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雲竜 その14

全員、言葉を失いました。


空より上。


そこに広がっていたのは――


“光の海”。


空中なのに波がある。


星みたいな光が漂い、


ゆっくり流れている。


まるで空そのものが海になったみたいでした。


ショウタ、ぽかん。


「……え、宇宙?」


サヨも目を輝かせます。


「きれい……」


雲竜ですら静かに頭を下げました。


『“天海”……』


ショウタが聞き返します。


「名前まであるの!?」


少女――空の管理者が説明します。


『空のさらに上。』


『風と光が還る場所。』


黒いヒヨコは、


ぴょこぴょこ跳ねています。


『ぴぃぃ〜!』


完全にはしゃいでいます。


ショウタがツッコミ。


「お前順応早いな!?」


そのとき――


眠っていた元管理者の少年が、


うっすら目を開けました。


『……天海が、開いてる』


サヨがやさしく聞きます。


「来たことあるの?」


少年は小さくうなずきました。


『昔、一度だけ。』


『でも、その時は怖かった。』


静寂。


光の海の奥から、


低い歌声みたいな音が聞こえてきます。


ルゥゥゥン……。


風でもない。


波でもない。


空そのものが歌っているみたい。


ピースケは目を細めました。


「呼ばれてますねぇ。」


ショウタ即答。


「もうそのセリフ怖い!!」


でも。


天海の光が、


ゆっくりピースケの周りへ集まってきます。


ふわっ。


羽が淡く光りました。


雲竜が驚きます。


『天海が反応している……?』


少女も目を見開きました。


『適合率が異常』


ショウタが頭を抱えます。


「また異常判定!!」


その瞬間――


光の海が大きく波打ちました。


ザァァァァァ……。


巨大な“影”が海の奥で動きます。


サヨが息をのみました。


「なにかいる……!」


ゆっくり浮かび上がってきたのは――


“光のクジラ”。


巨大すぎて、


空そのものに見える。


体の中を星みたいな光が流れていました。


ショウタ、震え声。


「でっっっか……」


クジラはゆっくり近づきます。


でも不思議と怖くない。


やさしい目をしていました。


そして――


ピースケの前で止まります。


静寂。


クジラの声が、


頭の中へ響きました。


『風を繋いだ者よ。』


ピースケがぺこり。


「どうもですぅ。」


ショウタが小声。


「もう順応してる……」


クジラは静かに続けます。


『空は再び巡り始めた。』


『だが、“最後の扉”が近づいている。』


全員停止。


ショウタ、顔を覆います。


「まだあるのぉぉぉ!!」


サヨも苦笑い。


「終わらないね……」


しかし。


クジラの目は真剣でした。


『天海の底。』


『そこに、“夜”が眠っている。』


その瞬間――


光の海の遥か下。


今まで見えなかった深い場所で、


“真っ黒な何か”が、


ゆっくり目を開いたのでした。

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