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進化と白紙の超能力者  作者: ARS
序列戦
22/24

テストとその後

時計の音が妙に大きく聞こえる。

なぜ、こうも時代が変わったにも関わらずアナログ時計を使っているのだろうと俺は思うが今はそんなことを気にしてる場合じゃないと俺は机の上に置かれている用紙を見直す。


独特の緊張感を味わいながらも目を通す用紙は間違っても見えては合っても見える不思議な感覚に囚われる。


そう、俺はこの場で新たな持論というものを生み出したくなった。

それは勿論、入学式の時のように…。



だから、俺…伊坂井 神刀はテストの最中だというのにくだらないことを考え始める。



テストとは極限的に人を追い詰めて、そのん本心を暴く存在である。


焦る者、嘆く者、冷静な者、達観した者、情緒不安定な者、諦めた者。


それは人間の本質そのものであり、自身の開き直りを要求される。

そう、この場合の正解の答えなどない。

敢えて言うのなら冷静でもなんでもなく、平常とした状態…自然体をどれだけ作り出せるかを試すものだ。


よって、この紙に書く何かに意味は有らず、己の心身を見直す場である。



そう、俺は問題用紙に書き連ねていると近くに通り掛かった試験監督の先生はニッコリと笑う。

それに反応して自分も笑うが何が気に食わないのか先生の目は決して笑わずにその場を去っていく。



不思議であった。



ー試験中にロクでもないことを考えているお前の方が不思議だわー



おそらく、そう言われるような気がするがあくまでも気がするのであり、気にせぬのが吉だな。


そうして、俺は持論を纏め終えた瞬間にタイミングよくチャイムが鳴り試験が終わる。

それとともに回答用紙は集められる。


それとともに俺は立ち上がり歩き出す。



「お、精が出るな」


「あぁ、今日は待ちに待ったあの日だからな」



俺が教室に出て廊下を歩いていたのだが、走って追いかけて来た直哉は嬉しそうに言う。

そう、今日はテスト最終日であり序列戦の再開日である。



「確か、非公式戦でボコされただったか?」


「そうだ。

だから、今度は勝つ。

届いて見せる」



俺はそう言って立ち止まりここ数日で覚えた十六夜を練る。

そうして、ゆっくりと放出する。



「うわっ、やる気がすげぇな」


「何言ってんだ。

こっちも鳥肌が立つほどに興奮している直哉に言われたくない」



先程からピリピリと空気を重くしていく感覚があった。

それは直哉がほぼ無意識下で肉体強化に使っているエネルギー…十六夜の残滓である。

その量は通常ではあり得ないほどであり、明らかに前までとは違うことが実感させられる。



「まぁ、今回は俺の方が先だから直哉は応援でもしてくれ」


「言われなくても」



俺はそう交わして序列戦の行われるフィールドに向かう。

その中で俺はすれ違う。



「今日を楽しみにしてたよ」



その一言…それだけで俺は笑ってしまう。


言わせてもらう。



「悪いがお前を踏み台にさせてもらうセニア」


「出来るものなら」



そう一言…二言程度を交わしていた。



直哉と別れて準備室で俺はそれを思い出す。

負けたのが昨日のように思い出せる。

富士の山に行ったのが今日のようにも感じる。

グラフト先生との模擬戦はつい数分前に行ったようだ。


それだけ、俺はこの日のために己を追い詰めてきた。



「絶対…勝つ」




**三人称視点



『さて!皆さん!テストが終わり今日!この日についに帰ってきました!序列戦!』



その言葉で序列戦を見に来た生徒から歓声を上げる。

その中にはグラフト、涼太、それに捕まったミル、そして、学園長までもが見ていた。

司会の人はそれで調子付いたのを見て更に言葉を発する。



『今日、ここで行われる記念すべき序列戦…第一回目は…これだ!!』




その瞬間、テスト期間中に新しく設置されたであろうモニターがある情報を大きく開示する。




240位 伊坂井 神刀 vs 200位 セニア=レルアラ




『さて、今回の試合の選手説明します。

しかし!その前に…選手の入場です!』



その瞬間、会場全体が静まり返る。

そして、息を飲むタイミングにゆっくりと入場してくる人影があった。



『私に向かって左側…伊坂井 神刀選手の入場だ!

多彩な能力や突拍子も無い戦い方をしてくれる彼は4組の壁を越えることは出来るのか!そして、今日はどんな方法で私達を魅せてくれるのか!』



それとともに入場したのは神刀だった。

彼は舞台に降り立ち、ひとつ深呼吸をしていた。


その手には武器を持たず…そして、基本的に持つはずである宝石すら所持していなかった。


しかし、そんなことを観客が気づくわけもなく歓声が上がり続ける。



そんなタイミングだった。

彼女が現れたのは…



『右側…そうそこにいるのは…休み明けにこの学校に転校してきた、セニア=レルアラだ!

彼女はこれまでの公式戦の記録はほとんどなく、異例の転校はしたもののその実力は不明!』



舞台に上がった彼女は既に舞台にいる神刀を見る。

神刀もまた彼女を見る。



そして、お互いに何も言わずにゆっくりと構える。

神刀は考える。



(言葉を発するまでも無い。

ここからは真剣勝負…)



そう、この場ではどちらも分かっているのだ。

言葉よりも実力で示すと…。


そして…



『では、両者ともに戦闘態勢に入りました。

では、始め!』




その瞬間、爆発にも似た爆音と破壊が起きる。

その光景に誰もが目を剥く。

そして、その光景の異常さに気が付いたのは三組以降の人間しかいなかった。



そう、二人とも一切の能力も使わない殴り合いでこのレベルに達したのだ。



お互いに読み合い…殴り合う。

どちらも笑い…互いに殺す気で拳を振るう。


そんな打ち合いを行う中でお互いに更に速くなる。

そして、最初に使ったのはどっちなのか…能力が解放される。



セニアは血を飲み…神刀は特異能力によって知覚速度や身体能力を上げる。

破壊の嵐…攻防は一瞬…すぐにお互いに離れて牽制するように円を描くように動く…そして、刹那のタイミングにお互いに攻め合う。


どれもが、どちらが先に攻めたのか分からないほどの激しさと複雑さが生まれ…より速く動く。

それは決して地上だけに留まらずに空中でも行われる応酬となり始めていた。



セニアは吸血鬼の種族思想の一つである翼を出し、神刀は特異能力で空を蹴る。


アジリティ面で言うならセニアの方が上だがスピードやクイック面では神刀の方が上。


それでも、空中戦ではセニアに軍牌が上がる。

しかし、地上戦では神刀の方が何倍も上手い。

地形を利用し…破壊して戦いやすい環境を揃えていく。



お互いに手を出せない…しかし、お互いに中距離から遠距離に戦う手段を持っている。

だが、それでも決定的なものに今では成り得ない。

故に互いに不利な場に立つことになろうとも攻めの手を休めるわけにいかないのだ。


休めば、何手も先の行動を取られる…そして、相手により手を考える余裕を与えてしまう。

それを許してしまえば、互いに今この場では負けてしまう。


例え、序列戦では勝ててもその場だけでもこの戦いに負けたく無いのだ。


空中と地上でぶつかり合う。

神刀は途中から地上から離れないように戦い、セニアは空から降りずに戦う。


ぱっと見ではセニアが有利だが神刀の経験がそれを許さない。

富士の山では空中機動で戦う化け物はごまんといた。

それらを一時とは言えでも虐殺した男である。

そんなものの戦い方でさえ熟知してしまっている。

故の停滞…そんな中では二人は笑う。

そして、お互いに拮抗してることはわかり切っている…故に…



そして、とうとうと本格的に動き出す。



炎が…否、太陽が覆い尽くす。


『太陽の原書』


一本の剣がそれを切り裂く。


『擬似顕現・草薙の剣』


しかし、太陽は消えない。

そのまま、炎が収束され…爆発する。



『メガフレア』



光が覆い隠し…神刀に襲い掛かる。








筈だった。

爆発は収束されて収まる。

まるで何かに押さえつけられたように…。



「二度も同じ手は喰わないぞ…」


「月詠か…案外厄介だね」



二人はそう言葉を交わすとともに再び交錯する。

太陽を剣の形としてセニアは持ち、神刀と打ち合う。

膨大な質量を持つその剣は例え物質でなくとも最早、物質と何ら遜色も無いほどの影響力を持っている。


故に二人の剣はぶつかり合い、打ち合う。


速度は圧倒的にセニアが上で技術は神刀の方が何倍も上である。

しかし、それでも拮抗。

お互いに防ぎ…攻め…入れ替わりの激しい攻防を続ける。

それは永遠と思われるほどに…。



そうして、打ち合いを続けていく中で戦況が動く。



太陽の剣が折れる…いや、正確には切られたのだ。

そして、得物を失ったセニアに神刀は容赦なく一撃…二撃…ととんでもない速度で切りつける。


最初のうちは上手くいなしたりしていたセニアだったが猛攻を抑えることはできずに僅かに障壁を減らす。


そう、その時初めて…この戦いで障壁が削られたのだ。



「やっぱりいいよ!君は最高だよ!」



セニアは後ろに下がって笑う。

神刀は構えて次の攻撃の準備に入る。



「同感だ…だから、そろそろ見せてくれないか?」


「何を?」



神刀の言葉に惚けるように言うセニア。

しかし、セニアもそれをしないといけないと分かっていた…故に笑う。



「いいよ、見せてあげる。

私の本気を!」



その瞬間、セニアの髪は金色から金と銀の混ざった色に変わる。

神刀は全身から鳥肌が立つ。


それは…恐怖なのか…それとも…武者震いなのか…今の神刀には分からなかった。



それでも一つ言えることが神刀にはあった。



「さぁ、ここからが本番だ」

うん、三人称って書きにくいね。

少し練習とより迫力出せると思って書いたけど少し物足りないかな?


唐突の次回予告『吸血鬼の本気』

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