紅葉狩り その10
ズシン。
ズシン。
森の奥から、
巨大な影が近づいてきます。
青白い霧が木々の間を流れ、
焚き火の火まで揺れました。
山の動物たちは震えています。
タヌキは完全にピースケの羽毛へ埋まりました。
「むりむりむりぃ!」
ショウタも顔面蒼白。
「またデカいの!?」
骸骨騎士は剣を抜きます。
カチャリ。
青い火が揺れていました。
『総員、戦闘準備。』
後ろの骸骨兵たちも武器を構えます。
カタカタカタ……。
でもちょっと音が軽い。
サヨが小声。
「なんか怖いのにかわいい……。」
その瞬間――
バキバキバキ!!
森の木々が押し倒されました。
巨大な腕。
腐った木みたいな肌。
青白い炎。
そして頭部には、
折れた鳥居が刺さっています。
ショウタ絶叫。
「なんだあれぇぇぇ!?」
それは、
山ほど巨大な鬼でした。
目は青白く燃え、
全身に古いお札が貼りついています。
しかしそのお札は、
ほとんど破れていました。
山神が低くつぶやきます。
『“亡山鬼”……。』
骸骨騎士が悔しそうに言います。
『昔、山を滅ぼしかけた呪いの鬼だ。』
ショウタが固まりました。
「封印されてたやつ!?」
鬼はゆっくり顔を上げます。
ゴゴゴゴ……。
その口から、
青白い霧が漏れていました。
『腹……減った……。』
静寂。
ショウタが聞き返します。
「え?」
鬼がもう一度言います。
『腹減ったァァァァ!!』
ドゴォォォォ!!
咆哮だけで焚き火が吹き飛びました。
タヌキたち悲鳴。
「ひぃぃぃ!」
ショウタが転がります。
「食欲スケールでかい!!」
すると。
鬼の巨大な目が、
ベルフェルを見ました。
正確には――
ベルフェルのパン箱。
沈黙。
ベルフェルも見返します。
鬼の鼻がヒクヒク。
『……パン?』
ショウタが嫌な予感。
「まさか。」
次の瞬間――
鬼が超高速で突進。
ズドォォォン!!
「パン狙いだぁぁぁ!!」
ベルフェルは真顔でジャンプ回避。
しかし。
鬼の巨大な手が山を削り飛ばします。
ドガァァン!!
サヨが叫びました。
「危ない!」
骸骨騎士たちが一斉突撃。
『山を守れぇぇ!!』
カタカタカタ!!
スケルトン軍団 VS 巨大鬼。
なんか絵面がすごい。
しかし。
鬼は強すぎました。
腕を振るだけで骸骨兵が吹っ飛びます。
カシャーン!!
「骨ぃぃぃ!!」
ショウタが頭抱えます。
山神も前へ出ました。
巨大な角が光ります。
『これ以上、山を壊させぬ。』
鬼が笑いました。
『山ごと食う。』
「スケール!!」
ピースケは静かに鬼を見上げます。
青白い炎。
苦しそうな目。
そして、
異常な飢え。
ピースケは小さく言いました。
「……この鬼も苦しんでますねぇ。」
サヨが振り向きます。
その瞬間――
鬼の腹から、
グゥゥゥゥゥゥ……!!
超巨大な腹の音。
山が震えました。
ショウタ絶叫。
「腹の音で地震起きたぁぁぁ!!」




