12話 二層へ
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屋敷ダンジョン一層は、相変わらず配信者が詰め掛け、賑わっている。
配信者の大半は物の怪捕縛をメインにはせず、
さながらお化け屋敷のレポートを面白おかしく騒ぎながら配信していくスタイルだ。
「今日も配信者さん達の笑い声が絶えない、良いダンジョンですねぇ!」
明るい雰囲気のダンジョンに華乃も楽しそうに浮かれるのだが…
『おいおい…一応ダンジョンなのだが…』
『普通にヤバい場所の筈だよな?ここ…』
『ま、一層なんてこんなもんでしょ』
視聴者も呆れ混じりで見ているようだ。
『それより、華乃ちゃん二層は雰囲気が変わるから気を付けなよ?』
『言って、二層も大した事ないでしょ?』
『いや、侮ってると痛い目みるよ?』
チャット欄の指摘に、華乃も表情を引き締める
「分かりました!…気を付けて降りますね!」
いよいよ、二層へ降りる階段前に到達した華乃は、慎重に階段を下っていく。
トン…
…と、二層へ降りる。
すると、本当に雰囲気が豹変している事に気付いた。
「え?!…本当に違います…何と言うか、空気が澱んでいるみたい!」
『うん、ここからは物の怪も普通に出てくるよ』
『気を付けてねー!』
『オレもなんか緊張してきたw』
背筋を伸ばし、華乃は周囲を見渡す。
一層には無かった、台所や便所…風呂場などが一気にまとまって配置されているようだ。
だが、どれも形は歪み…風呂場が三つもあったり、やたら細長い便所があったりと奇妙な光景が広がっている。
華乃はそのすぐ先の台所に、空間の歪みと鬼火が小さく灯っている事に気付く。
「わわっ?!早速いました!物の怪です!」
『おおおおおおー!』
『早いな!もう見つけたのか?!』
『捕まえろー!』
チャット欄が激しく流れる。
視聴者は九十人を突破していた。
もうすぐで百人を達成しそうな視聴者人数に、
ドギマギしながらも、華乃は目の前の鬼火へ
集中する。
「よし!【真眼】を使いますね!」
【真眼】
華乃の瞳に紋様が浮かび上がる。
〈名称〉唐傘小僧
〈危険度〉低
〈希少度〉ノーマル
〈能力〉イタズラ、頭突き
〈弱点〉火
物の怪の情報を華乃は視聴者達にも伝える。
『おおー!唐傘小僧かぁ』
『なんだノーマルか』
『ノーマルなら退治だな!』
「退治…してもいいのでしょうか?」
『ま、捕まえてもノーマルは金にはならないし』
『でも、倒したら妖気玉が手に入るよ!』
「妖気玉??何です?…それ」
『物の怪のコアみたいなものだよ』
『売れば一つ、ニ〜五百円くらいだけどね』
『塵積ってやつだな!』
「数百円は大きいですわ!わたくしの夕飯代になります!」
そう言って目を輝かせる華乃にチャット欄も笑いが起こる。
『夕飯代…切実すぎるwww』
『頑張れ!華乃ちゃん』
華乃がチャット欄に目を落としている隙を突いたのか、目の前の物の怪が華乃の方へ向かって来た。
「わわっ?!この子、好戦的です!」
唐傘小僧は、大きく飛び跳ね、一足で華乃まで距離を縮める。
『華乃ちゃん!攻撃して!』
『何か攻撃方法は?!』
『最悪、パンチか??』
唐傘小僧が、頭突きの体制で飛び掛かるのを、寸手で避けた華乃は、素早く符を取り出す。
「河童さ…いえ、河精さん!チカラを貸してください!!」
華乃は叫びながら符を唐傘小僧へ投げる。
符は発光し、すぐに物の怪の形に変化する。
〈名称〉河精※河童の進化体
〈危険度〉中
〈希少度〉レア
〈能力〉水流砲、締め上げ
〈弱点〉乾燥
『うおおおおー!?!』
『マジかああああ?!』
『河童の進化版??レアじゃん!!』
『昨日の破損した符か?!』
視聴者達は大興奮でチャットも激しく流れる。
「はい!昨日の落ちてた符を修理したら…進化した子になってくれました!」
華乃は視聴者へ返答しながら、河精の動向を見守る。
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