賢者の埋蔵金 その19
エルドランの幻影は、
今までで一番あわてていました。
『だ、ダメじゃ!』
『それはまだ秘密というか、その……!』
巨大亀はじーっと見ています。
『隠し通せると思ったか』
ショウタが即ツッコミ。
「絶対なんかやらかしてる!!」
サヨも半笑い。
「賢者さま、急に怪しくなったね。」
白もふはわくわく。
『おやつの隠し場所?』
黒いヒヨコも期待顔。
『巨大たまごサンドですぅ?』
エルドラン、汗。
『違うわい!』
巨大亀は、
のっそり顔を近づけました。
その圧だけで風が吹きます。
『エルドランは昔、“究極の宝”を作ろうとした』
ショウタが聞き返します。
「究極?」
巨大亀はうなずきます。
『誰も争わず』
『誰も孤独にならず』
『みなが自然と集まる宝』
静寂。
サヨが目を丸くしました。
「そんなもの作れるの?」
エルドランは遠い目。
『……理論上はの』
ショウタ。
「理論上って時点で不穏!」
巨大亀は続けます。
『そして賢者は、ある料理にたどり着いた』
全員停止。
ショウタ。
「……料理?」
エルドラン、顔を覆う。
『やめんかぁぁ!!』
巨大亀、無慈悲。
『“永遠のシチュー”』
静寂。
風が吹きました。
白もふ。
『……おいしそう』
ショウタ、ぽかん。
「え?」
トンネル博士が震えています。
「伝説の……!?」
クロックも珍しく驚きました。
『存在したんですか』
ショウタだけ置いていかれています。
「説明して!?」
エルドランが観念したようにため息。
『昔のワシは考えたんじゃ』
『どんな立派な言葉より、人は“温かいごはん”に集まるとな』
ショウタ。
「思想が一貫しすぎてる!」
賢者は杖をつきながら続けます。
『永遠のシチューは、食べる者によって味が変わる』
『悲しい者には優しい味』
『疲れた者には元気の出る味』
『一緒に食べれば、心が少し近づく』
サヨが小さく笑います。
「なんか……エルドランっぽい」
でも。
巨大亀の表情は真面目でした。
『だが問題が起きた』
ショウタ即反応。
「ほらぁ!!」
巨大亀は静かに言います。
『美味すぎて、誰も帰らなくなった』
全員停止。
白もふ。
『わかる』
「理解するな!」
エルドランが頭を抱えました。
『皆がずっと鍋を囲み始めてな……』
『冒険者も』
『王様も』
『魔物まで』
サヨ、吹き出します。
「魔物まで!?」
夜の龍が静かに言いました。
『平和ダガ、進マナイ』
『うむ……』
巨大亀もうなずきます。
『だから賢者は鍋を封印した』
静寂。
ショウタが聞きます。
「……で、その鍋どこにあるんだ?」
エルドラン、目そらし。
巨大亀が、
ゆっくりピースケを見ました。
『風の反応がする』
『つまり――』
全員、
ゆっくりピースケを見る。
ピースケ、きょとん。
「はい?」
その瞬間。
ピースケのリュックが、
ぽわぁぁ……と光り始めました。
ショウタ絶叫。
「入ってるぅぅぅ!!?」




