↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
進化と白紙の超能力者  作者: ARS
序列戦
21/24

一週間後

遅くなりました!

何も覚えていない。


いや、正確には長い夢を見ていたようだった。


自分が何をしたか覚えている。

しかし、未だに信じられない。


奇跡というものがあるのならこのことなのかもしれない。


結論から言うと俺は生き残った。


何故?


分からない…ただ…俺は狼に勝った。


理由?


だから、分からない!

でも、一つだけ言えるのは…何か吹っ切れたような感覚だった。


この一週間で昇華をした感覚はある。


しかし、何も変わっていない。


たしかに特異能力は使えるようになった。

しかし、それでも…勝てるわけがなかったのだ…。



辺りにあるのは無数の異形の化け物どもの屍の山。



かの化け物らは超能力を持たない。

種族思想と呼ばれる種族特有の能力だけを用いていた。

そのどれもが強力で俺が生きていることが不思議に思えるような者だった。


そんな時だった。


目の前に一匹の獣が現れる。

それを見て俺は自然と動き始める。



(仕留めるなら今しかない)



それだけを考えた。

そう、それだけを考えていたはずだったのだ…。




**




「…というわけでゴールデンウイークも終わり4日ほど経った訳だ。

要するにテスト期間に入ったということだな?」



意地悪な笑みを浮かべながらそう言うグラフト先生は五組の面々を見渡す。

俺も勿論、そんな中に入っている。

学校に帰ってきたばかりなのにもかかわらずテスト期間と言われてもピンと来ない。

というか、実際テストという経験が無いのでピンと来るはずもないのだが周りの反応から見ると嫌そうであった。



「マジか、確かテスト期間中って序列戦は無しだったよな?」


「その通りだ貝沢。

生徒手帳にも書かれているがテスト期間中は原則、序列戦は禁止されている」



直哉のうんざりとした言葉にグラフト先生は反応してそう言う。

俺は初めて知って驚くが漫画などの知識から納得する。

そもそもが学生の本分は勉強であるがこの学校の勉強は実のところそんなに多く無い。

それでも、しっかりと勉強をして成績を取らないと強くても元も子もないということだろう。



「まぁ、全員頑張ってくれたまえ。

赤点さえ取らなければ何とかなるからな」



グラフト先生はそう適当なことを言って帰りのホームルームを締めたのだった。


まさか、帰ってきて早々にテスト期間になるとは…というかテストなんてこの学校にあったんだ。



「神刀、テストの方は大丈夫そうか?」


「ん?まぁ、よくわからんが何とかするしか無いな」



いつの間にかすぐ近くにいた涼太の質問に対して正直に答えてると肩の辺りがもぞもぞと何かが動く。



「そういえば、今朝から気になってたんだが…」



涼太は言い出しずらそうにそう言うとそっと俺の先程からもぞもぞと何かが動く右肩を指す。

それだけで何を指してるか分かり納得してしまう自分がいる。



「それで、それって何だ?」



そう、そこには何の動物かよく分からない狐っぽいようなリスっぽいような小動物が俺の肩に乗ってるのだ。



「何って…」



俺はどう言えばいいのか悩む。

それを見た涼太が「簡単でもいいから」と言うので俺は簡潔に答えることにした。



「拾った」



その言葉に何となく耳を傾けていた生徒がいたのか教室から音が消えた。

そう、誰もが何も言わずに俺を見るのだ。

いや、正確には俺の右肩の小動物を…。



「…拾ったのか…というかそういう意味じゃなくてその動物は何なんだ?」


「さぁ、懐かれたから拾ったから分からない」



またもや唖然とした空気が流れる。

その表情の中には疑問が大半を占めていた。

そんな時だった。



「これってミルウスじゃ無いのか?」



グラフト先生が小動物を見てそう呼ぶ。

どうやら、グラフト先生は何か知ってるようで珍しいものを見たという表情をしていた。



「知ってるんですか?」


「あぁ、一部のみが知ってる情報で富士にしかいないミルウスという動物だ」



俺の質問にグラフト先生が答えた。

その瞬間、先程とは別の意味で空気が凍った。

涼太は僅かに踏み止まったがクラスの全員が怯えた様子で離れていた。



「へぇ、こいつって富士にしかいなかったのか…」


「生態は謎だから何か特殊な力があるかもしれないな」



俺と先生は興味深そうにミルウスを見るが周りは完全に怯えきってる。

涼太の方は怯えるというより何か戦ってみたいという表情になっていた。


因みにミルウスだが特殊能力に関しては確認してるものが一つだけある。


それは…



「でもまぁ、特殊な力と言ったら見せてくれるか?」


「キュー!」



俺がそう言ってミルウスを机に置いて見る。

するとすぐにミルウスが返事をして力を使用する。



その瞬間、ミルウスの姿が少し変わる。

その姿はどこか刺々しいような姿で僅かに大きくなっているようだった。



「おぉ、これはすごいな。

ハリネズミみたいだ」


「こんな生態があったのか最近知ったばっかなのに情報が上書きされるのか…」



二人がそう呟くがハリネズミ呼ばわりをした涼太に対して軽い体当たりをしていた。

どうやらお気に召さなかったらしい。


まぁ、これがミルウスの特異能力『形態変化』である。


これは本来の姿形とは別の形態に変えることが出来る。

ただし、その姿になったミルウスはその体積分の食料やエネルギーを取らなくてはならない。

故に基本的には狩を大きな獣の姿でやっているのだ。

まぁ、小さくなる分には代償は内容だが大きくなるときはその分の栄養を取らなくてはいけないらしい。


何でそんなに詳しいかって?

それは白紙の書庫に種族思想などが載っていたからだ。



「そうだった。

伊坂井、お前に用事があるんだった。

ちょっと来い」



グラフト先生はふと思い出したようにそう言うとそのまま教室を出て行ってしまう。



「って、いきなり!

悪い直哉じゃあな!」


「おう、また明日な」



俺は直哉に挨拶をするとミルウスを肩に乗せて走り出す。

ちなみにミルウスは先ほどのハリネズミスタイルを辞めてオーソドックスなスタイルに戻っていた。



「ちょっ、待ってください!」


「ほら、早く行くぞ!待ってる暇なんてない」



そう言って先生は歩いて行くのを俺は追っていくのだった。



**



そうして、たどり着いた先は訓練所だった。

そこに着くとグラフト先生は振り返って俺を見る。



「どうやら、富士で大分頑張ったみたいだな」


「まぁ、あんまり状況が思い出せないというか思い出したくないほど殺伐としてましたけど…」


「それもそうか。

でも、ミルウスを飼い慣らせるほどにまで強くなったというわけだ」


「元々こいつが人懐っこいのもありましたけどね」



俺がそう言うとグラフト先生は笑い、ミルウスは胸を張るように立っていた。

まぁ、あの状況はあまり思い出したくない。

なぜなら、一時的に自分が精神崩壊を起こしたのか錯覚するほど壊れたのだからり



「まぁ、確かにそれで強くなったが…」


「まだ、勝てませんよね」



グラフト先生に続き俺はそう言うと困ったようにグラフト先生は頭をかく。



「やっぱり気付いていたか。

あぁ、吸血鬼の姫様にはかなわない」


「そんな気はしてました」



俺は自嘲気味にそう笑うとミルウスは俺に対して慰めるように手を出してくる。

可愛いやつだ。



「まぁ、勝てないとは言ってはいないがな」


「え?」


「よく考えてみろ。

確かにあいつは強いがあくまでも能力そのものが強いだけで今はいる」



その説明に俺は考えが追いつかなかった。


勝てる?


想像ができない。

確かに俺は強くなったと言う自覚はあるがあのレベルに勝つにはもっと強くならなくてはいけないはずなのだ。



「わからないか?

お前とあいつの決定的な違いを」


「いえ、全くわかりません」


「流石にそこまで否定されるとは…」



グラフト先生は困ったようにそう返事をするがすぐに話を戻す。



「よく考えてみろ。

あいつはとんでもなく強い。

お前とは違って元から使えて制約もない。

おまけに種族思想までもが特別な化け物だ」



何度思い返しても勝つ方法が見つからないのだが…。

そんな俺とは裏腹にグラフト先生は更に話を続けていく。



「だが、お前はどうだ?」


「えっ?

それは…少し強いとは違いますね。

扱いづらいとかそう言う類で…」


「そう、それだ」



グラフト先生は呟く。

俺は何に対して肯定したのかよくわからなかった。



「お前の能力は決して強くない。

でも、可能性はある」


「…」


「お前達学生に圧倒的に足りないものは経験だ。

お前は能力に対する経験で…あいつは同格以上の相手と戦う経験だ」



その一言に俺は気がついた。

確かに俺は能力を使うという経験がほとんどない。

いや、そもそも使いこなすためには俺はいくつもの種類の能力を練習しなくてはならない。



「というわけで特訓だ。

死ぬ気で食らいついて来い!」



その瞬間、今までとは違う威圧が飛んでくる。



「えっちょっといきなりですか?

というかテスト期間中ですよね!」


「安心しろ。

テスト期間中に禁止なのは序列戦であって訓練ではない」


「いや、そうだけども、常識的に考えてあと、テスト勉強もしなきゃいけないし…」



やっと殺伐としたところから帰ったばかりなのにこんな恐ろしこと…というかグラフト先生も強くなってない?

あと、地味にミルウスは退散して観客席の辺りで手を振ってるし!(そう見える)



「大丈夫だ。

もしお前が赤点を取ったら今度から勉強の訓練も追加してやる」


「大丈夫な要素がない!」



やばい、このままでは本当に訓練するはめに…いや、でもいいかと思ってる自分がいることが憎い!



「行くぞ!伊坂井!」


「あぁ!もうどうにでもなれ!」



その瞬間、拳が交差した。



**




「はぁはぁ、死ぬ。

何あれ、『奇稲田の櫛』と『月詠の鏡』とか酷すぎ」


「こっちもあそこまで成長してるとは思わなかったぞ伊坂井」



俺が疲れてぶっ倒れている中、グラフト先生は悠々とそう言う。

くそっ、これが経験と格の違いか…。

というか、『原書(オリジン)』って『櫛』とか『鏡』とかの作成が出来たのかよ!



「まぁ、こっちも驚いたぞ。

俺がこのゴールデンウィークで会得した能力や技の半分を模倣されたからな」


「いや、あんたはおかしいでしょ!

特異能力をフル活用しても前線すらできないのはおかしい!」



俺は理不尽に嘆いた。

まさかグラフト先生もゴールデンウィーク中に強くなってるとは…。



「いやー、こっちも親の急な呼び出しとかで地獄を味わったんだって…」



あ、そういえばグラフト先生も富士の名家の一つだっけ?

それは大変だったな。



「そういえば、お前って左利きだったか?」



グラフト先生からの質問に俺はそういえばと思い返してみる。

よく考えたら最近はずっと左手を使っていた。



「まぁ、トラウマですかね」


「…何があったか聞かなかったことにしよう。

とりあえず、今日は終わりだ帰った帰った」



先生は俺にそう言うと訓練所から出て行ってしまう。

俺はそれを見送った後に右腕に目を落とす。


そこには何の変哲も無い右腕があるだけだった。

継ぎ目もなくただの右腕である。



「そうか、これが一番の象徴だったもんな」



俺は右腕を撫でるとミルウスが近付いてきて一緒に俺の右腕を撫でるように手を出す。

おそらく、この右腕は俺の知ってる能力か特異能力で治ったのだろう。

しかし、あの時の自分が何をしたのかよくわかっていない今はそれを知るよしもない。



「あー、もう帰るか!

行くぞ…えっと、み、みる?ミレウス?」



俺がそう言うとミルウスは怒ったように頭突きをかましてくる。



「あー、まどろこっしい!

もう適当にお前はミルだ!」



俺がそう命名するがミルウスもといミルは案外気に入ったのか大人しく俺の肩で寝始めた。



「全く、こいつは本当に自由だな…」



俺はそう言って自分の寮の部屋に戻って行くのだった。

そして、数日後、俺はペット申請をしてないとのことで怒られたとか怒られてないとか…。

さて、新キャラ登場です!

ペット枠のミル君です!(性別不詳)

因みにミルウスの詳しい生態を少しだけ紹介!


この世界内での人からの認識

小動物の一種で気性はとても穏やかで基本的に争いごとは好まないと思われる。



本来の生態

ある程度決まった形態変化をすることができ、それを利用して狩などを行う。

大きい獣の時は『クリュェク』と呼ばれる大型の狐型の獣や『ログゼ』と呼ばれる大型から中型のイタチの姿で認識されている。

小さい時で気性が穏やかなのはお腹がいっぱいの証拠である。



まぁ、大雑把な説明はこんな感じです。


では、今回は定型文は無しでまた次回で!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。