紅葉狩り その9
カタ……カタカタ……。
森の奥から、
不気味な音が近づいてきます。
焚き火の周りにいた動物たちが、
一斉に静かになりました。
タヌキはピースケの後ろへ隠れます。
「で、出た……。」
ショウタがゴクリ。
「何が?」
青白い光は、
ゆらゆら揺れながら森の中を進んできます。
まるで人魂。
風もないのに、
落ち葉だけがカサカサ動いていました。
サヨが小声で言います。
「幽霊……?」
すると――
ガサッ!!
茂みから何かが飛び出しました。
ショウタ絶叫。
「うわぁぁぁ!!」
現れたのは――
骸骨。
しかも鎧付き。
カタカタと揺れながら立っています。
目の部分だけ青く光っていました。
沈黙。
ショウタが震え声。
「スケルトン出たぁぁぁ!!」
さらに。
後ろからぞろぞろ現れます。
骸骨兵。
骸骨弓兵。
骸骨騎士。
無駄に種類豊富。
サヨが青ざめました。
「多くない!?」
山の動物たちも大騒ぎ。
狐が飛び逃げ、
タヌキたちは木の上へ避難。
しかし。
スケルトンたちは攻撃してきません。
ただ、
カタカタ歩いてくるだけ。
先頭にいた古びたマントの骸骨が、
ゆっくり口を開きました。
『……山神よ。』
声までカタカタしてます。
山神が目を細めました。
『お前たちか。』
ショウタが小声。
「知り合い!?」
骸骨騎士はゆっくり頭を下げます。
『秋送りが見えた。』
青白い光が揺れました。
『だから戻ってきた。』
サヨが不思議そう。
「戻ってきたって……どこから?」
すると。
山神が静かに答えます。
『昔、この山を守っていた者たちだ。』
全員停止。
ショウタが聞き返します。
「えっ。」
「元・人間!?」
骸骨騎士はうなずきました。
『我らは山で果てた。』
『だが魂だけは、秋になると帰ってくる。』
風が吹きます。
青白い火が揺れました。
なんか急にしんみり。
しかし次の瞬間――
ぐぅぅぅ。
骸骨騎士のお腹の辺りから音。
静寂。
ショウタが困惑。
「……骨でも腹減るの?」
骸骨騎士は少し恥ずかしそう。
『雰囲気で鳴った。』
「どういう理屈!?」
ベルフェルが当然のように近づきます。
『焼き芋パン』
骸骨騎士、感動。
『あたたかい……。』
「食べられるんだ!?」
しかも後ろの骸骨たちが、
ずらっと並び始めました。
カタカタカタ。
ショウタが青ざめます。
「行列できてる!!」
ベルフェル真顔。
「炭水化物に種族差別はない。」
「名言っぽく言うな!!」
そのころ。
ピースケは骸骨騎士を見ていました。
古びた鎧。
傷だらけの剣。
そして、
少し寂しそうな青い火。
ピースケは静かに聞きます。
「……帰れなかったんですねぇ。」
骸骨騎士はしばらく黙っていました。
やがて、
小さくうなずきます。
『山を守る途中だった。』
焚き火の火が揺れます。
『だから今でも、秋になると見回りをしてしまう。』
サヨの表情が曇りました。
「ずっと……?」
骸骨騎士がうなずいた、
その瞬間――
森のさらに奥から、
ズシン……。
重い音。
全員が振り向きます。
ズシン。
ズシン。
地面が揺れました。
青白い霧が木々の間から流れてきます。
骸骨騎士の青い目が見開かれました。
『……まさか。』
山神も低く唸ります。
『封印が破れたか。』
ショウタの顔が引きつりました。
「嫌なワード出たぁぁぁ!!」
そして――
森の奥で、
巨大な“何か”が、
ゆっくり立ち上がったのでした。




