26話 河精破れる
◇◇◇◇◇
「おや?お目覚めかい?」
「ひっ?!」
華乃が目を開けた時には、既に興人の顔が目の前にあった。
(やめて!放してください!)
華乃は声を出そうとするが、体が動かないどころか、声すら出ない。
胸ポケットの河精が再び発光し、出現するが…
「おっと、今回は対策してあるんだよ…!」
興人は、素早く手にしていた符を投げる。
興人が手にしていた二枚の符から物の怪が出現し、華乃を守護していた河精へ襲いかかる。
(か、河精さんー!!)
河精は、必死に抵抗したが、やがて二体の物の怪に蹴散らされてゆく。
「ふん、これで邪魔は居なくなったね」
興人が勝ち誇ったように、鼻で笑い、華乃の顎を掴む。
「あまり手荒な事はしたく無かったんだけどね…
君の心がすぐに堕ちないなら…力ずくしか無いよね?」
興人が華乃の上へ跨ってくる。
「君がいけないんだよ?意地を張って、僕の元を去ろうとするから…
しおらしく泣いて縋れば可愛げもあったのに!」
めちゃくちゃな事を言う。
自分から、華乃を切り捨てたのに…
いざ、彼女が自分の元を去ろうとすれば、独占欲とプライドが疼いたのか?
華乃は、そんな最低男に負ける気は無かった。
たとえ体がどうなろうと、興人へ下る気は無い…
瞳だけを動かし、興人を睨みつける。
華乃の目から涙が溢れた時…
胸ポケットが再び光りを放つ。
(…え?)
胸ポケットに、もう一枚、入れておいた符…
(なっ?!…座敷童…さん?!)
座敷童が、華乃へ被さっている興人を突き飛ばす。
(いけない!座敷童さん!興人さんには符が二枚あるんです!)
そうで無くとも、座敷童は戦闘には向かない
物の怪だ。
華乃を助けようとすれば、自らを消滅させてしまう事になるだろう。
「まだ居たのか!うるさい物の怪だ!」
案の定、興人は先程の物の怪二体を再び出現させる。
(ああ…そんな……)
華乃が絶望しかけた、そんな時だった。
「やっと、位置が掴めた」
静かな声が、夢の空間に響く。
薄暗い靄が漂う空間に、亀裂が入り、何者かが無理矢理、空間をこじ開ける。
(し…シンさん…?!)
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