能。
「……スパメット」
その瞬間。
淡く光る。
テイム成立。
「……よし」
スパメットは、カサカサと動く。
「……で?」
じっと観察する。
「毒は……なさそうだな」
ムカデラとは違う。
でも。
「糸、か」
巣を見る。
しっかり張られている。
強そうだ。
「……試すか」
近くの木を指差す。
「糸、出せるか?」
スパメットがぴたりと止まる。
次の瞬間。
――シュッ!!
「おぉ!」
一瞬で糸が飛ぶ。
木に絡みつく。
「……速っ」
さらに。
スパメットが動く。
くるくると糸を巻く。
あっという間に――
木の一部が、白く覆われた。
「……これ、捕まえ放題じゃね?」
にやりと笑う。
「ムカデラで仕留めて、スパメットで止める……逆もありか」
戦い方が見えてくる。
「……あと」
スパメットを見る。
「お前、サイズちょうどいいな」
手を伸ばす。
少し躊躇。
「……いけるか?」
ゆっくり持ち上げる。
軽い。
「……よし」
そのまま――
頭に乗せる。
「……」
フィットした。
「……ヘルメットじゃん」
視界の端で、足がちょこちょこ動いている。
「……見た目は最悪だな」
でも。
「……悪くない」
むしろ、ちょっと安心感ある。
「これで不意打ちも防げるかもな」
気のせいかもしれない。
ガサッ。
「……来たな」
角ウサギ。
さっきより少し大きい。
「よし、試すぞ」
刀を構える。
目が合う。
突進。
「今だ、スパメット!」
瞬間。
――シュッ!!
糸が飛ぶ。
角ウサギの足に絡む。
「おっ!?」
動きが止まる。
転ぶ。
「ムカデラ!」
黒い影が走る。
――ガブッ。
一瞬。
終了。
「……完璧じゃね?」
思わず笑う。
連携。
拘束→毒。
「……強い」
確信する。
「俺じゃないけど」
ぼそっと付け加える。
倒れた角ウサギを回収する。
「……これ、効率やばいな」
ほとんど危険がない。
「……稼げる」
袋に詰めながら、にやける。
「……見た目は終わってるけど」
頭に手をやる。
スパメットがしっかり乗っている。
腰にはムカデラ。
胸にはゴキジェット。
「……完全に変なやつだな、俺」
苦笑する。
でも――
「……悪くない」
林の奥へ進む。
もっと獲物がいるはずだ。
「次は何捕まえるかね」
気持ち悪さランキングは、まだ更新される。
そんな予感がした。




