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雲竜 その13

ギィィィン……。


空中に浮かんでいた光輪が、


わずかに揺れました。


仮面の人物は、


じっとピースケを見ています。


『疲労……?』


まるで、


その言葉自体を忘れていたみたいに。


ピースケはうなずきました。


「ずっと空を管理してたんですよねぇ?」


「休めてない顔してますぅ。」


ショウタが小声で言います。


「仮面なのに顔分かるの?」


サヨも小声。


「たぶん雰囲気……」


仮面の人物は静かに答えます。


『管理停止は許可されていない。』


『循環維持を優先。』


『感情は誤差。』


でも。


その声は少しだけ揺れていました。


少女――現在の管理者が、


前へ出ます。


『……あなたは昔からそうだった。』


仮面の人物が振り向きます。


少女は静かに続けました。


『全部一人で背負おうとして。』


『誰にも頼らなかった。』


空気が静まります。


雲竜が小さく目を閉じました。


雷鳥も翼をたたみます。


ショウタだけが困惑。


「急に重い人間関係出てきた……」


その瞬間――


仮面の人物の背後で、


空間がピシッとひび割れました。


サヨが息をのみます。


「空が……割れてる?」


少女が青ざめます。


『管理負荷限界……!』


どうやら、


仮面の人物は今も無理やり空を支えている。


でも限界寸前。


ピースケは静かに言いました。


「頑張りすぎですよぉ。」


『……』


「一人だと、重いですからねぇ。」


その瞬間。


仮面の人物の光輪が、


一つ消えました。


ショウタが目を見開きます。


「攻撃やめた?」


仮面の人物は、


小さくつぶやきます。


『……止まったら』


『空が落ちる。』


その声は初めて、


“怖がって”いました。


サヨがゆっくり前へ出ます。


「落ちないよ。」


仮面が向きます。


サヨは笑いました。


「だって今、みんないるもん。」


雲竜が翼を広げます。


『空は我らも支える。』


雷鳥も雷を静かに灯しました。


『嵐ハ巡ル。』


山神はどっしり腕を組みます。


『山も空を受け止める。』


黒いヒヨコもぴょこん。


『ごはんもある。』


ショウタがツッコミ。


「そこ重要なんだな!?」


でも。


仮面の人物の肩が、


ほんの少し震えました。


『……共有?』


ピースケはにこっとします。


「はいですぅ。」


「空って、一人のものじゃないですからねぇ。」


その瞬間――


ゴォォォ……。


止まっていた最上層の風が、


ゆっくり流れ始めました。


白い霧が晴れていく。


空の色が戻る。


仮面の人物の翼から、


少しずつ力が抜けていきました。


でも。


その代わりに――


ピシッ。


仮面にヒビが入りました。


ショウタが叫びます。


「仮面割れた!!」


パキン。


白い仮面が崩れ落ちます。


そこから現れたのは――


疲れ切った、


少年の顔でした。


年齢はサヨたちとあまり変わらない。


でも目だけは、


何百年も眠ってないみたいに疲れている。


サヨが驚きます。


「え……子ども?」


少年はぼんやり空を見ました。


『……休んでも、いいのか?』


静寂。


ピースケは即答します。


「いいですよぉ。」


その瞬間――


少年の体が、


ふらっと倒れました。


ショウタ絶叫。


「電池切れぇぇぇ!!」


サヨが慌てて受け止めます。


「大丈夫!?」


少年は目を閉じながら、


小さくつぶやきました。


『……空、落ちない?』


ピースケはやさしく答えます。


「みんなで支えますぅ。」


風が、


ふわっと吹き抜けました。


その瞬間――


最上層の天井が、


ゆっくり開いていきます。


現れたのは、


今まで誰も見たことのない景色。


“空より上の空”。


そこには、


巨大な光る海が広がっていたのでした。

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