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賢者の埋蔵金 その9

カチ。


カチ。


カチ。


時計塔の針が、


ゆっくり未来へ進み始めます。


逆回転していた景色も止まり、


崩れていた壁が安定していく。


時計妖精たちは大歓声。


『正常時流ですー!!』


『未来が戻りましたー!』


『ごはんの時間も進みますー!』


白もふ、大喜び。


『やったぁ!』


ショウタがツッコミ。


「そこ重要なんだなほんと!」


リバースは、


呆然と時計を見つめていました。


自分のモノクル。


止まっていた針。


でも今は――


ゆっくり前へ進んでいる。


クロックがそっと近づきます。


『……おかえり』


静寂。


リバースの目から、


ぽろっと涙が落ちました。


『……ただいま』


その瞬間――


時計塔の最上部で、


巨大な鐘が鳴ります。


ゴォォォォン……!


音が谷全体へ響き渡りました。


霧が晴れていく。


空に光が差し込みます。


ショウタが目を細めました。


「うわ……」


長い間閉ざされていた時霧の谷に、


初めて“本当の朝”が来たのです。


エルドランの幻影は、


その景色を満足そうに見ていました。


『良い答えじゃった』


サヨが笑います。


「結局、“進むこと”を選んだんだね。」


エルドランはうなずきました。


『時間とは、失うためだけにあるのではない。』


『また出会うために進むのじゃ』


ショウタがしみじみ。


「なんか今回めちゃくちゃいい話だったな……」


すると。


白もふが、


テーブルのパンを全部抱えようとしていました。


『これは別腹』


ショウタ絶叫。


「台無しぃぃ!!」


巨大猫はその様子を見て、


珍しく少し笑います。


『……騒がしい』


夜の龍も静かに目を細めました。


『悪クナイ』


クロックはリバースへ向き直ります。


『これからどうするの?』


リバースは少し考えてから、


小さく笑いました。


『……まずは時計塔の修理』


時計妖精たち大歓声。


『残業ですー!!』


『でも嬉しい残業ー!!』


ショウタが吹き出します。


「職場復帰みたいになってる!」


そのとき。


エルドランが、


最後にピースケを見ました。


『そういえば、まだ渡しておらんかったな』


全員振り向きます。


ショウタが目を見開きました。


「え、ほんとに宝あるの!?」


エルドランは杖を軽く振ります。


すると。


小さな木箱が、


ふわっと現れました。


古びた箱。


風の羽の紋章付き。


ピースケが開けると――


中に入っていたのは、


たった一枚の紙。


ショウタ、ぽかん。


「紙?」


サヨがのぞき込みます。


そこに書かれていたのは――


《困った時は、まず一緒にごはんを食べなさい》


静寂。


ショウタ、


ゆっくり顔を覆います。


「賢者までその派閥だったぁぁぁ!!」


エルドランは満足そう。


『大事じゃぞ?』


白もふ、全力うなずき。


『大事!』


黒いヒヨコも。


『大事ですぅ!』


夜の龍まで静かに。


『……分カル』


巨大猫は眠そうにぼそっと。


『食べて寝る』


ショウタが笑い崩れます。


「世界の真理がシンプルすぎるだろ!!」


その瞬間――


時霧の谷のどこかで、


また小さく、


カチッと音が鳴りました。

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