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灯台島へ その7

静寂。


誰もすぐには言葉を返せませんでした。


黒い霧が空を覆い、


遠くで雷が鳴っています。


白い服の少女は、


少しだけ寂しそうに笑いました。


『私は灯台の案内役。』


『霧の核とつながってる。』


小さな体が透けています。


今にも消えそうでした。


サヨがぎゅっと拳を握ります。


「そんなの……。」


ショウタも珍しく真面目な顔。


「助ける方法ないのかよ。」


魔王は静かに灯台を見上げました。


「……あるかもしれん。」


全員が振り向きます。


魔王は続けました。


「呪いだけを切り離せばいい。」


クロノワールが目を細めます。


「簡単に言う。」


「簡単ではない。」


魔王は真顔。


「かなり危険だ。」


ショウタが即答。


「やっぱり!!」


そのとき――


ドクン!!


赤い灯台が大きく脈打ちました。


霧守りが苦しそうに咆哮します。


ゴォォォォ!!


島全体が揺れました。


崩れた建物が落下。


サヨがよろけます。


ピースケが支えました。


「急ぎましょう。」


灯台守は静かにこちらを見ています。


赤い目。


でもその奥に、


迷いがありました。


ピースケはゆっくり近づきます。


「あなたも、本当は終わらせたいわけじゃないんでしょう?」


灯台守の肩がわずかに震えました。


『……。』


ピースケは穏やかに続けます。


「あなたはずっと、守ろうとしていた。」


風が吹きます。


「だから今も、ここにいる。」


灯台守は苦しそうに笑いました。


『……優しいですね。』


その瞬間――


黒い霧が灯台守の体へ巻きつきます。


ゴォォォ!!


男が苦しそうに胸を押さえました。


『ぐっ……!』


サヨが叫びます。


「危ない!」


灯台守の赤い目が濁り始めます。


呪いが、


完全に飲み込もうとしていました。


『……行ってください。』


男は震える声で言います。


『私が……抑えているうちに。』


ショウタが叫びました。


「でも!」


『早く!!』


ドゴォォン!!


灯台から黒い光が噴き出しました。


空の霧渦がさらに巨大になります。


海も荒れ始めていました。


魔王が叫びます。


「行くぞ!」


ピースケたちは灯台へ走り出します。


古い石階段。


赤い霧。


崩れた壁。


灯台内部は、


まるで生き物の体内みたいでした。


ドクン。


ドクン。


壁が脈打っています。


ショウタが涙目。


「怖ぇぇぇ!!」


ベルフェルは普通に走っています。


パン箱付きで。


「なぜ持ってきた。」


エリシアが真顔。


「非常食だ。」


「万能すぎるだろ。」


そのとき――


後ろから咆哮。


振り向くと、


灯台守が黒い霧に包まれていました。


赤い目が完全に染まっています。


しかし。


最後の理性で叫びました。


『……止めてください!!』


次の瞬間。


大量の黒霧が魔物の形へ変わります。


狼。


鳥。


人影。


無数。


ショウタ絶叫。


「防衛フェーズ始まったぁぁ!!」


クロノワールが前へ出ました。


「ここは任せろ。」


ベルフェルも炎を出します。


「先へ行け。」


サヨが不安そうに振り返ります。


「でも!」


ピースケは静かにうなずきました。


「大丈夫です。」


魔王が灯台の上を見上げます。


遠い最上階。


そこに、


赤黒い光が見えていました。


「核はあそこだ。」


サヨは少女の手を握ります。


少女は少し驚いた顔。


「絶対助けるから。」


少女の目が揺れました。


そして――


ほんの少しだけ、


泣きそうに笑ったのでした。

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