空の大陸 その7
ぽろっ。
空から落ちた“涙の光”は、
ゆっくり空中で弾けました。
キラキラ……。
すると。
荒れていた風が、
ぴたりと止まります。
吸い込みも弱まっていく。
崩れかけていたスカイラッドが、
ふわっ……と安定しました。
メカリンが目を見開きます。
「浮力が戻ってる……!」
クロックも驚き。
『空間圧力が正常化しています』
ショウタ、
へたり込みながら。
「泣いたら世界が安定するタイプの怪物なの!?」
白もふは感動中。
『おなかと涙だいじ』
「深そうで浅い!」
そのとき。
永遠のシチュー鍋が、
超巨大おたまで、
どばぁぁぁん!!と一杯すくいました。
空の海みたいなシチュー。
湯気だけで雲ができてる。
おたまが元気よく叫びます。
『はい、特盛り一万年分!!』
ショウタ。
「単位!!」
虚空喰らいは、
おそるおそる口を開きます。
ごくん。
静寂。
次の瞬間――
カァァァァァ……!!
空いっぱいに、
温かな光が広がりました。
黒かった雲が晴れていく。
裂けていた空間が閉じていく。
小さな黒い生き物たちは、
くるくる回って大喜び。
『おいしいー!!』
『あったかーい!!』
『さみしくないー!!』
メカリンはぽかん。
「解決方法が……会食……」
ショウタも遠い目。
「毎回そうなんだよなぁ……」
赤い鳥は、
もう暴走していませんでした。
穏やかな赤い光。
スカイラッドを優しく支えている。
ピースケが近づきます。
「大丈夫そうですねぇ。」
赤い鳥はうなずきました。
『……うん』
『ひとりじゃなかった』
その瞬間。
スカイラッド中から、
歓声が上がります。
『島が止まったぞー!!』
『助かったー!!』
『空が戻った!!』
空の大陸の人々が、
次々に外へ出てきました。
みんな空を見上げています。
そこには――
巨大な口の怪物と、
巨大なシチュー鍋と、
泣きながらおかわりする小型艦隊。
ショウタが頭抱えました。
「説明むずすぎる光景!!」
そのとき。
虚空喰らいが、
ゆっくりピースケへ声をかけました。
『……ありがとう』
『でも、まだ怖い』
ピースケは首をかしげます。
「何がですぅ?」
巨大な声が、
少し震えます。
『もしまた、おなかが空いたら』
『また壊してしまうかもしれない』
静寂。
すると。
永遠のシチュー鍋の精霊が、
ぴょこんっと飛び出しました。
『じゃあ契約しよう!』
ショウタ。
「契約?」
精霊は胸を張ります。
『“みんなで食べる日”を作るの!』
白もふ。
『祝日!』
『ごはん祭り!』
ショウタ。
「ノリが軽い!」
でも。
空の大陸の人たちは、
顔を見合わせて、
だんだん笑い始めました。
『いいかも!』
『空と地上で一緒に食べる日!』
『絶対楽しそう!』
メカリンも目を輝かせます。
「じゃあ、年に一度!」
「“空腹の日”じゃなくて――」
サヨが笑いました。
「“満腹祭”だね。」
その瞬間。
空に、
虹がかかりました。
しかも。
普通の虹じゃない。
シチュー色。
ほんのりいい匂いがする。




