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23話 興人との関係


◇◇◇◇◇



「久しぶりだね…と言ってもまだ一週間くらいか」



一週間前…


華乃は、あの時の不快な出来事を思い出し

眉を顰める。



「もう、貴方とは終わった事ですので…すっかり忘れていましたわ」



(あの時から、わたくしは解放されたの…今度こそ、自分の使命を果たす為に動こうと!)



「忘れた?…よく言うよ、

ずっと僕に未練を持ってたんじゃないのかい?」



興人が華乃へ近づいてくる。


華乃は不快そうに、彼から距離を取ろうとするが…体が重くて立ち上がる事もできない。



(未練?…確かに彼から婚約破棄されるまでは…

彼への“好意”という呪縛に縛られていたわ)



十五年程前…家を失った華乃に、興人は熱心に好意を伝えてきた。


互いに子供だった事もあり…華乃も興人の好意を純粋に受け入れた。


内輪で婚約も結び、行くあての無い華乃は、

花嫁修行という面目で興人の家に住み込んだ。



(彼が、純粋にわたくしを想っていると…信じていたから、わたくしは復讐を断念していたの)



「わたくしを裏切った方への未練など、これっぽっちも、ございませんわ!」



(信じて、囚われていた…わたくしが馬鹿だったのね…)



自由の身になったから分かる。


婚約、まやかしの好意…そんなものに縛られる必要は無かったのだと。



「強がりを言うなよ?…今の状況が辛いんだろ?

…僕なら救ってあげられる」



そう言って、興人は余裕の笑みで、華乃に接近する。



「僕を受け入れなよ?…愛人にしてあげるから」



興人の息が華乃の顔にかかる。

 


「この場所から…出たいだろ?

僕に頼らないと…ここから出れないんだよ…?」


「…出れない…って…二層に…閉じ込められている事?」


「ああ、既に君の事は…僕が捕えたんだ、これは呪縛さ?呪いの力…術中の君は、もう逃げる術はないんだ」


「…なっ?!すぐに術を解いてください!」


「解いてやるさ…君が僕を受け入れたらね?」



華乃の髪に興人の指が触れ、唇が迫っていた。



「っ、嫌ー!!!」



華乃の全身に鳥肌が立ち、思考するより先に、

全力で興人を突き飛ばしていた。



「……っ?!くそ…まだ抵抗できる力が…」



 興人は忌々し気に顔を歪め、煙のように、その姿は消えてゆく。


 

◇◇◇◇◇

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