賢者の埋蔵金 その1
それから数日後。
ようやく“世界がちゃんと寝た”騒動も落ち着き、
ピースケたちは村へ戻ってきていました。
朝。
広場では市場が開かれています。
パンの匂い。
焼き魚の匂い。
ショウタは大あくび。
「平和って最高……」
すると――
ダダダダダ!!
村の郵便屋が、
ものすごい勢いで駆け込んできました。
「大ニュースだぁぁ!!」
広場中がざわつきます。
サヨが首をかしげました。
「どうしたの?」
郵便屋は一枚の古びた紙を掲げます。
「“賢者の埋蔵金”の地図が見つかった!!」
静寂。
ショウタ、硬直。
「……また?」
ピースケはのんびりパンを食べています。
「埋蔵金ですかぁ。」
黒いヒヨコが反応。
『ごはん買える?』
白もふも反応。
『いっぱい?』
ショウタがツッコミ。
「目的が即物的!!」
郵便屋は興奮気味に続けました。
「伝説の大賢者エルドランが隠した宝だ!」
「世界中の知識と財宝が眠ってるって噂でな!」
サヨの目が輝きます。
「冒険っぽい!」
ショウタは嫌な予感しかしません。
「絶対ヤバい遺跡だって……」
しかし。
そのとき。
ピースケが地図を見て、
ぴたっと止まりました。
「……あれぇ?」
全員が振り向きます。
地図の端。
そこには、
小さく“風の羽”の紋章が描かれていました。
雲竜が目を細めます。
『古代空文明の印……』
少女――空の管理者も驚きます。
『なぜ賢者がそれを?』
ショウタが頭を抱えます。
「はい出た! 絶対ただの宝探しじゃない!!」
でも。
サヨはもうやる気満々。
「行こうよ!」
白もふ、ぴょこん。
『おやつ持っていく』
夜の龍も静かにうなずきます。
『少シ興味アル』
巨大猫は半分寝ながらぼそっと。
『……騒がしくなりそう』
ショウタ絶叫。
「神話級メンバーで宝探しするなぁぁ!!」
そして翌朝。
ピースケたちは、
地図に描かれた場所へ向かって旅立ちました。
目的地は――
“時霧の谷”。
深い霧。
奇妙な静けさ。
谷の奥には、
巨大な時計塔みたいな遺跡が見えていました。
ショウタが青ざめます。
「もう入口から怖い!!」
すると突然――
カチ。
全員の動きが止まりました。
風も止まる。
白もふも空中で静止。
サヨだけが目をぱちぱち。
「……え?」
次の瞬間。
谷の奥から、
小さな声が聞こえました。
『遅刻です』
静寂。
ショウタ、冷や汗。
「……誰?」




