灯台島へ その4
ゴォォォォォ!!
霧守りの咆哮が海を震わせました。
黒い霧が渦を巻き、
海面が大きくうねります。
そして――
巨大な姿が少しずつ現れました。
ショウタの顔が引きつります。
「えっ……。」
サヨも息をのみました。
「うそ……。」
霧の中から現れたのは、
超巨大な亀。
島ほどの大きさがあります。
黒い甲羅には古い石造りの建物が埋まっていて、
苔と霧に覆われていました。
その背中には――
赤く光る巨大灯台。
ゴォォォ……。
そこから黒い霧が噴き出しています。
ガンツが震えた声を出しました。
「灯台島って……。」
クロノワールが低く言います。
「島じゃない。」
魔王もうなずきました。
「生き物だ。」
ショウタ、絶叫。
「設定が重すぎる!!」
霧守りはゆっくりこちらを見下ろしています。
赤い目。
苦しそうな呼吸。
そのたびに黒い霧が漏れていました。
白い服の少女が静かに言います。
『霧守りは昔、人々を守っていた。』
風が吹きました。
『でも灯台に呪いが入り込んだ。』
『それ以来、霧守りは眠れなくなった。』
サヨが悲しそうに聞きます。
「ずっと苦しんでたの……?」
少女はうなずきました。
『何百年も。』
沈黙。
ショウタが小さく言います。
「また重いやつじゃん……。」
その瞬間――
霧守りが前足を持ち上げました。
ズゥゥゥン!!
海へ叩きつけます。
超巨大波。
荒波カジキ丸が持ち上がりました。
「うわぁぁぁ!!」
ガンツが必死に叫びます。
「つかまれぇぇ!!」
ピースケはサヨとショウタを羽で守ります。
ベルフェルはパン箱を守っていました。
「そこなんだ。」
エリシアが真顔でツッコみます。
すると。
少女が急に苦しそうに胸を押さえました。
体がさらに透けています。
サヨが駆け寄ります。
「しっかり!」
少女は弱々しく笑いました。
『私は灯台の案内役。』
『灯台が壊れれば、私も消える。』
ショウタが言葉を失います。
「そんな……。」
しかし少女は静かでした。
『でも、霧守りを助けてあげたい。』
赤い灯台を見上げます。
『あの子は、本当は優しいから。』
そのとき――
ピースケのポケットの青い貝殻が強く光りました。
ポォォォ!!
全員が振り向きます。
すると。
貝殻から青い光が空へ伸び、
灯台を指し示しました。
魔王が目を細めます。
「……灯台内部に核があるな。」
クロノワールもうなずきました。
「呪いの中心だ。」
ショウタが嫌な予感。
「つまり?」
ベルフェルが即答。
「突入だ。」
「だと思ったよ!!」
その瞬間――
霧守りが苦しそうな咆哮を上げます。
ゴォォォォ!!
赤い灯台の光がさらに強くなりました。
すると。
霧の海から、
無数の影が浮かび上がります。
サヨが青ざめました。
「また何か来る!」
無人船。
沈んだ船。
そして――
黒い霧でできた人影。
何十体も。
ショウタが叫びます。
「雑魚敵フェーズ始まったぁぁ!!」
ガンツが舵を握ります。
「灯台へ突っ込むぞ!」
荒波カジキ丸は、
巨大な霧守りの背中――
“灯台島”へ向かって全速力で進み始めました。




