22話 興人
◇◇◇◇◇
「嘘……嘘ですよね?
本当に階段が消えてるなんて…!」
華乃は、二層奥の通路へも行ってみたが…三層への下り階段も無かった。
スマートフォンも電源が入らず、助けを呼べない状態だ。
ダメ元で壁を叩いて助けを呼ぶが…当然、反応は無かった。
「…どういう事でしょう?わたくしは、うっかり別のルートへ入ってしまったのでしょうか?」
落とし穴や、次元の隙間…など、想像したら
恐ろしく、全身に震えが走る。
「もし、そうだとしても…入れたのだから、出入り口はある筈…」
尚も華乃は、二層をぐるぐると周る。
(ああ…シンさんの言う通り、数日ネカフェで大人しくしてたら良かったのかもしれません)
今更の後悔に、自分で自分を殴ってやりたい気分になる。
(せっかく…あの時、助けていただいたのに…)
シンや河精の助け、視聴者達の心配を思うと…
華乃は、愚かで無力な自分に悔し涙が滲んだ。
ふと、そこに涼やかな鈴の音が聞こえた。
(…この鈴のお陰で、物の怪達の危害に遭わないのは、不幸中の幸いですね…)
◇
(足が重い…お腹も空きました…)
華乃が二層に閉じ込められて、どれくらいが
経ったのだろう。
(空腹と眠気が限界です…)
華乃は、ふらふらと壁に凭れ掛かり、そのまま座り込んでしまう。
(どうしましょう…本当に、わたくしはここで
終わるのでしょうか…)
…まだ、死ねなかった。
乱暴されようが、痛めつけられようが…死ななければ、機会はある。
(まだ、わたくしは…黒鳥家の雪辱を晴らしてない…)
華乃の視界がぼやける。
涙でぼやけるのか?…それとも……
◇
次の瞬間、華乃は薄暗い、靄の中のような空間を目にしていた。
「え?…ここどこでしょう?二層…の筈では?」
華乃が辺りを見回そうとした時だ。
ジャン、ジャン、ジャラン…
…と、鈴の音に近いような不調和音が耳をつんざく。
「やあ…やっと捕まえたよ」
そんな不調和音と共に…よく知る者の声が近くで聞こえた。
「……え…興人…さん?」
◇◇◇◇◇




