表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
136/220

賢者の埋蔵金 その2

霧の谷。


風も音も止まったまま。


まるで世界全体が、


“時間ごと固まった”みたいでした。


ショウタは動けません。


口も半開きのまま停止。


白もふも、


空中でぷかーっと静止。


黒いヒヨコだけが、


目だけきょろきょろ。


『ぴ?』


サヨが周囲を見回します。


「私たち……止められた?」


そのとき。


コツ、コツ、と靴音。


霧の奥から現れたのは――


小柄な少女でした。


銀色の髪。


片目に時計みたいなモノクル。


長いコート。


そして、


巨大な懐中時計を抱えています。


少女は、


止まったショウタを見てため息。


『また騒がしい人たちです』


サヨが警戒します。


「あなた誰?」


少女はぺこりと頭を下げました。


『時の管理補佐。』


『名前はクロック。』


ショウタ、動けないまま心の中で絶叫。


(また管理者ぁぁ!!)


クロックは巨大な時計を開きます。


カチ、カチ……。


すると。


ピースケだけが普通に動き出しました。


「おはようございますぅ。」


サヨが驚きます。


「ピースケだけ動けるの!?」


クロックの無表情が、


初めて少し崩れました。


『……時間停止耐性?』


ショウタ(心の声)。


(耐性って何!?)


ピースケは首をかしげます。


「なんか風が流れてたのでぇ。」


クロック、沈黙。


『意味が分かりません』


サヨがうなずきます。


「私たちも分からない。」


そのとき。


クロックの視線が、


地図へ向きました。


『その地図。』


『賢者エルドランのものですね』


ピースケがうなずきます。


「埋蔵金探しですぅ。」


クロックは小さく目を閉じました。


『……また来たんですね』


サヨが聞き返します。


「また?」


クロックは時計塔の奥を見つめます。


『昔から、宝目当ての冒険者は何人も来ました。』


『でも誰も戻らなかった』


ショウタ(停止中)、涙目。


(知ってた!!)


霧の谷の奥。


巨大な時計塔が、


ゴゴ……と鳴っています。


まるで生きてるみたいに。


クロックは静かに続けました。


『賢者の埋蔵金はあります。』


『でも、本当に欲しいものを間違えると――』


その瞬間。


カチン。


時計の針が動きました。


次の瞬間――


景色が変わります。


村。


青空。


市場。


焼きたてのパンの匂い。


ショウタが転びました。


「うわっ!?」


時間停止解除。


白もふも落下。


『もふっ』


サヨが周囲を見回します。


「えっ!? 村!?」


でもおかしい。


さっきまで谷にいたはず。


ピースケだけが静かに言いました。


「……違いますねぇ。」


ショウタが青ざめます。


「え?」


市場の人々が、


全員こちらを向きます。


でも。


誰一人、


瞬きをしていない。


静寂。


そして全員同時に口を開きました。


『欲しいものを選んでください』


ショウタ絶叫。


「怖ぁぁぁぁ!!!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ