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雲竜 その8

空が静まり返りました。


巨大な終末存在。


空を喰う闇。


その中心から現れたのが――


手のひらサイズの、


真っ黒なヒヨコ。


『……ぴ』


静寂。


ショウタがゆっくり言います。


「……小さっ。」


サヨもぽかん。


「え、あれが本体?」


雲竜でさえ固まっています。


『……予想外だ』


ヒヨコは空中でぷるぷる震えながら、


きょろきょろ周囲を見回しました。


そして。


風の中にいるピースケを見つけます。


『ぴぃ……』


その瞬間――


黒いヒヨコが、


ものすごい勢いでピースケへ飛んでいきました。


ぴゅーーーーん!!


ショウタ絶叫。


「速っ!?」


サヨが慌てます。


「危ない!」


でも。


ヒヨコは攻撃しませんでした。


風の中へ飛び込むと、


そのまま、


ぴとっ。


ピースケの風にくっつきました。


静寂。


『……あったかい』


その小さな声。


空が止まります。


雲竜が目を見開きました。


『まさか……』


山神が低く言います。


『孤独か。』


ショウタが聞き返します。


「え?」


黒いヒヨコは、


震えながら小さく鳴きました。


『おなか……すいた』


全員停止。


ショウタ、崩れ落ちます。


「原因それぇぇぇ!!?」


サヨが思わず吹き出しました。


「空食べてたの!?」


ヒヨコはしゅんとします。


『さみしかった』


『でも、おなかもすいた』


『いっぱい食べたら、あったかくなるかなって……』


ピースケの風が、


やさしく揺れました。


『だから空を食べてたんですねぇ。』


ヒヨコはこくんとうなずきます。


『でも、ずっと寒かった』


静寂。


ショウタが頭を抱えました。


「スケールのでかい迷子だったぁぁ!!」


ミニピースケたちが、


ふわふわ集まります。


『ヒヨコですぅ。』


『黒いですぅ。』


『仲間ですぅ?』


ヒヨコはちょっと不安そう。


『……だめ?』


その瞬間――


サヨが即答しました。


「だめじゃない!」


ヒヨコ、停止。


目をぱちぱち。


サヨは笑います。


「お腹すいてるなら、まずごはん!」


ショウタもため息をつきながら立ち上がりました。


「……もうその流れしかないよな」


風の中から、


ピースケの声が少し近くなります。


『朝ごはん、増えましたねぇ。』


すると。


黒いヒヨコが、


はじめて小さく笑いました。


『……ぴ。』


その瞬間――


空喰いの黒い侵食が、


完全に消えていきます。


青空が戻る。


雲が流れる。


空島が安定し始めました。


雲竜が深く息を吐きます。


『空の循環、正常化……』


山神も空を見上げました。


『終わったな。』


ショウタはその場に座り込みます。


「毎回終わった後の情報量がすごいんだよ……」


そのとき。


風がふわっと集まり始めました。


サヨが顔を上げます。


「……ピースケ?」


風の粒が、


少しずつ形を取り戻していく。


羽。


トサカ。


大きな体。


そして――


ぽふっ。


いつものピースケが、


空から落ちてきました。


ショウタ絶叫。


「雑に戻るなぁぁ!!」


ドサッ。


ピースケは地面に転がります。


「ふへぇ……。」


サヨが駆け寄りました。


「大丈夫!?」


ピースケはのんびり笑います。


「なんとか戻れましたぁ。」


ミニピースケ軍団、大歓声。


『本体帰還ですぅ!』


『朝ごはんですぅ!』


『生還祝いですぅ!』


黒いヒヨコも、


ちょこんとピースケの頭に乗りました。


『ぴ。』


ショウタがそれを見て言います。


「……結局また増えるのかよ。」


その瞬間、


空島の奥で、


ゴゴゴゴ……。


一つの巨大な扉が開き始めました。


全員停止。


ショウタ、ゆっくり振り向きます。


「……まだ続くの?」

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