18話 美貌の少年はソロ探索者
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覆面男達を警察へ突き出し、事情聴取に華乃も警察署で留まる事、数時間。
すっかり暗くなった街並みを華乃は少年と共に歩いていた。
「お付き合いいただく事になり、本当にすみません」
華乃は少年に頭を下げる。
少年の名は、シン…というらしい。
ソロの探索者をしているとの事で、更に華乃は驚くのだった。
「ああ、そうだ…二層に“落ちてた”符だ、
君にあげる」
少年シンが、華乃へ符を差し出した。
「お符…ですか?」
初めはキョトンと首を傾げていた華乃だったが…記憶を辿り、ある事に思い当たる。
「あ!…あの時の…覆面の人の……」
華乃が声を上げかけた時、少年シンはそれを、
やんわりと静止させる。
「別に…俺はただ、二層で“落ちてた”のを拾っただけだ」
そう言ったきり、すました顔で歩き出すシンに
華乃はポカンと口を開ける。
(確かに…ダンジョン内での収得物は、拾った者の所有にしてもいい…らしいですが)
「金に少し困っているのだろう?
この符を換金すれば、少しは足しになるんじゃないか?」
悪戯っぽく微かに笑みを見せるシンに、華乃も苦笑いで返す。
◇
翌日、シンと待ち合わせをし、華乃は符屋へ向かう。
昨日は、警察署を出たのが既に遅い時間だったし、疲労もかなり溜まっていた事もあり…
換金は翌日にしようと、シンが提案してくれたのだ。
「二日続けてお世話になりす」
待ってくれていたシンに、華乃は礼をする。
「いや、問題ない」
「…そうですか?…なんだか眠そうですが…」
心配気に首を傾げた華乃を見て、シンはクスリと口角を上げるだけだった。
「あの覆面達は“依頼”だと口走っていたのだろう?…ならは、黒幕がいる」
シンの唐突に話しに、華乃は緊張しながら肯首する。
「わたくしの配信に…不快感を抱いている方がいらっしゃるのかも…しれませんね」
“配信を出来なくさせる為”と…男達は言っていたのだ。
配信が順調に伸びていた矢先の事態に、華乃は心を痛める。
「……俺の方でも少し調べてみよう」
シンの言葉に、心強く感じると同時に、自分の為に煩わせてしまう申し訳無さに、肩を下げる華乃だった。
◇
「レア符が二枚に、ノーマル妖気玉ね…
一万四千円のお取引きで、いかがでしょう?」
符屋の店員が今回も笑顔で対応してきた。
「わわわ…そんな高値に!!?
そ、それで…だだ大丈夫ですー!」
華乃が顔を上気しながら、コクコクと了承するのを見て、シンは苦笑いする。
「全然、価格の交渉しないんだな?」
「いいのですよ!店員さまにはいつもお世話になっているのですし!」
華乃の力説を聞いていた店員も苦笑いになってしまう。
「なるべく、私も最大限努めてさせて貰ってるんですよ!お客さん見てると何か無性に応援したくなっちゃって!」
そう言う店員に、華乃は照れながら笑顔で感謝を表す。
「ありがとうございます!
また度々来させていただきますね!」
華乃は、気持ちも財布も温かくなりながら店を出る。
「ふう…大分、気分転換できました!」
符屋を出てシンと軽く昼食を取り、別れた後、
華乃はまたネカフェへ戻って来た。
シンからは、念の為警戒して、暫く配信は休んだ方がいいと言われた。
少なくとも華乃も…今日の配信は休もうと思っている。
「昨日の今日で…あの二層へ行くのが少し怖いなんて…気合いが足りませんか…ね?」
自笑しながら、心に溜まった重みを、ため息と共に吐き出す。
ソロでダンジョンへ入るのだから、色んな危険な目に今後も遭うだろう。
危険を回避し、あらかじめ対処できるよう学習していくしかない。
「怖くても…頑張るしかないのですから」
華乃は未だ震えの余韻が残る指先に力を込める。
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