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今日も今日とて  作者: 竹取夜鷹


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3/8

10月

10月1日 金曜日

赤「ふぅ。屋台の外装もこれでOKか」

山「ああ。明日外に運び出して、明後日に食べ物のチェックを教頭に頼んで、その次が校内祭。その次が一般公開だ」

赤「これで教頭にゲロマズいメシ食べさせたら屋台ごと粉砕されるかな」

山「ははっありそう。教頭パワーとか言って校長使ってパワーボムで粉々だな」

赤「はははっありそう」

麗「あるわけないじゃん」

赤「あれ、もう教室内は終わったの?」

麗「うん。茜ちゃんももうすぐ来るよ」

山「っし、じゃ、また明日」

赤「ああ。また明日。帰ろ麗さん」

麗「うん!」


10月2日 土曜日

麗「・・・サボり?」

赤「実はね」

麗「もう」

赤「そういう麗さんは?」

麗「赤羽を探しに来たんだよ」

赤「あれ?頼まれてた作業はすませたと思ったんだけど」

麗「違うよ。一緒にお昼ご飯食べようと思って」

赤「ははっ、嬉しい誘いだね。コンビニ行く?」

麗「・・・その、お弁当作ってきたの」

赤「・・・」

麗「私、赤羽みたいに普段から料理するわけじゃないから、今日だけ。お父さんの誕生日に弁当作ったそのついでだからいらないなら別にいいし、なんなら多分おいしくないから」

赤「麗さん、一緒に食べようぜ。ちょうど口が寂しかったんだ」

麗「・・・ふふっ」


10月3日 日曜日

赤「審査は通ったの?」

茜「勿論!これ出店許可書」

赤「とりあえず、これで作業はおしまいか。お疲れ様」

茜「うん、赤羽もありがとね!お礼に本番は2日とも遊んできていいからね!麗ちゃんも仕事ないし」

赤「はっ、余計なお世話さ」

茜「・・・赤羽は山口と違って自分のことを語らないよね」

赤「まぁね。謎が多い方がかっこいいだろ?」

茜「・・・麗ちゃん、赤羽のことほんとに好きなんだよ。安心させてあげないと」

赤「・・・」

茜「ま、私があれこれ言うのは野暮か。とにかく、赤羽」

赤「ん?」

茜「麗ちゃん泣かせたら、殺すからね」

赤「・・・ははっ」


10月4日 月曜日

茜「じゃ!みんな聞いて!シフト表通りに働いてね!サボった人は打ち上げ代払った上で不参加ね!打ち上げに参加しない人も払ってもらうからね!んで、名前がない人は準備頑張ってた人だから、遊んでおっけー!じゃ、頑張ろう!」

山「楽しもーぜ!」

麗「・・・赤羽、行こ」

赤「ああ」


赤「回りたい場所とか決めてる?」

麗「いや、赤羽が決めてるかなーって思ってたけど」

赤「俺も麗さんが決めてるかなーって思ってたんだが」

麗「じゃ、じゃあ体育館行く?確かパフォーマンスやってるよ」

赤「・・・んー」

麗「・・・あ、じゃあ特別棟行く?確か色々あったはず」

赤「特別棟かぁ・・・んー」

麗「じゃあ、無難に校舎の中をぶらぶらする?」

赤「阿比留さん、焦んなくても俺は逃げない。つまんない思いさせたくないから考えてるだけ」

麗「・・・」

赤「なにか勘違いしてるかもしれないけどさ、俺はちゃんと麗さんのこと、好きだよ」

麗「っ、わ、私も」

赤「知ってる。ま、とりあえず旧校舎行こうぜ。確かカジノもどきがあったはず」

麗「またゲーム?」

赤「お嫌いかい?」

麗「・・・赤羽がいるなら、それでいいや」

赤「・・・ははははっ、幸甚だね」


赤「・・・もう行こうぜ」

麗「おかしい!15の時はヒットが定石なのに」

赤「それで何回バーストしてんだよ・・・スタンド」

麗「私はヒット!・・・うぅ」

女「じゃ、公開しますね。2,8,9の19です。お兄さんは?」

赤「ジャックとキングの20」

女「・・・お強いですね。お姉さんは?」

麗「うう・・・バースト」

赤「・・・もう行こうぜ。いくら俺が負けを相殺できるからって」

麗「勝つまでやるし!」


赤「・・・」

麗「・・・偶数!」

赤「まだ賭けるのかよ。俺11にしよーっと」

男「・・・残念!23です!」

麗「じゃあ次も偶数!」

赤「・・・俺はいいや」

男「・・・・・・1です!」

赤「ほら見ろよ。店員さん気まずくなってるだろ。もう行こうぜ」

麗「うぅ・・・お財布が軽いよぉ」


赤「乾杯」

麗「うん、乾杯」

赤「麗さん、運弱いな」

麗「言わないで」

赤「ははっ、次は何する?」

麗「・・・ここでのんびりしない?疲れちゃった」

赤「いいぜ。待ってて、なんか買ってくる」

麗「待って、いらない」

赤「わかった」

麗「・・・赤羽」

赤「なに?」

麗「私、幸せだな」

赤「よかったね」

麗「赤羽は?」

赤「・・・」

麗「・・・」

赤「・・・阿比留さんと付き合ってよかったよ」

麗「麗」

赤「・・・麗さん、付き合ってくれてありがと」

麗「・・・や、やめてよ。照れるから」

赤「ふん」

麗「・・・あ、赤羽も顔赤いよ」

赤「うるせぇ」


10月5日 火曜日

山「あれ?赤羽と阿比留は?」

茜「いや、連絡来てた?みんな!お疲れ様!打ち上げは焼肉だよ!8時にあみやきね!」

山「・・・来てないな」

茜「ん、麗ちゃんからだ。えーっと、今日、打ち上げ行かないって・・・え?」

山「・・・」

茜「・・・私は心配だよ。麗ちゃんがどんどん赤く染まってく」

山「ま、赤羽を信じようぜ。アイツだって幸せになろうとしてるんだ」

茜「そーだけどさぁ・・・」

山「俺らは行こうぜ。せっかくの焼肉なんだから」

茜「・・・そうだね」


赤「ほれ。レッドブルだ」

麗「・・・なんでレッドブルなの?」

赤「好きだから」

麗「まぁいいや。バケツは?」

赤「ここにある。水は川の水汲めばいい」

麗「ライターとロウソクは?」

赤「勿論、持ってきてるさ」

麗「何からやる?」

赤「・・・これ?」

麗「爆竹は花火じゃない!」


山「ふぅ、食い過ぎたかな」

茜「店員さんドン引きだよ。きっとなんでモツを30人前頼むの?」

山「みんなモツ好きだろ。赤羽もモツとハツとミノ好きだし」

茜「内臓は好き嫌い別れるでしょ」

山「・・・あれ?あそこ、なんか明るくね?」

茜「見に行ってみる?」

山「勿論」


赤「所詮、炎色反応なのに、どうしてこんなに心が躍るのかね」

麗「私は花火、好きだよ」

赤「派手だから?儚いから?」

麗「・・・赤羽と一緒に、しゃがんで同じものが見れるから」

赤「・・・照れるね」

麗「赤羽」

赤「なに?」

麗「・・・・・・わかんない」

赤「なにがだ?」

麗「私さ、言ってなかったけどお嬢様なの」

赤「まぁ、なんとなくわかってたけど」

麗「私に言い寄る人は、少なくなかったよ。お金持ちばっかの私立の中学校に通ってたからね」

赤「・・・」

麗「それでさ、色々な人に色々なことを誘われたんだよ。海外のディズニーに行こうとか、ルーヴルに行こうとか。私は、みんな私を見てくれてないって思ってたんだ」

赤「ふぅん」

麗「私はコーヒーが好きで、ユーチューブで笑い飯とかを見るのが好きで、クイーンとかが好きで、なにより、中身のない話をするのが大好きなの。でも、みんな私を見ないの。阿比留さんはこうだからってラベリングされて、小瓶につめられて、クラスで鑑賞されるだけだったの」

赤「へぇ」

麗「お父さんにお願いして、高校は公立にしたの。茜ちゃんが話しかけてくれたの、凄い嬉しかったな」

赤「・・・」

麗「今は、大好きな赤羽と山口と茜ちゃんと、取り留めのない、学びも生産性もないおしゃべりができるのが幸せ。そう、思いたかった」

赤「・・・」

麗「・・・赤羽」

赤「なに?」

麗「私は、赤羽の全部が欲しいの。中学のときのどんな誘いより、赤羽と食べるパンが、一緒に賭けるブラックジャックが、一緒にする花火が、一緒に帰るのが、たまらなく嬉しいの」

赤「・・・照れるな」

麗「・・・私、重いよ」

赤「知ってる」

麗「際限なく、求めるよ」

赤「知ってる」

麗「・・・私は」

赤「麗さん」

麗「な、なに?」

赤「・・・キスしよーぜ」


山「・・・熱っいなぁ」

茜「赤羽、大胆だなぁ」

山「・・・」

茜「・・・山口、君の隣に可愛い彼女がいるよ」

山「帰ったらな」

茜「えへへ」

山「・・・アイツも大人になったな」

茜「安心?」

山「勿論」

茜「・・・今日も、パパとママ、家にいないんだ」

山「じゃあ、帰りにコンビニも寄るか」

茜「・・・ん」


10月6日 水曜日

茜「おはよ」

山「おはよう」

茜「なんか食べる?カレーならあるけど」

山「貰おっかな」

茜「はいはい。・・・あれ、麗ちゃんからDMだ」

山「なんて?・・・俺のシャツは?」

茜「知らんよ。ベッドの下とかじゃない?・・・麗ちゃん、赤羽とキスしたってさ」

山「俺ら見てたしな」

茜「・・・えぇ、20件近く送られて来てるんだけど」

山「そんなに嬉しかったんじゃない?」

茜「可愛いなあもう。赤羽は?」

山「・・・アイツからは音沙汰ないな」

茜「赤羽らしいなぁ」


10月7日 木曜日

赤『もう寝なさい。2時だよ』

麗『お昼じゃん』

赤『バレたか。それでもおやつの時間だよ』

麗『私の今日のおやつはバウムクーヘン。話を戻すね』

赤『戻すな。俺はぽたぽた焼き』

麗『ボヘミアンラプソディーがあまりにも有名だけどさ、私としてはそれ以上にIt‘s lateが好きなの』

赤『ふぅん』

麗『このもう遅いってのが何度も繰り返されてさ、この遅いは少しずつ和訳すると違うの。もう遅いって訳すのが綺麗な場所もあれば、もう遅いかなってニュアンスの場所もある』

赤『ふぅん』

麗『この曲が好きなのはさ、それでも大事にしたいって感じの曲だと私は思うからだよ。手遅れった感じじゃなくて、まだギリギリ大丈夫だからさって感じの曲なの』

赤『ふぅん』

麗『楽器もシンプルでさ、私は人の心は結局シンプルってのをこれで表してると思うんだ』

赤『ふぅん』

麗『赤羽を好きになるまでは、この曲はただの好きな曲だったけどね。赤羽のせいで一番好きな曲だよ』

赤『まるで俺が浮気をするかのような物言いだな』

麗『するの?』

赤『しねーよ。麗さん一筋さ』

麗『ふふ、ありがと』


10月8日 金曜日 

赤「片付けられちったな」

山「ああ。もう日常だ」

赤「文化祭、どうだったんだ?」

山「ま、十分楽しんだよ。お前は?」

赤「悪くなかったな」

山「素直に楽しかったって言えよ」

赤「はっ。全然つまらんかったぜ」

山「来年はどうするんだ?」

赤「来年考えるさ。鬼が笑っちまう」

山「阿比留とはどうなんだ?」

赤「口出しすんな」

山「キスしたんだろ?」

赤「・・・」

山「阿比留が上地にDMを数十件送ってたからな」

赤「あいつマジで・・・」

山「ま、お似合いだよ」

赤「死ね」

山「お疲れ。わざわざ手伝いありがとな」

赤「ああ。またメシ奢れよ」


10月9日 土曜日

麗「おはよ」

茜「おはよ!お待たせ!」

麗「待ってないよ・・・ね、ねえ、ちょっと聞いていい?」

茜「なになに?」

麗「・・・その、あの、えーっと・・・エッチなことってどこまでした?」

茜「・・・・・・ここじゃアレだし、スタバ行こっか。私と山口の初体験教えてあげちゃう」

麗「え・・・でもカフェでそんな話、よくないよ」

茜「じゃあ、なんで今振ったの!」

麗「だ、だって、その、気になるから」

茜「・・・もう、赤羽っていいなぁ。じゃ、スタバ行ってDMでおしゃべりしよ」

麗「う、うん・・・なんで?」


10月10日 日曜日

山「そーいや、今日ってなんの日か知ってる?」

茜「んー知らない」

山「赤羽答えんなよ。阿比留は?」

麗「え?体育の日のもともとの日?」

山「そうなの?」

麗「え?」

赤「・・・トイレの日だ」

山「流石だなお前!」

茜「・・・どういうこと?」

赤「十月十日、トートー、TOTOってこと」

麗「・・・」

茜「・・・」

赤「・・・この雰囲気の中、何するつもりなんだ?」

山「ふっふっふ、ノープランだ!」

茜「・・・じゃ、おしゃべりしようよ」

赤「結局、そうなるのか。コーヒーお代わりしよ」

麗「ん、私も」


10月11日 月曜日 スポーツの日

茜「あぁ・・・テスト週間だぁ」

山「嫌だなぁ」

赤「ああ。初夢の登場人物一覧にコイツがいたときくらい嫌」

山「なんだと!1鷹2富士3山口だぞ!」

赤「4がスパナ、5がナイフ、6がベレッタか?」

山「殺す気か!」

麗「またやってるよ」

茜「もう、仲良しなんだから」


10月12日 火曜日

茜「あれ?山口は?」

赤「今日は休みだな」

茜「私には連絡してないし」

赤「拗ねんなよ。アイツは上地さんに気を使わせたくないだけなんだから」

茜「いつ学校来るの?」

赤「月曜日には来るってよ」

茜「・・・ふぅーん」


10月13日 水曜日

麗『赤羽はグリーンデイが好きって言ってたよね』

赤『ああ。覚えてたんだ』

麗『なんて曲が好き?』

赤『聞いてどうするの?』

麗『別に。1人で部屋で聞いてニヤニヤするの』

赤『けっ、当ててみてよ』

麗『赤羽のことだからなぁ・・・無難にジーザスオブザバービアとかかな』

赤『ふーん』

麗『あとありえそうなのはノーユアエネミーとか?』

赤『少しだけ、ほんのちょぴっとだけ気味が悪いな』

麗『当たってた?』

赤『悔しいけど』

麗『やった』

赤『夜更かしするなよ』


10月14日 木曜日

麗『聞いてきたよ』

赤『1時間経ってないけどな』

麗『私的にはジーザスオブザバービアが好きだな』

赤『具体的にどこ?』

麗『うーん、ビリーの痛みを感じる最初の方かな。家族がいない間テレビを見るとかは実体験みたいだし』

赤『ふぅん』

麗『赤羽って曲をリズムで聞く?瑕疵で聞く?』

赤『誤字ってるぞ。文字通り瑕疵だな』

麗『どっちなの?』

赤『歌詞だよ』

麗『一緒だ』

赤『ならよかった』

麗『じゃ、おやすみ。また明日も連絡していいかな』

赤『明日ってか今日だろ。おやすみ』

麗『うん。おやすみ。愛してる』

赤『寝ろ』

麗『照れてる?』

赤『照れてない』

麗『ほんとは?』

赤『いいから寝ろ』

麗『素直じゃないなぁ』

赤『俺が照れた前提で進めんな。照れてないから』

麗『はいはい、おやすみ』

赤『この野郎』


10月15日 金曜日

山「・・・おはようさん」

赤「おは」

山「・・・聞いてくれ」

赤「なんだ?」

山「・・・母親が捕まった」

赤「・・・喜べばいいのかわかんねーな」

山「・・・いや、これで俺も妹も安心して暮らせるからいいことなんだ」

赤「・・・」

山「・・・」

赤「・・・別に俺にまで見栄張らなくていいよ」

山「・・・なぁ、俺、どっかで間違えたのかな。ちゃんと言うこと聞いてたら、毎日感謝してたら、母さんは捕まらなかったのかな。離婚もホストにハマったりもしなかったのかな」

赤「・・・」

山「・・・俺は」

赤「考えても仕方がないことは考えるな」

山「・・・」

赤「・・・お前の母親は悪い人じゃなかったけどなぁ。遊びに行った時もニコニコしてたし」

山「・・・」

赤「・・・残念だ」

山「くそっ」

赤「・・・ま、忘れろって言っても無理だろうしアドバイスだ。幼馴染みの死を8年引き摺った俺からすれば、時間が経てば、痛みは残っても納得はできる」

山「・・・」

赤「お互い、前向いていこうぜ」

山「・・・・・・ああ」


10月16日 土曜日

茜「ね、ねぇ、赤羽」

赤「なに?」

茜「山口、ずっと元気ないね」

赤「ああ」

茜「・・・聞いてもいいかな?」

赤「本人に聞け」

茜「・・・赤羽」

赤「ん?」

茜「が、学校サボるときって、どうしてた?」

赤「・・・」

茜「こ、今回だけだから!」

赤「はははっ」


10月17日 日曜日

山「・・・おはよう」

赤「よぉ。家を出てきたところ申し訳ないが、Uターンして道具持ってこい」

山「・・・」

赤「釣りだよ、釣り釣りフィッシング」


山「・・・!」

茜「や、やっほー」

麗「・・・なんで私もなの」

茜「その割に提案したときノリノリだったじゃん!」

麗「ちょ、ちょっと!」

山「・・・」

赤「・・・俺と麗さんはここで釣りをしてる。ここで上地さんと話してもいいし、そこの物陰に行っても構わん」

山「ありがとよ。でも、ここでいい。阿比留は俺の家庭の問題、どれくらい知ってる?」

麗「問題があること以外知らない」

山「俺の母親が逮捕された。なんか売春の斡旋をしてたらしい」

麗「・・・」

茜「・・・っ」

山「まぁ、離婚してるんだけど、アイツはだいぶ前にホスト狂いになって離婚した。その背負った借金を少し前に親父が返し終わったその矢先にこのニュースだよ」

茜「・・・」

麗「・・・」

山「上地さん、幻滅した?」

赤「・・・」

麗「・・・」

茜「・・・全然」

山「・・・」

茜「別に、山口の家族がどんな感じでも、好きだよ」

山「上地・・・」

茜「・・・でも、1個条件があるよ」

山「・・・な、なに?」

茜「・・・上地じゃねくて、茜ってよんで、賢蒼」

山「っ、わかった、茜」

茜「・・・うんうん」

山「・・・赤羽、俺は幸せなんだな」

赤「見りゃわかる」

山「・・・茜、大好き」

茜「や、やめてよ照れ臭い」

麗「・・・」

赤「・・・はいはい、大好きですよ」

麗「ふふっ、ありがと」


10月18日 月曜日

茜「それにしても、なんで赤羽はまだ上地さんなのかな?」

赤「別に構わないだろ」

麗「・・・私も麗さんだし」

山「俺は山口呼びだもんな」

茜「これは差別だと思います!呼び捨てを要求します!」

赤「はっ、テストの順位で勝ったら呼び捨てにするよ」

茜「無理じゃん!」

麗「・・・吐いた唾は飲まないでね」


10月19日 火曜日

茜「おはっ・・・すごいクマだね」

麗「まぁね」

茜「もしかして?」

麗「うん、ずっと勉強してた」

茜「で、勝てそうなの?」

麗「頑張るけど・・・」

茜「そーだよね。赤羽ってなんであんなに頭がいいのかな」

麗「うーん、普段から頭を使って生活してるからじゃないかな。前一緒にご飯食べてるときに、雑学を言ってみてって言ったら、飲んでた緑茶から、茶葉の種類からインディアの話までさらっとされたからね」

茜「・・・どう話題が飛んだの?」

麗「緑茶と紅茶の茶葉が一緒ってところから、紅茶の有名な国の話になって、その後貿易の話に代わって、最終的にインディアの人が茶葉を港に捨てたって話に飛んだの」

茜「・・・」


10月20日 水曜日

茜『明日暇?』

山『暇だよ』

茜『じゃあさ、学校帰りに一緒にテス勉しない?』

山『いいよ』

茜『なんの教科にする?』

山『数学教えて欲しい』

茜『まっかせて!』


10月21日 木曜日

茜「だ!か!ら!サイン、コサイン、タンジェント!虎視眈々って覚えて!」

山「それは知ってる!シグマが付いたら何に変わるかがわかんねーんだよ」

茜「シグマじゃない!シータ!」

山「パズー!」

茜「バルス!・・・じゃなくて!シータは角度のこと!」

山「・・・なんで<Sinみたいに書かないんだ?」

茜「・・・たしかに、なんでだろね」


10月22日 金曜日

麗「テスト勉強は大丈夫なの?」

山「もう大丈夫よ。任せなさい。サインゼータはアルファ割るエイチだろ?」

赤「知らん」

麗「・・・」

茜「・・・昨日頑張ったのになー」

麗「αってなにか覚えてる?」

山「・・・確かに、覚えたけどアルファってなんだ?」

麗「・・・」

茜「・・・」

赤「山口、わかんなかったら13と12を書いとけ」

山「そーゆーアドバイスが1番助かるぜ!」


10月23日 土曜日

山「もう任せてくれ。完璧に仕上げてきた」

赤「円周率は?」

山「え?範囲?」

赤「勿論。3.141592653897932384626だったっけ」

山「・・・俺、死んだかも」

茜「適当言うな!」

麗「地味に違うし」

赤「あれ?まあいいや。麗さん、帰るぜ。運よく1匹も釣れてないからな」

山「待て!範囲かどうかだけ教えてから帰れ!無視すんな!」

茜「・・・違うよ」

山「さんきゅ茜、愛してる!」

赤「・・・馬鹿」

麗「馬鹿」

茜「・・・っ!ばーか!!」


10月24日 日曜日

赤『麗さん』

麗『ん?』

赤『マジのただの疑問だけど、お小遣いってどれくらい貰ってる?』

麗『あ、お店閉めちゃって稼げてないのか』

赤『うん、姉上と兄上から頂こうとしてるけど』

麗『別に、お小遣いは貰ってないな。外出するときに1万円と、カードが渡されてるだけ』

赤『参考にならん』

麗『え、普通じゃない?』

赤『普通とは言えないな』


10月25日 月曜日

赤「・・・ひでー雨だ。傘はお持ちかい?」

麗「ちっちゃい折り畳み傘ならあるけど」

茜「持ってないよぉ」

山「男に傘は不要!」

赤「・・・うーん、30分後にはやむらしいぜ」

山「じゃ、やむまで教室で待ってよーぜ」

麗「うん、そうしよっか」

茜「てかさてかさ、現代文どうだった?」

赤「余裕さ」

麗「余裕だね」

山「余裕かも」

茜「適当言うな!」

山「なんか、問題文がかっこよかったよな」

赤「・・・かっこいい?こころを読んで普通その感想にはならん」

茜「確かに、言い回しは綺麗だったけどさぁ・・・」

麗「・・・綺麗?」

茜「揚げ足取らないで!」

山「じゃ、綺麗な言い回しコンテストしよーぜ。お題は濡れないように帰る」

茜「・・・じゃあ、シャワーの手間が省ける!」

赤「濡れてるだろ。びしゃびしゃだろ」

麗「・・・ん、お天道様の機嫌を損ねない内に帰る」

山「お、それっぽい。次は赤羽だぜ」

赤「・・・・・・乾いた心は雨じゃあ潤わない。涙を誤魔化す雨は今お呼びじゃあない」

茜「・・・」

山「・・・」

麗「・・・」

赤「・・・振っといて黙り込むな。恥ずかしい」

麗「・・・すごいね」

赤「そりゃどうも」


10月26日 火曜日

赤「今日でテスト終わりならどれほどよかったでしょうか」

麗「明日は英語と地理」

茜「うげー英語だ」

山「赤羽ってどうやって英語勉強してるん?」

赤「別にフルメタルジャケットとかを字幕で見てるだけだよ」

山「いい趣味だなクソが」

茜「麗ちゃんは?」

麗「普通に単語帳見て、教科書読んで、海外の恋愛ドラマ見てるよ」

茜「え?英語の何かを見ると頭よくなるの?」

赤「その発言が頭悪い」

茜「うるさい!帰ったらベイマックス見よ!」

山「じゃ、俺はトイストーリー見よ」

麗「・・・」

赤「俺は責任取らねーから」


10月27日 水曜日

山「・・・泣いてる?」

茜「な、泣いてないし!」

山「面白かったね」

茜「うん、久しぶりに見たけど感動しちゃう」

山「ベイマックス、もう大丈夫だよ」

茜「やめて!泣いちゃう!」

山「・・・てか日本語だったね」

茜「あ!」

山「・・・どうする?もう1時だけど」

茜「・・・いいや。もう寝よ。パパとママいるからエッチなのはなしね」

山「え」


10月28日 木曜日

赤「・・・あれ」

茜「あれ?赤羽じゃん。なんでいるの?」

赤「全否定だな。ただの買い物だよ」

茜「へー何買うの?」

赤「決めてない。安い肉と安い野菜、あと牛乳と納豆とネギとキムチと味噌と木綿」

茜「おつかい?」

赤「高校生だぞ」

茜「じゃ、一緒に回っていい?」

赤「構わんぜ」


赤「・・・」

茜「まだ迷ってるの?」

赤「豚バラのが安いけど、鶏肉の気分なんだよな」

茜「赤羽がご飯作るの?」

赤「そうだぜ」

茜「すごいね」

赤「上地さんも手料理を山口に振舞ったらどうだ?」

茜「え、でも下手だし、恥ずかしい」

赤「麗さんの手作りの弁当、特筆しておいしいわけじゃあなかったけど、かなり嬉しかったよ」

茜「うわ!惚気られた!」

赤「はっ」

茜「赤羽って麗ちゃんのことを好き?」

赤「勿論」

茜「・・・賢蒼の愛してるとはまた違った重みだね」

赤「あんなのと一緒にするな」

茜「あんなの!?」


赤「んじゃ、また学校で」

茜「ばいばーい!」


10月29日 金曜日

麗「・・・赤羽」

赤「なに?一緒に行きたいの?庶民のメシ第2位くらいのラーメンだぜ、お嬢様」

麗「勿論」

赤「っ・・・」

山「茜!ラーメン行こ!」

茜「いくいく!」

赤「・・・俺らのルールを伝えとく。じゃん負けがギョーザを買う。OK?」

茜「OK!」

麗「うん」

赤「じゃんけんぽい!」

山「っし!」

赤「クソ」

茜「1対1だね」

赤「あっち向いてホイにする?」

茜「じゃんけんでいいし。最初はグー、じゃんけんほい!」

赤「ふっ、ご馳走さん」

茜「・・・賢蒼ぉ」

山「・・・しゃーねーな、俺が払うよ」

赤「甘いな」

山「別にいいだろ!」


10月30日 土曜日

茜「そーいえば、明日ハロウィンだね」

赤「なにかするのか?」

茜「いやぁ・・・赤羽たちは?」

赤「別に」

山「だよなぁ」

麗「赤羽、明日暇?」

赤「暇だよ」

麗「・・・うち、来ない?」

茜「・・・!」

山「!!」

赤「・・・いや、まだ早いんじゃないかな」

麗「そんなことない。お父さんとお母さんが顔を見てみたいって」

赤「馬の骨のチェックかよ・・・明日じゃないとダメか?」

麗「いつでもいいけど、早い方がいいかな」

茜「・・・」

赤「・・・はぁ、火葬の準備と仮装の用意をしねーとな」

麗「そ、そんなに気負わなくていいよ」


10月31日 日曜日

麗「ここだよ」

赤「家自体は知ってるけど、まさか足を踏み入れるとはな」

麗「本邸は神奈川だけどね。こっちだよ」

赤「・・・お嬢様め」


執「おかえりなさいませ。そして、いらっしゃいませ」

赤「・・・初めまして。赤羽です」

執「わたくしめに挨拶は結構です」

麗「赤羽、この人はジョヴァンニ」

執「ジョヴァンニ・ヴィルヘルム・パーロックと申します」

赤「・・・失礼なことをうかがってもいいですか?」

執「ええ、勿論」

赤「・・・えっと、国籍はどこですか?」

麗「・・・?」

赤「いや、名字的に」

執「赤羽様は聡明ですね。はい、わたくしはイタリアの片田舎出身です。母はイタリア人、父がアメリカ人です」

赤「わざわざありがとう」

執「いえいえ、では案内します」


執「では、こちらでおくつろぎになってください」

麗「ごめんね、ちょっと着替えてくる」

赤「あいよ」

執「紅茶などは飲まれますか?」

赤「結構です。外様が真っ先に飲食するのは失礼ですからね」

執「お客様をもてなすのがわたくしの仕事です。お困りごとがあったらお声掛けください」

赤「じゃあ、ジョヴァンニさん」

執「どうなさいましたか」

赤「・・・この大広間、ドアが多すぎるんだ。下座はどこですか?」


麗「ごめん、お待たせ」

赤「大丈夫だ。ジョヴァンニさんもわざわざ話し相手になってくれてありがとう」

執「いえいえ。では、ご武運を祈ります」

麗「ちょっと待ってね、ん、んん、お父さん、入ります」

父「どうぞ」

赤「・・・ふぅ」

麗「行くよ。ほら」


赤「初めまして。赤羽才律と申します」

父「そう固くならないでくれ。私が麗の父、光だ」

母「私は梓です」

赤「本日はお招きいただきありがとうございます」

父「ははっ、緊張しているようだね」

母「別に、私たちは貴方を精査したいわけではありません」

麗「・・・」

父「それで、さっきから微動だにしていないが右目は?」

麗「っ、お父さん」

赤「大丈夫。私の右目は幼い頃、交通事故で失明しています。これは義眼です。お気に召さないようでしたら外しましょうか?」

麗「え、義眼って外せるの?」

赤「実はね」

父「それはすまなかった。知らないもので」

赤「大丈夫です。言わなかった私の非ですので」

母「麗、席を外しなさい」

麗「わかった。赤羽、頑張って」

赤「・・・他人事だな」


父「・・・ふぅ、それで才律君、麗のどこが好きなんだい?」

赤「枚挙に暇がありませんが、1つ挙げるとするならば自分に素直なところです」

母「素直」

赤「はい。私のような捻くれ者と違い、阿比留さんは自分の気持ちを隠しません。私はそんなところにひかれました」

父「阿比留さん?麗は最近、麗さんと呼ばれるということを嬉々として私たちに言っていたのだが」

赤「はい、僭越ながら麗さんと呼ばせていただいています」

父「それで、いつ麗と呼ぶんだい?」

赤「・・・私の覚悟が決まり次第です」

母「なんの覚悟?」

赤「・・・・・・麗さんの人生を決定的に歪める覚悟が定まった時です」

母「まぁ!」

父「・・・君は麗をそんなに愛しているんだね」

赤「はい。心の底から愛しています」

父「結婚は考えているのかね?」

赤「未来のことは考えていません」

父「もし、できるとするならば?」

赤「1も2もなく飛びつきます。私は浅ましい人間です」

父「はっはっは、そうか」

母「若いわねぇ」

父「才律君」

赤「はい」

父「実は今、この会話は麗に筒抜けだ」

赤「え」


父「車で家まで送っても構わないのだが?」

赤「いえ、結構です。そこまでお手を煩わせるわけにはいきません。失礼します」


父「・・・いい子だな」

母「ええ。いい子ね」

麗「うぅっ・・・」

父「麗」

麗「は、はい」

母「絶対に逃がしちゃダメよ」

麗「はい」

父「麗」

麗「はい」

父「才律と、麗は呼ばないのか?」

麗「・・・私は、才律が好きです!」

父「よろしい。夕食にしよう」

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