25話 三つの封印
◇◇◇◇◇
【真眼】を、興人へ使う。
〈名称〉興人-呪術
〈危険度〉A
〈希少度〉-
〈能力〉対象への空間束縛及び魅了支配
〈備考〉空間内に三つの印を用いて呪縛を構成している。印を全て破壊すれば呪縛は解除する。
【真眼】の能力は、サーチ機器では検知できない特殊な情報さえも開示できるようだった。
(備考欄に何か表示されてますね…?)
(三つの印を…破壊すれば…?)
「くそっ!!【真眼】だと?
…だが、もう遅い!お前は今ここで、僕のものになるんだ!」
華乃が使う【真眼】に焦りを見せた興人は、苛立ちに任せ
彼女を押し倒し、無理矢理に唇を奪おうとする。
(や、やめて…!!)
興人の唇が華乃と触れそうになった瞬間…
華乃の胸ポケットにある符が発光し、主を守らんと、出現する。
(河精さん!!)
河精は、興人を突き飛ばし、水流法を撃つ。
「ぐっ…ああぁぁー!おのれぇ物の怪の分際で」
興人は消えゆく、そして華乃は再び二層へ戻ってきた。
「はぁ、はぁ……河精さん…!助かりました!」
胸ポケットにある符へ華乃はそっと手をあてる。
「体はキツイですが…河精さんからいただいた、このチャンスを活用しなければですね!」
呪縛は、どんどん華乃の身体や精神に圧力をかけてくるが…華乃とて、負けられなかった。
(三つの印…多分ですが、この二層の中にあるんだと思います)
華乃は体を引き摺りながら、辺りを探す。
(【真眼】で探せばすぐに見つかりそうですが…今のわたくしでは…体力が持たないようです…)
華乃は、悔しそうに目を眇めて重い体を動かし、探す。
…すると、台所の棚に奇妙な印が書かれているのを発見する。
(これ…でしょうか?…ええい、とにかく消してみましょう!)
華乃は、手でゴシゴシと印を擦ってみるが…
消える気配は無い。
(どうしましょう?…呪の印を消すのは、特殊なアイテムが必要なのでしょうか…)
そんな時、ふと鈴の存在を思い出す。
(浄化の鈴…試してみますか)
一か八かと、華乃は鈴を手に取り、印を鈴で擦ってみる。
(…あ!!消えてきます!)
鈴はリンと音を鳴らしながら、呪の印を消し去っていった。
一つ目を消すと…
膜がかかっていたような、空間がほんの少し、
軽くなった気がした。
(効果はあるみたいです!!良かった…このまま
二つ目も探しましょう!)
◇
華乃が二つ目の印も見つけ出し、消した時だ。
空間が歪み、華乃の近くから鬼火が現れる。
「ま、待って!こんな時に…物の怪の襲来?!」
ノーマル物の怪なら、鈴の効果で寄っては来ないだろう。
したがって、目の前の物の怪はレアなのだ。
(やるしか…ありませんね…札で封印する!)
「河精さん、お願いします!」
河精を使い、敵物の怪にダメージを与える。
華乃の気力は更に削がれ落ち…意識が遠退きそうになる。
「はぁ、はぁ…さすがに気力が底を尽きかけてます…」
もう、スキルを使う気力も無く、敵物の怪の姿はハッキリ見えず、鬼火の形しか見ないが…
「今です!物の怪さん!お願いします!札に入ってください!」
華乃は札を投げる。
失敗の可能性もあったが…物の怪は、大人しく札へ入っていった。
「やりました!!」
華乃がホッと息を吐く…
しかし…無慈悲にもその瞬間…
気力が尽き、意識が薄れてゆく。
(あ…ダメ…!ここで意識を失えば…また、あの夢へ行ってしまう…!
お願い…!あと一つ……印を解かなければ!!)
華乃は必死に抗う。
あと一つ、印を壊せば、助かるのだ…
次に夢へ行けば…きっと、もう戻れない…
(…助けて…誰か……)
だが、声は届かない…ここは人払いされたダンジョンの中なのだ…
願い虚しく華乃の意思は堕ちてゆく。
◇◇◇◇◇




