6話 レアな物の怪
◇◇◇◇◇
「失敗って…札に納める事にですか?」
華乃は札を手にしながら眉を下げる。
『そうそう!』
『大人しい個体もいるけど…反発されると失敗する』
『失敗すると、逃げられる可能性もあるよー』
「ど、どうすれば…?」
『物の怪を攻撃して弱体化させれば大人しくなる』
「そ、それは少し可哀想…では?」
そもそも、今の華乃は攻撃手段も無いのだ。
『まあ、それは暴れてればってケースかな?』
『元々大人しければ、素直に捕らえられるかも』
『人と物の怪の相性もあるしなー』
「相性…ですか、目の前の座敷童さん…
今のところ、大人しいみたいですが…」
『とりあえず、札使ってみな?』
『暴れられたらドンマイだな』
視聴者の後押しで、華乃は固唾を飲みながら、
座敷童の入手に挑戦する。
「初回ですし…逃げられても、経験になりますわね!」
華乃は意識を高め、札を座敷童に投げる。
座敷童は札から逃げる事なく受け入れ、淡く発光しながら札へ吸収されていく。
《華乃…おかえり…》
座敷童は、華乃へ笑顔を向けた気がした。
「…あ……」
瞬間、華乃は何故か無性な懐かしさに駆られる。
幼い頃、どこかで見た笑顔な気がした。
(座敷童さん…ずっと、この家に…?)
この屋敷がダンジョン化したから、座敷童は棲みついたのではなく…
元々、この屋敷に住んでいた?
(わたくしの帰りを…待っててくださったのでしょうか?)
確証は無い。
だが、華乃はそんな気がした。
座敷童を封じた符を胸に抱く。
じんわりと暖かく、華乃の目に涙が滲む。
『凄いなー!本当にレアをゲットするとは!』
『おめでとう!』
『初潜入でレア取れるなんて!』
『おめでとう!やったなぁ!』
チャット欄も祝福に賑わう。
「ありがとうございます!皆さまの助言のお陰です!」
華乃も心からの感謝を視聴者に伝える。
スマートフォンの時計は既に夕刻を示していた。
あっという間に、ダンジョンへ潜入してから、三時間が過ぎていたのだ。
「今日は、この辺にしておきますね!お符屋さんに行って換金もして来ます!」
『お疲れ様ー!』
『良い値が付くといいね』
『また配信してたら見にくるよ!』
「ありがとうございます!また配信しますので
見に来てください!」
視聴者に礼を伝えながら、華乃は出口へと戻る。
ダンジョンの外へ出れば、陽もかなり傾きかけていた。
「ふぅ…やっぱりダンジョンの中の空気って、
澱んでいるのですね」
深呼吸をしながら、足取り軽く、華乃は繁華街を目指す。
先ずはお符屋へ行って、換金して…
お金を入手できたら、ご飯を食べようと。
ぐきゅるるる
緊張の糸が解けたら、急に腹の虫が鳴りだした。
華乃は苦笑いし、足早に向かうのだった。
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