↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
28/29

27話 絶望からの救い


◇◇◇◇◇



亀裂から入ってきたのは、探索者のシンだった。



「なっ…?!ま、まさか…この空間に他人が入れるなんて…世夜子は言ってなかったぞ!」



狼狽え、興人は後退る。



「…お前が黒幕……いや、黒幕の腰巾着か」



シンは凍えるような声で吐き捨てる。



「こ、腰巾着だって?!何を言うんだ?!」



興人は二体の物の怪の後ろまで下がり、物の怪にシンへの攻撃を命じようとするが…



「……ふん!」



シンは、刀を振り翳し二体の物の怪を一振りで斬り倒す。



「は、はぁ?!世夜子から貰った物の怪が!!」


「護身に貰ったのが、たかがレア二体か?

俺にとっては、敵でもない」


「ひいっ…!か、金か?金ならやる!だから…」



興人が腰を低くしながら、にへらと口を歪ませる。



「弱き女には強気のくせに…本当にゴミ野郎だな

…だが、彼女を見くびらない方がいいぞ?」


「う、うるさい!この女は元々僕のものなんだ!

他人が口を挟むな!

逃げ出したから、再調教しようと…」


「本当に自分を持って無い奴だな?

…そう言って、世夜子に唆されたんだろう?」



シンは鋭い視線と刀の切先を興人に向けた。



「ひ、ひいぃ?!」



興人は腰を抜かし、ずるずると後退る。



「た、確かに…今回の計画は…世夜子が全て考えてくれて…だ、だが…

華乃も手に入れたいという気持ちは…」


「黙れ」



怒気を帯びた冷たいシンの声に、興人は縮まる。


興人よりずっと年下であろう、少年姿のシン…

だが、姿と立ち居振る舞いが合致しない。



「お、お…お前は…何者なんだよ…?!」



興人のやっとの虚勢も彼の前では意味を為さない。


シンは、刀を振り翳す。



「ひ、ひぃ?!や、やめ…ぎ、ぎゃああぁぁ」



一片の迷いも無く、シンは興人を切り捨てる。





華乃が瞬きをすると、二層へ戻っていた。



「っは!!…た、助かった…?」



夢の中では、身じろぎひとつ出来なかった華乃は、ようやく息ができた心地だ。



「…大丈夫か?…すまん、助けに来るのが遅れたな」



目の前には、シンがいた。



(夢では、無かったのですね…)



シンがまた、助けに来てくれた。


安堵した途端、涙が溢れてきた。



「す、すみませ…う、うぅ……」



華乃は必死で涙を拭う。


これは、怖かったからじゃない、安堵した反動なだけだ…と、自分に言い聞かせる。


そんな華乃へ、シンは近づき首筋へ触れてくる。



「…っ?!」



華乃は、反射的に恐れる。


つい、先程までの興人の指の感触を思い出してしまうからだ。



「いや、すまない…用があるのは、君の首筋だ」


「く、首筋…ですか??」



何の為だと怪訝に思いながらも、華乃は大人しくする。



「…うん、やっぱりここにあったか」


「…?」



華乃はキョトンとするが、シンの指が首筋に触れた瞬間、ピリリと痛みが走った。



「え?…え?…何?」



華乃は驚くが、しかし…急に体の重さが無くなった。

周囲の空気も、驚くほどに軽く感じる。


そして、何より…



「…あ!!階段が…!!」



あんなに探しても見つからなかった階段が、目の前にあったのだ。



「君を空間に閉じ込める呪縛…三つの印の、最後の一つは、君の首にあったんだよ」


「く、首に?…ええ?」



何故?…いつから?

華乃は混乱するが…一昨日の覆面男達の件が頭を過ぎる。



(あの時…確かに首元に触れられました!)



「暴漢に襲われた時に…印を付けられたのですね…って、事は…」



華乃は首元を触りながら眉を顰める。



「ああ、あの暴漢と興人はやっぱり繋がっていた」



華乃にも合点がいった。


貴兼門興人…これ程までに最低な男だったとは…



「ですが…きっと、敵は…興人さんだけでは…

ない……そういう事ですね?」



興人が何度か口にしていた名。


華乃はぎゅっと手を握る、その手が震え出さないように。



「そうだな…簡単に言えば、貴兼門興人は単に私欲を利用されていただけの雑魚だ」



シンもどこか遠くを睨みつけるように、目を細めた。



世夜子……



華乃の思考にその名が浮かぶ。


単なる勘だった…しかし、茶会で見た時から、世夜子の雰囲気は他と何かが違っていた。


(彼女は…何者なの?)


華乃はそう思いながらも、既に心の奥で、その答えは出ていた。



◇◇◇◇◇

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。