灯台島へ その6
ゴゴゴゴゴ……!!
霧守りの背中――“灯台島”全体が激しく揺れ始めました。
崩れた石柱が倒れ、
赤い亀裂が広がっていきます。
ショウタが転びながら叫びました。
「ほんとに沈むぅぅ!!」
サヨも必死に立ち上がります。
「霧守りさんが苦しんでる!」
巨大な亀の咆哮。
ゴォォォォ!!
空気が震えました。
しかし。
灯台守は静かに笑っています。
白い髪が風に揺れていました。
『長い間、よく耐えました。』
『もう終わりでいい。』
その声は穏やかです。
でも。
だからこそ不気味でした。
ピースケは静かに前へ出ます。
「あなたは誰なんですかぁ。」
灯台守は少し考えるように空を見上げました。
『昔、この島で灯台を守っていた人間ですよ。』
ショウタが眉をひそめます。
「人間?」
灯台守はうなずきました。
『海を照らし、人々を導く役目だった。』
赤い灯台を見つめます。
『でも人は欲を持った。』
風が強くなりました。
『霧守りの力を利用しようとした。』
サヨが息をのみます。
「まさか……。」
『海流を支配し、戦争に使おうとしたのです。』
沈黙。
クロノワールが低くつぶやきました。
「人間らしい。」
灯台守は悲しそうに笑います。
『その結果、灯台は呪われた。』
『霧守りも壊れた。』
赤い灯台が脈打ちます。
ドクン。
ドクン。
まるで心臓みたいでした。
ショウタが小声で言います。
「じゃあ……あんたは止められなかったのか。」
灯台守は静かに目を閉じました。
『止められませんでした。』
『だから、せめて終わらせる。』
その瞬間――
灯台守の体から黒い霧が噴き出します。
ゴォォォ!!
赤い目がさらに強く光りました。
エリシアが叫びます。
「呪いに飲まれてます!」
ベルフェルも真顔。
「もう半分、人じゃない。」
しかし灯台守は笑っていました。
『大丈夫。』
『すべて海へ沈めれば、苦しみも消える。』
サヨが強く首を振ります。
「違う!!」
全員が振り向きます。
サヨは涙目でした。
「苦しいからって、消えなきゃいけないわけじゃない!」
風が止まります。
灯台守が静かにサヨを見ました。
サヨは続けます。
「霧守りさん、本当は生きたいんでしょ!?」
その瞬間――
ゴォォォォ……。
巨大な霧守りが、
苦しそうに鳴きました。
赤い目が少しだけ揺れます。
ピースケは静かにうなずきました。
「まだ、助けられます。」
灯台守は黙っています。
その背後で、
赤い灯台がどんどん暴走していました。
黒い霧が空へ噴き出します。
ガンツが叫びました。
「空見ろ!!」
全員が見上げます。
黒い霧が巨大な渦になり、
空そのものを覆い始めていました。
ショウタが青ざめます。
「うわぁ……。」
魔王が低く言います。
「完全暴走まで時間がない。」
クロノワールもうなずきました。
「灯台の核を止めるしかない。」
ショウタが嫌な顔。
「つまりまた突入戦?」
ベルフェルは当然のように答えます。
「そうだ。」
「知ってた!!」
そのとき。
白い服の少女が、
静かに灯台を指差しました。
『最上階に……“霧の核”があります。』
しかし。
その表情は暗い。
サヨが気づきました。
「どうしたの?」
少女は少し震える声で言います。
『でも……。』
『核を止めたら……私は消えます。』
静寂。
風だけが吹いていました。




