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82/2010

灯台島へ その9

ドゴォォォン!!


巨大な衝突音が灯台を揺らしました。


黒霧の怪鳥とピースケ。


羽がぶつかるたび、


赤い霧が吹き荒れます。


ショウタは階段を駆け上がりながら叫びました。


「死ぬなよピースケぇぇ!!」


サヨも涙目で振り返ります。


「あとで合流だからね!」


ピースケは戦いながら、


ちゃんと笑っていました。


「ええ!」


その瞬間――


ギャォォォ!!


黒鳥が赤い霧を吐き出します。


灯台の壁が溶けました。


ドロドロ。


ショウタが青ざめます。


「攻撃が嫌すぎる!!」


しかし。


ピースケは巨大な羽で霧を払い、


黒鳥へ突進します。


ドン!!


黒鳥が吹き飛び、


石壁へ激突。


灯台全体が揺れました。


その頃――


ショウタたちは最上階へ向かっていました。


階段は崩れ始めています。


ゴゴゴゴ……。


サヨが叫びました。


「床割れてるー!」


魔王が前へ出ます。


「跳べ!」


全員、


崩れる床を飛び越えました。


ショウタはギリギリ。


「うわぁぁぁ!!」


落ちかけたところを、


少女が手をつかみます。


ショウタが驚きました。


「あ……。」


少女は少し笑います。


『まだ消えられないから。』


でも。


彼女の腕はかなり透けていました。


時間がない。


そして――


ついに最上階へ到着。


巨大な円形の部屋。


中央には、


赤黒い結晶。


ドクン。


ドクン。


まるで生きている心臓です。


黒い霧がそこから噴き出していました。


サヨが息をのみます。


「これが……霧の核。」


しかし。


結晶の前には、


ひとり立っていました。


灯台守です。


いや――


もう半分以上、


黒霧へ変わっていました。


片腕は霧。


赤い目。


でも。


まだ笑っています。


『……来ましたか。』


ショウタが叫びます。


「どけよ!」


灯台守は静かに首を振りました。


『止めれば、私は消えます。』


サヨが前へ出ます。


「でも、このままだと霧守りさんも苦しむ!」


灯台守は苦しそうに目を閉じました。


『分かっています。』


黒霧が体を侵食していきます。


『だから怖いんです。』


静寂。


『何百年も、この灯台だけが私の役目だった。』


赤い光が揺れました。


『それが終わったら……私は何になる?』


ショウタが言葉を失います。


少女も悲しそうに灯台守を見ています。


そのとき――


サヨがゆっくり近づきました。


「終わってもいいじゃん。」


灯台守が目を開きます。


サヨはまっすぐ言いました。


「ひとりで苦しみ続けるより。」


風が吹きました。


「誰かと一緒に笑えるほうが、きっといい。」


灯台守の赤い目が揺れます。


まるで、


忘れていた言葉を聞いたみたいに。


しかしその瞬間――


ゴォォォォ!!


霧の核が暴走。


大量の黒霧が灯台守へ流れ込みました。


『がぁぁぁぁ!!』


灯台守が苦しみます。


床が割れ、


灯台全体が崩壊を始めます。


ショウタ絶叫。


「もう限界だぁぁ!!」


すると。


後方の壁を突き破って、


巨大な影が飛び込んできました。


ドゴォォン!!


赤い霧が吹き飛びます。


サヨが目を輝かせました。


「ピースケ!!」


巨大な羽。


ボロボロだけど、


ちゃんと立っています。


その後ろでは、


黒鳥が静かに消えていきました。


苦しそうだった赤い目は、


最後だけ穏やかでした。


ピースケは静かに核を見上げます。


「……終わらせましょうか。」


その瞬間。


霧の核が巨大な目の形へ変わりました。


ギロリ。


部屋全体に、


不気味な笑い声が響きます。


『まだ終わらぬ。』


ショウタ、叫びました。


「核がしゃべったぁぁぁ!!」

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