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進化と白紙の超能力者  作者: ARS
序列戦
12/24

序列戦開始

 どうやら、俺達が本日最初の序列戦らしい。

 初戦から7組…、いいや、初戦だから7組なのかもしれない…。

 俺はレンタルの剣を手にしてゆっくりと歩き出す。

 控室を出て俺は舞台の入り口で止まる。

 それと同時に放送が始まる。


『これより序列戦を開始します。

 解説・実況は三年二組の担任近藤先生と私二年放送委員の暮賀名(クレガナ)がお送りします。』


 その放送とともに辺りは喧騒に包まれる。

 その声は女性特有のものであるなと変な思考に俺は持ち込んでいた。


『では、選手に入場して貰う前に基本的なことの説明をさせて頂きます。

 近藤先生、お願いします。』


 暮賀名さんの声と打って変って、男性の声が放送される。


『はい、近藤です。

 基本事項は全て説明済みなので必要ありませんが、一つだけ追加説明をさせていただきます。

 この会場には特殊な結界が刻まれており、相手を傷付ける事はほぼ不可能となっています。

 しかし、結界を貫通する攻撃は反則として即失格となります。

 また、決着した後の過剰な攻撃も失格の対象となりますのでご注意を。

 そして、勝敗の決し方についてですが、貴方達には保有十六夜指数と身体能力的な数値から決まる障壁が展開されます。

 それがある限り、負けにはなりません。

 もし、障壁が破壊された場合はその時点で負けとなります。

 以上です。』


 要するにいくら攻撃を受けても死なないということか…。

 なんか、御都合主義感パナイな。

 とは言っても、かなり有難い仕様だ。

 やり過ぎても平気というのはかなり嬉しい事だ。


『では!選手に入場してもらいましょう。

 私どもから右から!

 序列340位、板垣 幸選手!

 そして、左から!

 序列350位、伊坂井 神刀選手!』


 お互いに呼ばれると同時に入場する。

 どうやら、板垣もレンタル武器を持っているようだ。

 剣と銃が脇に挿しており如何にも準備万端と言わんばかりな武装である。


『まさか、今年記念の初戦でまさか7組になるとは…。

 いや、7組だからか?』


 …俺と同じこと考えてるし…。

 思わずため息を吐きそうになる。


『しかし、お互いに堂々としております。

 まだ、1日目なので紹介などは出来ないですが、伊坂井選手だけ紹介出来そうな情報が上がっていますね。

 どれどれ…、何と!伊坂井選手は未知の能力を使うとの情報が!ってこれだけ‼︎』


 この人は愉快だな。

 俺はポッケに手を突っ込みながら板垣を見る。


「どうしたんだい、伊坂井君?」


「いや、あんたは余裕そうだなと…。」


 そう、板垣は余裕そうだったのだ。

 まるで自分の勝ちが揺るがないと言わんばかりに…。


「それはそうだろう。

 君があの日何をしたのかは知らない。

 けど、奇跡や偶然はそう何度も起きるものではないのだよ。」


 嘲笑混じりの言葉を言い放つ板垣だが、自然と怒りは湧かなかった。

 仕方ないことだ。

 なぜなら、彼は俺がつい最近まで能力が発現していないなんて夢にも思わないのだから…。

 この学校に入学するには能力を使える必要がある。

 そんな当たり前のことを俺は免除されていたのだ…。


「そうかい。

 それもそうだな。

 けど、一言警告するけど…。

 …そんなんじゃ、足元をすくわれるよ。」


「ご忠告どうも。

 けど、自惚れるのも大概にした方が身の為だよ。」


 きっと板垣は良心から言っている部分が多いのだろう。

 あとは自惚れている相手に対してのイラつきだろう。


『では、時間になりますので3カウントで始めてください。』


 ゆっくりとカウントされていく。

 俺と板垣は構えを取る。

 俺は素手で、板垣は銃を構えて…。


『ゼロッ‼︎』


 その宣言と共に戦いの火蓋が切られる。


 ドパンッドパンッ


 開始直後、そんな乾いた音が響く。

 紛れも無い銃の音である。

 俺は視認した上で二つの弾丸を躱す。

 二発とも《火》、いいや《炎》の弾丸であり、実弾は使われていない。

 しかし、炎だけはあって威力がとても高い。

 当たったら終わりだなと躱した後に思う。

 俺が躱すことのできた理由はリドルとの戦いの時に使用した特異能力の【知覚速度倍加】によるものだった。


 俺は火を手の平で起こして放つ。

 火を起こして放つの3行程の単純超能力である。

 ドパンッ、とその音により放った火は相殺するどころか、掻き消されてしまった。

 そして、弾丸が俺に迫る。

 そこで俺は唯一、何の制限が無く使える能力を使用する。

 《行程の原書(オリジン)》である。

 俺はそれを利用して向かってくる炎に対して拳を振るう。

 炎の弾丸は弾かれて板垣へと飛ぶ。


 《行程の原書(オリジン){反発回路}》=【弾き(仮)】


 適当に変な技名にしているがその場ではいい名前が思いつかなかった。

 説明をするとこの回路は十六夜を反発する効力を持ち合わせている。

 しかし、反発するにも向かってくる力と同じだけの十六夜を消費しなくてはならない。

 更には発動している時は効力が現れていなくても空気中の十六夜に反応するので常に十六夜を消費し続ける。

 他にもまとう面積や大きさなどでも消費十六夜量が変わるので非常に使い勝手が悪い。

 しかし、ここで使われている結界と障壁に使われている十六夜量が高くて助かっている。

 じゃなきゃ即失格だったよ。


「なっ!

 今の攻撃程度を弾いたくらいでいい気になるなよ。」


「なっていない。」


「その余裕の表情も今のうちだ!」


 たく、こいつは人の話を聞かないのかね。

 それとも熱くなっているのか…。

 どっちにしたってめんどくさい。

 直後、板垣君が能力を纏いだす。

 纏う系の能力である。

 それだったら、俺の反転回路で潰せるのだが、目算では明らか7工程を超えている。

 使っている工程はおそらく《強化》《加速》《硬化》《付与》《範囲》《促進》《熱変動》と後はアレンジが入っているのだろう。


 板垣は剣を抜き踏み込む。

 直後、目の前に板垣が現れる。

 リドル程早く無いが、対応に遅れた。

 俺は寸でのところでバックステップを行い回避する。

 しかし、一撃で終わる程相手は油断していないのだろう。

 続けて横薙ぎに振るわれた剣が俺の腹をギリギリに通り過ぎる。


「どうした?

 その腰に挿した剣は飾りかい?」


 板垣が挑発してくるが俺は相手にせずに避け続ける。

 実際、俺は焦っていた。

 剣を使うにもまだ実験段階だから、下手に使うことが出来ない。

 それに言ってしまえば、これくらいの対処法ぐらい持っておかないと上位に入るなんて夢のまた夢である。

 俺は必死に考える。

 俺の使えるものは限られている。

 使える能力は弱く勝てない。

 かと言って、強化系能力に対して《工程の原書(オリジン)》が役立つ訳でもない。

 いや、正確には色々な十六夜に対して影響を与えることが出来る《工程の原書(オリジン)》しか対抗策は無いように思える。

 相手の能力の一部でも変化できるなら簡単な…。

 変化?

 待てよ…。

 何で《範囲》の工程を彼ら入れてるんだ?

 強化系能力は十六夜を纏い戦う筈…。

 待てよ…。

 それが体外なんて言ったか?

 そうか、《範囲》の工程が無くちゃ十六夜の纏い方がブレて少しでも触れた人にまで影響を及ぼしてしまう。

 そうだ、《自己》の工程は実際のところ《範囲》の下位互換である。

 そう、彼らは範囲の工程でゼロと範囲は定めた。

 要するに体内でのみ十六夜は能力を発揮している。

 ならば、簡単だ。

 相手の能力を俺の十六夜を利用して拡張すればいい。


 《工程の原書(オリジン){拡張回路}》=【共有・援護】


 直後、俺の体が軽くなった。

 さっきより格段に相手の剣が避けやすくなった。

 俺は隙を見て相手の脇腹に蹴りを入れる。

 相手と同じだけ強化された俺の体は普通に生身同士の接触と変わらない。

 因みに十六夜消費量はかなり良心的。

 板垣とほぼ同じ量しか消費しないのである。


「なぜだ?

 なんでお前がこの能力を使っている?」


 吹き飛ばされた板垣は起き上がり俺を睨む。


「さぁ、なんでだと思う?」


 俺は挑発的そう返すと板垣は拳を握りしめる。


「ふざけんなよ!クソったれが!

 こちらの努力を何だと思っていやがる!

 テメェは入学してこのかた遊んでいただけじゃねぇか!

 そんなテメェが何で強いんだよ!

 ふざけんじゃねぇ!

 もう、隠し事とかどうだっていい。

 俺の超能力でテメェを潰す。」


 板垣がかなりブチ切れていた。

 そう、彼は生まれた時から持つ能力を使用するのだ。

 おそらく、板垣相手なら《工程の原書(オリジン)》だけで肩が付くと思う。


「…けど、相手が真剣なのにこっちがそれに答えないのは失礼かな…。」


 俺は腰に挿していた剣を鞘ごと引き抜く。


「見せてあげる。

 俺の全力を…。」


 俺はゆっくりと鞘から剣を引き抜く。

 板垣の周りには大量の炎でできた星が出来ていた。


「【炎流星(シューティングスターフレイム)】」


「なげぇ名前だな。

 起動【白紙の剣】」


 直後、剣が光りだす。

 俺の中に様々な知識が生み出される。

 直後、目の前から大量の炎の星が飛んでくる。

 しかし、それは意味を成さなかった。

 直後、俺の周りに大量の氷が現れる。

 そして、全ての炎の星を相殺した。


「なっ‼︎」


 板垣が後ずさる。

 俺は全力で走り出し、剣を振るう。

 板垣は気付いてガードしようと剣を振る。

 カンッ、という音と共に板垣の剣が吹き飛ばされる。


「終わりだよ。

 板垣、オレの勝ちだ。」


 そう宣言して板垣を八度程斬る。

 その瞬間、障壁の割れる音がした。

 それは、勝利の宣言の為に会場中に響き渡るように改良されており、かなりの音が出た。

 板垣は膝をつき、悔しがっていた。


『伊坂井選手の勝利です!』


 それと同時に俺の持っていた剣は粉々に砕け散る。

 別に酷使した訳では無い。

 いや、酷使か。

 そう、ただの代償である。

 俺はこの剣に昨日の宝石みたいな細工をしていた。

 結果は上手くいき、今の試合結果である。

 しかし、欲張りすぎて10秒しか持たなかった。

 俺は少しため息を吐いた。

 しかし、それと同時に歓喜の声が響いてきた。

 いつの時代も勝負事を見て楽しむんだなと俺は肩を竦めて俺は退場する。


 俺の第1戦は見事な勝利を飾り、終えたのだった。


 現在の序列:340位

工程の原書(オリジン)がとても強い能力に!

しかし、制限などがあり本来なら自分の工程に書き込む用なので無茶な使い方で一つの工程だけでも十六夜の消費が高いです。

わぁー、専門用語だらけだ…。

読んで頂きありがとうございます。

面白いと思って頂けたなら幸いです。

ちなみに亜人の設定は忘れていませんから。

そのうち出てくるのでご心配なく。

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