15話 探索者とは…
◇◇◇◇◇
「許さない…許さないからな…
配信なんてブチ壊してやる…調子に乗りやがって!
……おい!準備はできたか?
高い金払ってるんだからさっさと実行しろ!」
「……うわぁ?!」
屋敷ダンジョンを撮影していた配信者が、ある一団を見て小さく悲鳴を上げる。
「い、今の一団…見たか?」
「一団?…いや、どうかした?」
「めちゃ怖そうな奴らだった…」
「探索者だろ?」
「いや……」
配信者は首を傾げる。
一団は既にダンジョン内へ消えて行ったようだ。
(覆面被って探索する探索者っているか?)
配信者は怪訝な表情で奥へ消えて行った方向を見つめるのだった。
◇◇◇
「今日も張り切って参りましょー!」
華乃の朗らかで明るい声が暗いダンジョン内に響く。
翌日も、二層からの配信スタートとなった。
配信待機人数は既に五十人を超えており、感謝しつつも、こそばゆい気持ちで配信を開始する。
『華乃ちゃん今日はへばらないでよーw』
『符を使う回数に気を付けて』
『今日も無事に探索して行こうー』
「はい、気を付けなきゃです!
でも、探索者の方って…
ダンジョン内で、複数回の戦闘になった時…どうされているのでしょうね?符の使用を控えてるとか?」
先日、見かけた探索者集団…
彼らは恐らく深層へ向かっていたのだろう。
二層ですら、ちょくちょく物の怪に遭遇するのだから、下の層へ行く程に遭遇率も上がる筈だ。
『探索者は集団で符を使い回したり…少人数やソロの探索者は武器で攻撃するんだよ』
『うんうん、霊刀とか…物の怪専用の武器でね』
「専用の武器ですか…それはカッコいいですね!」
『華乃ちゃんには無理かもよー?』
『武器持ちは訓練しなきゃいけないもんなー』
「うーん、武道の基本を弁えていないと…ですよね」
華乃は苦笑いしながら少し肩を落とす。
武道の訓練は…一日二日で習得するものではない、今の華乃に、すぐ模倣はできなそうだ。
『華乃ちゃんは、配信者なんだしさ?無理して物の怪を大量退治しなくていいんだよ』
『そうだな!マイペースで探索してくれ!』
視聴者達の言葉に、華乃は微笑みながら頷く。
(確かにその通りです、無理せず行きましょう)
◇
二層を探索すると、すぐに空間の歪みが発生する。
慣れてきた華乃は、冷静に物の怪へ対処していく。
「物の怪が動きを止めました!今です!えいー」
華乃は素早く空の札を物の怪に投げ、仕留める。
「やりましたよ!皆さま、一つ目小僧…レア物の怪を捕らえました!」
『さすが華乃ちゃん!』
『ナイスー!』
視聴者人数は順調に増え、今日は二百人まで到達していた。
若い女性のソロ配信で、且つ、ストイックに物の怪捕縛をしている配信が面白いと、話題になってきたのだ。
「今日の収穫は…ノーマル物の怪の妖気玉と、
レア物の怪の符…まずまずの成果です!」
『今日も食い繋げそうだな!』
『レア物の怪を売って美味しい物食べてねー』
視聴者達にも楽しんで貰えたようで、
華乃はホクホク顔で本日の配信を終了した。
「さて…お符屋さんへ行って、換金しますか!
今日は少しだけ、す、少しだけ贅沢して…
お菓子も買ってしまいましょうか?」
ふふ…と、一人で満面の笑顔を作り、
足取り軽く、一層へ上がる階段へ向かっていた時だった。
階段を降りてくる一団が迫って来る。
(探索者さん達でしょうか?これから探索?)
華乃は彼らの邪魔にならないよう、端へ寄って通路を譲ろうとするが…
(…え?)
集団の足は華乃の目の前で止まった。
◇◇◇◇◇




